パワレポ連動企画

Skylakeの可能性を引き出す拡張性抜群の小型PC~基本構成~

【25年目のPC自作スタンダード(16)】

DOS/V POWER REPORT 2015年12月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年12月号」の総力特集「25年目のPC自作スタンダード」を掲載する。

 第16回目は拡張性の高いSkylake搭載小型PCの基本構成を紹介する。機能豊富なMini-ITXマザーボードとM.2 SSD、ショート基板のビデオカードなどを組み合わせることで、性能に妥協することなく小型のメリットを享受することができる。小型PCを作成する場合はCPUクーラーのサイズに注意しよう。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年12月号は全国書店、ネット通販にて10月29日(金)に発売。PC自作の面白さを再検証する総力特集のほか、最新ゲームを楽しむにはどのくらいのビデオカードが必要?「秋の夜長はこの装備で楽しむ! 最新&定番ゲーム快適プレイ環境はコレだ!!」、11acももはや標準? お手頃製品を紹介「5,000円から買える便利アイテム IEEE802.11ac+1000BASE-T対応無線LANルーター」、そろそろ活躍の季節「大型液晶、無線にNFC……ますます便利に 最新インクジェットプリンタ31選」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は「“CPU進化の系譜”ポスター」。印刷可能なPDF版のダウンロードコードも付属しているので、ラミネートすればお風呂場でもCPUの系譜を堪能できるぞ!


-25年目のPC自作スタンダード-
“PC/AT互換機”の最先端はここにある!


Skylakeの可能性を引き出す
拡張性抜群の小型PC ~基本構成~

■基本構成

性能、拡張性、静音性全方位カバーの最新小型マシン

 Mini-ITX対応マザーボードは、拡張スロットが1本しかなく、PCケースも小型モデルが多い。そのため「Mini-ITXでは拡張性に不安を感じる」という初心者は多いだろう。

 しかし実は、チップセットの機能が向上し、PCケースの種類が増えたこともあり、そうした不安の多くは杞憂になっている。ここでは4コア4スレッド実行に対応する中堅クラスの「Core i5-6400」をベースにしたシステムを、拡張性の高いPhanteksのPCケース「Enthoo EVOLV ITX Chassis」に組み込み、拡張性と性能に優れるよくばりな小型PCを作った。

 マザーボードはIEEE802.11ac対応の無線LANを搭載し、LANケーブルなしでもネット接続が行なえる「GA-H170N-WIFI(rev.1.0)」だ。Serial ATA 3.0ポートやUSB 3.0ポートはどちらも6基利用でき、M.2スロットも装備する。このM.2スロットには、シーケンシャルリードが1.4GB/s、シーケンシャルライトも1GB/sに達するという超高速SSD「HyperX Predator PCIe SSD SHPM2280P2H/480G」を組み合わせ、足回りを強化した。

 ビデオカードはGPUに「GeForce GTX 970」を搭載しながらも、カード長が約17cmと短いASUSTeKの「GTX970-DCMOC-4GD5」を選択。高性能なGPUクーラーと組み合わせることにより、3D描画性能と冷却性能を両立する優れたモデルだ。

【検証環境】

OS:Windows 10 Pro 64bit版
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:3DMark- Fire Strike 10分ループ中の最大値
室温:24℃
各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.28で、CPUはCPU TemperaturesのPackage、GPUはVideo Card Temperaturesの値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

ポイント1
Mini-ITX対応ながら大型パーツも収容可能

Phanteks
Enthoo EVOLV ITX Chassis
前面にアルミプレートを配したMini-ITX対応PCケース。高さ20cmまでのCPUクーラーや長さ33cmまでのビデオカードに対応するなど、Mini-ITX対応PCケースの中では非常に拡張性が高い

 Enthoo EVOLV ITX Chassisは、下部に電源ユニット、上部にマザーボードなどメインパーツを組み込むという一般的なミドルタワーケースと似た構造を採用する。横幅も23cmあり、高さ20cmまでのCPUクーラーを組み込める。

20cm径の大型ファンを搭載
標準で搭載するファンは前面ファン1基のみだが、サイズは20cm径とMini-ITX対応PCケースでは破格の大きさ

 標準搭載のファンは前面に搭載する20cm径ファンのみだが、天板に14/12cm角ファンを2基、背面にも14/12cm角ファンを1基追加でき、そのスペースを使って水冷クーラー用のラジエータを組み込むことも可能。とくに天板には、取り外し可能なプレートを用意しており、ケース内部でファンやラジエータの取り付け作業をしなくてよいのは便利だった。

 Mini-ITXながらも内部の構造を工夫して組み込みやすくしており、初心者でも簡単に扱える優れたPCケースである。

メンテナンスホールからGA-H170N-WIFI(rev.1.0)裏面のM.2スロットにアクセスし、SSDのメンテナンスが行なえる
天板には28cmクラスの水冷用ラジエータを組み込むスペースを確保している。マザーボード上端部分と干渉することもない

ポイント2
Mini-ITXに最適化された長さ17cmのビデオカード

ASUSTeK Computer
GTX970-DCMOC-4GD5
カード長が約17cmと非常に短いビデオカードだ。コアクロックとメモリクロックが若干オーバークロックされている

 GTX970-DCMOC-4GD5は、GeForce GTX 970を搭載するビデオカードだ。最大の特徴は、カード長が17cmと非常に短いことである。17cmと言えば、Mini-ITX対応マザーボードの幅や奥行きに近い。通常サイズの拡張カードに対応したMini-ITX対応PCケースであれば、問題なく組み込める。

 GeForce GTX 970はアッパーミドルクラスのGPUであり、他社のGeForce GTX 970搭載カードでは、大型のGPUクーラーを装備し、カード長も26cm以上の製品が多い。

 しかしGTX970-DCMOC-4GD5では、ベイパーチャンバーを使った冷却効率の高い「DirectCU Miniクーラー」と、ブロアーファンの特性も兼ね備える「CoolTechファン」の組み合わせにより、このサイズのGPUクーラーでも問題なく運用できるようにしている。

他社の970カードより短い
同じくGeForce GTX 970を搭載するMSIの「GTX 970 GAMING 4G」と比べた写真。GTX970-DCMOC-4GD5のほうが約10cm短い
搭載するディスプレイ出力端子は、DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I×1、DVI-D×1の4種類だ

【ポイント2 検証環境】

基本構成のビデオカードをASUSTeK GTX960-MOC-2GD5(GeForce GTX 960、2GB)に変更、3DMark v1.5.915のFire Strike を実行

ポイント3
1.3GB/sを超える圧倒的なシーケンシャルリード性能

 一般的なSerial ATA 3.0対応のSSDは、シーケンシャルリード/ライト性能がインターフェースの上限速度に達しているものがほとんど。しかし新規格の「M.2」に対応する「HyperX Predator PCIe SSD SHPM2280P2H/480G」なら話は変わる。

 GA-H170N-WIFI(rev.1.0)が搭載するM.2スロットは、PCI Express 2.0 x4に対応しており、実に32Gbpsもの帯域を確保する。HyperX Predator PCIe SSD SHPM2280P2H/480Gでは超広帯域を利用し、シーケンシャルリードでは最大で1.4GB/s、シーケンシャルライトでも1GB/sと、Serial ATA 3.0対応SSDとは比較にならない速度でファイルの読み書きが行なえるのだ。

 M.2スロットを搭載しないマザーボードでも使えるように、PCI Expressスロットに挿すためのアダプタも同梱する。

Kingston Technology
HyperX Predator PCIe SSD SHPM2280P2H/480G
拡張カード型のアダプタ付き
2280サイズに対応するM.2 SSD。コントローラはMarvell Technologyの「88SS9293」で、GA-H170N-WIFI(rev.1.0)との組み合わせでは起動ドライブとして利用できた
Low Profileにも対応する拡張カードタイプのアダプタを同梱しており、M.2対応スロットを搭載しないマザーボードでも利用できる
左がHyperX Predator PCIe SSD SHPM2280P2H /480G、右がSerial ATA 3.0に対応したMicronの「Crucial B X100 CT250BX100SSD1」のベンチマーク結果である。シーケンシャルリード/ライトでは圧倒的な違いを見せ付けた

【ポイント3 検証環境】

基本構成のSSDをMicronのCrucial BX100 CT250BX100SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、250GB)に変更し、CrystalDiskMark 5.0.2を実行

ポイント4
ヒートシンクは大型だが干渉は少ない

Thermalright
Macho 120 Rev.A
高さ15cmのヒートシンクと12cm角ファンを組み合わせた高性能なCPUクーラーだ。IntelやAMDの各種CPUに対応する

 Thermalrightの「Macho 120 Rev.A」は、12cm角ファンを装備するサイドフローのCPUクーラーだ。ヒートシンクには6mm径のヒートパイプ5本が組み込まれている。

 またフィンの位置が比較的高いこともありGA-H170N-WIFI(rev.1.0)との組み合わせでは、ケーブル接続での干渉はほぼなかった。USB 3.0のピンヘッダケーブルを後から付ける場合はかなり厳しいが、取り付け順序を工夫することでトラブルは回避できる。

 PCケースの背面ファンを使いたい場合は、ヒートシンクがメモリスロット側に張り出す方向で設置しなければならない。またその場合、吹き付け方向でファンを付けるとGA-H170N-WIFI(rev.1.0)にメイン電源ケーブルやピンヘッダが挿せなくなるので、吸い出し方向で設置する必要がある。

マザーボード上の各パーツと干渉しない
横から見ると、ヒートシンクのフィンやヒートパイプは、マザーボードの各部品やメモリに干渉していないことがよく分かる
Enthoo EVOLV ITX Chassisで背面ファンを取り付けるスペースを確保するためには、このようにバックパネル側に吸い出し方向でファンを付ける必要がある

【問い合わせ先】

Intel:0120-868686(インテル)/http://www.intel.co.jp/
GIGA-BYTE TECHNOLOGY:03-3350-5418(旭エレクトロニクス)/http://www.gigabyte.jp/
Corsair Components:03-5812-5820(リンクスインターナショナル)/http://www.corsair.com/
ASUSTeK Computer:info@tekwind.co.jp(テックウインド)/http://www.asus.com/jp/
Kingston Technology:00531-88-0018 /http://www.kingston.com/jp/
Seagate Technology:0120-993-280 /http://www.seagate.com/jp/ja/
Phanteks:info@itc-web.jp(アイティーシー)/http://www.phanteks.com/
玄人志向:―/http://www.kuroutoshikou.com/
Thermalright:03-5298-3880(ディラック)/http://www.thermalright.com/


[Text by 竹内亮介]


DOS/V POWER REPORT 2015年12月号は2015年10月29日(金)発売】

★通巻256号記念企画「自作PCクロニクル」
★総力特集「PC/AT互換機”の最先端はここにある!25年目のPC自作スタンダード」
★特別企画「秋の夜長はこの装備で楽しむ!最新&定番ゲーム快適プレイ環境はコレだ!!」「5,000円から買える便利アイテム IEEE802.11ac+1000BASE-T対応無線LANルーター」「大型液晶、無線にNFC……ますます便利に最新インクジェットプリンタ31選」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」

★ 紙版を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
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(AKIBA PC Hotline!編集部)