パワレポ連動企画

PCケースの冷却性能をアップするテクニック

【自作PCチューニング技術大全100(15)】

DOS/V POWER REPORT 2016年4月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年4月号」の第1特集「もう一手間、一工夫でアナタのPCがグッと使いやすく快適に!! 自作PCチューニング技術大全100」を掲載する。

 第15回目では、ケースファンの位置や向きによって温度や動作音がどの程度変化するのかを検証していく。これから気温が上がっていくと、自然とPC周りの温度も上昇する。現状特に問題がなくても、今のうちに見直していきたいところだ。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年4月号は全国書店、ネット通販にて2月29日(月)に発売。第1特集のほか、第2特集は最新OSの現在の姿を解説する「リリース時とはもう違う。現在形、分かってる? Windows 10知っておきたい10のこと。」、まずはデータ保存から始めよう、低コストで導入できるモデルを紹介「転ばぬ先のバックアップ! 1万円台で買えるお手頃NASキット」、マルチディスプレイやライトゲームに、内蔵GPUからのパワーアップを目指す「チョイ足しアップグレードで効果大! 格安ビデオカードセレクション」、外出先でも2画面で!「いつでもどこでも手軽に使える モバイル液晶ディスプレイ大集合」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は「小型PC向けパーツ大百科」。メインマシンもサブマシンもコンパクトにまとめる時代です!


-自作PCチューニング技術大全100-
ファン配置でPCケースの冷却性能を改善するテクニック~PCケース編 その1~


プチカスタマイズで冷却性能や静音性を向上
PCケース編

 PCケースもほかのパーツと同様に、さまざまなカスタマイズが可能だ。ファンを追加したり、風向きを変更したりするだけで、冷却性能や静音性を強化できる。

 ちょっとしたアイテムの追加で、PCケースの特性を大きく変えることも可能だ。

58. ファンを最適な場所に1基増やして冷却性能をアップ   難易度★★

 ファンの数を増やせば冷却効果は高まるが、動作音も大きくなる。効果がもっとも高い場所に、最小限のファンを追加するのが、理想的なカスタマイズプランと言える。そこでここでは前面、天板、側面の各所にファンを追加し、その効果を検証した。

ファンを増設する場合、もっとも効果的な位置はどこなのか?
Fractal Designの「Define R5」をベースとしたPCの各所に、14cm角の「Dynamic GP-14」を増設し、CPU温度とGPU温度がもっとも低くなる場所を探った
Fractal Design
Dynamic GP-14
実売価格:2,600円前後

14cm角で1,000rpmのケースファンだ。羽根の根元に特殊な刻み目を入れることで、風の流れを最適化する

 CPU温度がもっとも低くなったのは、天板と側面だ。いずれもCPUクーラーに近く、CPU周辺のエアフロー効率を高める効果があったものと思われる。GPU温度がもっとも低くなったのは側面だ。外気を直接ビデオカードの周辺に供給できる位置なので、これも順当な結果と言える。これら二つをあわせて考えると、側面に追加するのがもっとも効果的だろう。動作音については、どこにファンを追加しても大きな違いはなかった。

ファンの配置による温度と動作音の違い

59. 吸排気のバランスを変更して冷却性能を高める   難易度★★

 ほとんどのPCケースでは、前面に吸気ファン、背面に排気ファンを搭載しており、吸排気のバランスを重視している。とはいえ、吸気過多の「正圧」状態による冷却性能の高さをアピールするPCケースも存在しており、ファンの構成として何が「正解」なのかは分かりにくい。

 そこでここでは、正圧状態と排気過多の「負圧」状態で、冷却性能がどう変わるかを検証した。Define R5の標準状態を密閉型PCケースのモデル、各ファンマウンタを外した状態を開放型PCケースのモデルとして取り上げている。また前章の検証で効果の高かった側面ファンの追加による影響もあわせて検証した。なお、すべてのテストでFan Xpert 3を使用し、回転数を最大にしている。

正圧状態と負圧状態だと冷却性能はどちらが上なのか?
正圧状態にする場合は、CPUクーラーのファンの向きも変更する。そのままにしておくと、背面の吸気ファンと、CPUクーラーのファンの風が正面からぶつかり、冷却性能が低下するからだ
標準の前面ファンと背面ファンに加え、前章の検証で効果が高かった側面ファンも追加して、正圧状態と負圧状態をさらに強化した

 CPU温度については、正圧時とバランス状態で、ファンの向きを変更する効果が認められる。もっとも冷えるのは開放状態に側面ファンを追加した負圧状態で、バランス状態よりも6℃低くなった。

 逆にGPU温度は、正圧状態だと4℃も上がった。背面と前面から吸気した場合、ビデオカード付近に熱気がたまりやすくなったのだろう。側面ファンを吸気方向で追加し、ビデオカード付近に熱気がたまりにくいようにすると、GPU温度は大きく低下した。負圧状態では、バランス状態と比べ大きな違いはない。動作音はどんなエアフローでも大きな違いはなかった。

 これらの結果を踏まえると、空気の流れのバランスを標準状態からあえて変えることも、冷却性能の強化につながることが分かった。とくに側面ファンを追加できるなら、正圧状態がオススメだ。PCケースの構造や、ファンマウンタの位置にもよるので、この結果がすべてのPCケースに当てはまるわけではないが、作業内容自体は簡単なので試してみるとよいだろう。

正圧状態と負圧状態の温度と動作音の違い

【58と59の検証環境】

CPU:Intel Core i5-6600K(3.5GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial CT2K4G4DFS8213(PC4-17000 DDR4 SDRAM 4GB×2)
ビデオカード:MSI GeForce GTX 960 GAMING 4G(NVIDIA GeForce GTX 960)
SSD:Micron Crucial MX200 CT500MX200SSD1(Serial ATA 3.0、TLC、500GB)
電源:Corsair RM550x(550W、80PLUS Gold)
PCケース:Fractal Design Define R5(ATX)
CPUクーラー:サイズ 虎徹(サイドフロー、12cm 角ファン)
OS:Windows 10 Pro 64bit版
室温:21.1℃
アイドル時:OS起動10分後の値
高負荷時:OCCT 4.4.2 POWER SUPPLY テストを10分間動作させたときの最大値
各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.28で、CPUは TemperaturesのPackage、GPUはTemperaturesの値
暗騒音:32.2dB
動作音測定距離:PCケースの前面から20cm

[Text by 竹内亮介]


DOS/V POWER REPORT 2016年4月号は2月29日(月)発売】

★第1特集「もう一手間、一工夫でアナタのPCがグッと使いやすく快適に!! 自作PCチューニング技術大全100」
★第2特集「リリース時とはもう違う。現在形、分かってる? Windows 10知っておきたい10のこと。」
★特別企画「転ばぬ先のバックアップ! 1万円台で買えるお手頃NASキット」「チョイ足しアップグレードで効果大! 格安ビデオカードセレクション」「いつでもどこでも手軽に使える モバイル液晶ディスプレイ大集合」
★連載「最新自作計画」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「メインマシンもサブマシンもコンパクトにまとめる時代です! 小型PC向けパーツ大百科」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

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(AKIBA PC Hotline!編集部)