パワレポ連動企画

ATX/SFXコンパクト電源対決その2 ディラック/SilverStone編

【PCパーツ無差別級対決(30)】

DOS/V POWER REPORT 2016年6月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年6月号」の総力特集「価格も新旧も関係なしの大激突! PCパーツ無差別級対決」を掲載する。

 第30回目では前回に続きATX電源とSFX電源を比較していく。一部の小型PCケースでは、レイアウトの都合で電源サイズが制限されることがある。ケースにあうATX電源を探すのもいいが、そういった場合は一回り小さいSFX電源の導入も検討してみよう。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年6月号は全国書店、ネット通販にて4月28日(木)に発売。総力特集のほか、ARMプロセッサを搭載した電子基板をノートPCへ!「自分で作るRaspberry Piノート pi-top入門講座」、PCに足りない機能をガチャンと追加「空いているスロットを有効活用 春の内蔵拡張カードコレクション」」、使いやすさは健康にも影響する「PCまわりの使いにくさ、もう放置しない! 今すぐ欲しい環境改善グッズ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録小冊子は新旧のインターフェース規格を解説した「インターフェース図鑑+インターフェース拡張パーツカタログ」。懐かしいものから現在主流の規格、マザーボードには搭載されているのにデバイスが登場しないものまで一挙掲載だ。


-PCパーツ無差別級対決-
ATX/SFXコンパクト電源対決 part2 ディラック TESLA CUBE Series V1.0 DIR-TCSXG-550 V1.0 / SilverStone SFX Series SST-SX550~電源編 その4~


第6部
電源編

 どれも似たように思うかもしれない。高いものほどよいと思うかもしれない。

 しかし、電源にはメーカーの工夫が満載。自作派なら、その違いが気になるはずだ。

Part2 ATX/SFXコンパクト電源対決

この対決の見どころ 超小型ケースを舞台に個性派が揃う

■小型ATX代表 玄人志向 KRPW-N600W/85+

■SFX拡張代表 ディラック TESLA CUBE Series V1.0 DIR-TCSXG-550 V1.0

■SFX代表 SilverStone SFX Series SST-SX550

 一般的なATXケースを使っている分には電源のサイズはあまり気にならないが、Mini-ITXやキューブタイプのPCケースでは、電源がCPUクーラーやビデオカード、ドライブ類と干渉して使えないというシチュエーションにしばしば遭遇する。そうしたPCケースでも使えるように、自作PC用の電源には奥行きを短く抑えたものや、SFXというATXよりも一回り小型の規格に準拠した製品が存在する。

 今回は、奥行き12.5cmのショートタイプのATX電源、SFX電源としては最大級の出力550Wの製品、さらにSFX規格を独自に拡張、奥行きを増やす代わりに使い勝手をよくした製品がエントリー。小型という制約は発熱の面でも安定性の面でも不利に働くが、さまざまな工夫で困難に立ち向かう製品たちの対決をお楽しみいただこう。

ATX/SFXコンパクト電源対決 その2
SFXながらフルプラグイン! 使いやすさ追求モデル

ディラック
TESLA CUBE Series V1.0 DIR-TCSXG-550 V1.0

実売価格:14,000円前後

奥行き12cm

Specification
●規格:SFX●定格出力:550W●ファン:9cm角×1(底面)●80PLUS認証:Gold●ケーブル:フルプラグイン●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA×8、ペリフェラル×2、PCI Express 6+2ピン×2、FDD×1●保証期間:3年

システム全体の消費電力:アイドル時39.7W/高負荷時246W
動作音:アイドル時39.9dB/高負荷時41.1dB

SFXを使いやすく拡張 動作音が大きくてもよい用途向け

 SFX規格を独自に拡張し奥行きを2cm長くした大型SFX電源。従来モデルから、「痛パッケージ」のV1.0へと進化し利便性を向上させる仕掛けが追加された。もともと色分けされたコネクタによって対応するケーブルを一目で判別できるのが特徴だったが、V1.0ではこのコネクタの着脱しやすさが向上。ケーブルはフルプラグインですべてフラットケーブル。新モデルで柔軟性も向上している。

 大型SFX筐体を採用したメリットとして、通常8cm角ファンを搭載するSFX規格に対し、本製品は9cm角ファンを採用。ただし静音化に寄与している様子はなく、アイドル時/高負荷時ともに40dB前後だったのは残念。

 Serial ATAコネクタを最大8基使えるためホームサーバー用途に最適。購入前には大きめの奥行きがケースに干渉しないか必ず確認しよう。 (石川ひさよし)

小さいながらも利便性がよい
SFXクラスでは大型の9cm角ファンだが……
色分けコネクタや柔軟なフラットケーブル、ATX変換アダプタなど利便性が◎。ストレージ用ケーブルは3本だが、コネクタは2本分
温度センサーによる回転数制御機能付きの9cm角ファンだが、動作音は大きめ。せっかくの大型化のメリットが薄れてしまった
電源コンデンサは耐熱105℃品2次側は固体コンデンサも併用
ATXより明らかに小さな基板で部品間も近く、ヒートシンクも小ぶり。電解コンデンサは1次2次とも日本メーカー製の耐熱105℃品
基準電圧は12.0V近辺で、降下の幅はPCI Expressが0.3V程度、EPS12Vが0.4V程度。降下の幅に問題はないが、EPS12Vのほうが降下の幅が大きい電源はめずらしい。出力的にも組み合わせるCPUは、メインストリームまでがよいだろう

【編集部の判定】

 あまり選択肢のないSFX規格の電源の中にあって、使い勝手では頭一つ抜けた存在。狭いケース内では、ケーブルがフルプラグイン仕様なのは大きなメリットだ。動作音がやや大きめなのが惜しい。

ATX/SFXコンパクト電源対決 その3
SFX専用ケースのための大出力SFX電源

SilverStone Technology
SFX Series SST-SX550

実売価格:19,000円前後

奥行き10cm

Specification
●規格:SFX●定格出力:550W●ファン:8cm角×1(底面)●80PLUS認証:Gold●ケーブル:直付け●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA ×3、ペリフェラル×2、PCI Express 6+2ピン×2、FDD×1●保証期間:3年

システム全体の消費電力:アイドル時40.1W/高負荷時249W
動作音:アイドル時36.2dB/高負荷時36.9dB

SFXサイズでは最大級の550Wを供給

ATXケースではキビしい短めのケーブル長
ケーブル長が短めなこともあって、小型ケース専用と考えるのがよい。多少柔軟だが一般的なメッシュのスリーブで直付けと、特筆すべき点はない

 標準サイズのSFX電源では最大クラスの550Wを実現。80PLUS Gold認証を取得し、省電力なのもよい。内部は窮屈だが、ヒートシンクやサブ基板もエアフローを考慮したレイアウト。SFX電源で実績ある同社だけに、アイドル時で36.2d B、高負荷時で36.9d Bと、SFX電源の中では静かな部類だ。

 ケーブル長は短く、Mini-ITXケースまでの組み合わせが無難。ATX電源には存在しない10cmという奥行きが干渉問題を解決する決め手となる。直付けでフラットではないケーブルなので、利便性の点では見劣りするが、そもそもの本数が少なく、余ったケーブルがジャマになるほどではない。キューブタイプのMini-ITXケースや同社の「Milo Series ML08」のようなビデオカードを搭載可能なスリムタイプのMini-ITXケースと組み合わせる際に検討したい製品だ。 (石川ひさよし)

1次側の電解コンデンサは150μFの耐熱105℃品を二つ
内部は高密度で、1次側の電解コンデンサは耐熱105℃品を二つ、2次側には固体コンデンサを併用するなど熱対策を施している
基準電圧は12.0~11.9V辺り。ATX24ピンはかなり安定感があり、EPS12Vも0.3V程度の降下に収まっている。唯一、PCI Expressに関しては11.6V以下まで降下したが、降下の幅は0.4V程度であり規格下限まで余裕があるので問題ないだろう

【編集部の判定】

 SFX規格にきっちり準拠しながら550Wの大出力という仕様がポイント。万人向けではないものの、電源の干渉が厳しい超小型ケースで、そこそこ高性能なビデオカードを使うような環境では満点の評価となるだろう。

【検証環境】

CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)
マザーボード:ASUSTeK H97-PRO(Intel H97)
メモリ:Team Group TED316G1600C11DC-AS(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)
ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)
SSD:Intel Solid-State Drive 330 SSDSC2CT240A3K5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)
OS:Windows 10 Pro 64bit版
室温:19℃
暗騒音:33.9dB
アイドル時:ベンチマーク終了10分後の値
高負荷時:3DMarkを実行中の最大値
動作音測定距離:ファンから約15cm
電圧計測方法:三和電気計器 PC-20を3台使用し、各コネクタの電圧を計測
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO

【問い合わせ先】

ディラック:03-5298-3880 /http://www.dirac.co.jp/
SilverStone Technology:03-5298-3880(ディラック)/http://www.silverstonetek.com/


[Text by 編集部 遠山健太郎、石川ひさよし]


DOS/V POWER REPORT 2016年6月号は4月28日(木)発売】

★総力特集「価格も新旧も関係なしの大激突! PCパーツ無差別級対決」
★特別企画「自分で作るRaspberry Piノート pi-top入門講座」「空いているスロットを有効活用 春の内蔵拡張カードコレクション」「PCまわりの使いにくさ、もう放置しない! 今すぐ欲しい環境改善グッズ」
★連載「最新自作計画 ~最新AMD CPUで作るお手頃メインPC~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「インターフェース図鑑+インターフェース拡張パーツカタログ」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)

★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
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(AKIBA PC Hotline!編集部)