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「2015年」を制したのはDetonatioN FocusMe!
「残り1敗」まで追い詰められ……、しかしそこからの逆転勝利 / eスポーツ結果レポート

2015年グランドチャンピオンシップ

ベルサール秋葉原で開催されたグランドチャンピオンシップ。今年のLJL頂上対決をひと目見ようと会場には多くの観客が詰めかけた。
見事グランドチャンピオンシップ優勝を果たしたDetonatioN FocusMe。MVPにはCeros選手(中央)が選ばれた。
シーズン2以降、非常にレベルの高い試合が繰り広げられるようになったLJL。優勝したDetonatioN FocusMeは「IWC」で世界に挑戦する。

 League of Legendsの6チームが総当たりで戦う日本独自リーグ「LJL 2015」。今年行われたシーズン1とシーズン2の締めくくりとして、LJLの頂点を決める「グランドチャンピオンシップ」が8月8日(土)ベルサール秋葉原にて開催された。

 グランドチャンピオンシップでは、2つのシーズンを合わせてシーズンポイント160ポイントを獲得したDetonatioN FocusMe(以下FM)と、100ポイントを獲得したOzone Rampage(以下RPG)との戦いに。

 試合形式は「Bo5」、すなわち先に3勝したほうの勝利だが、結果はセットスコア3:2でFMの勝利となった。

 しかし、その戦いは平坦でなかった。RPGが先に2勝、絶望的とみられたFMが底力を発揮し、続けて2勝、最終5戦目にもつれ込む。最終5戦目はどちらが勝つかわからないほどの混戦となったが、結果としてFMが勝利。

 ちょうど2週間前に行われたシーズン2ファイナルではこの2チームが対戦し、その際はRPGが勝利したが、意地と意地がぶつかりあったこの戦いではFMに軍配が上がる結果となった。

 勝利したFMは、優勝トロフィーと賞金100万円、そして8月末にトルコで開催される「IWC(International Wildcard)」への参戦権を獲得。0:2からの劇的な逆転勝利に選手はお互いに抱き合って喜び、会場は大いに沸いた。一方のRPGはこれまで強さを見せつけてきただけに、大事な勝負を落とし悔し涙を見せた。

 では、それぞれの試合について詳しく見ていこう。

【対戦カード】

GRAND CHAMPIONSHIP (Bo5)

DetonatioN FocusMe 3―2 Ozone Rampage
【シーズン1最終結果】
順位チーム名シーズンポイント
優勝DetonatioN FocusMe100
準優勝RabbitFive60
3位Immortals 7th heaven30
【シーズン2最終結果】
順位チーム名シーズンポイント
優勝Ozone Rampage100
準優勝DetonatioN FocusMe60
3位Immortals 7th heaven30

第1セット:DetonatioN FocusMe(×)vs Ozone Rampage(○)

スターティングメンバーにShaft選手を起用してきたRPG。変わらぬ強さを見せつけた。
まず1勝を挙げたのはOzone Rampage。これまで見せてきた強さを大きなステージでもそのまま発揮することに成功した。

 スターティングメンバーは両チームとも事前予告通りのメンバーで臨んだ。

 RPGがジャングルにShaft選手を起用し目を引いたが、FMがトップにYutapon選手、ADキャリーにRokenia選手を起用したことでさらに注目を集めた。ピックは比較的無難だが、シーズン2ファイナルでCeros選手がピックした「ジリアン」をRPGがターゲットバンしたのもポイントといえる。

 試合開始早々、スワップを仕掛けてきたのはFM。序盤は少数戦を仕掛け続けたFMがキルを重ねていく展開に。

 しかし試合開始17分、RPGが集団戦で勝つとミッドでもガンクが成功。さらにRPGがタワーやドラゴンも順調に獲得していく。FMも少数戦でキルを取り反撃を見せる。しかしバロン前の集団戦でRPGが勝利するとそのまま攻め込んでインヒビターを破壊。

 終盤は、集団戦で4キルを取ったRPGがネクサスを割って勝利した。

 これによりまずはRPGが1セットを奪取し、機先を制する形となった。

第2セット:DetonatioN FocusMe(×)vs Ozone Rampage(○)

再びジャングルをDoad選手に変更して臨んだ第2セットでも集団戦での強さが光るOzone Rampag。
試合時間が45分を超える接戦を制したのはOzone Rampag。早々と2戦を取りリーチをかけた。

 第2セットではRPGがジャングルにDoad選手を起用。シーズン2ファイナル同様、プレイスタイルの異なるジャングラーを交互に起用する戦略を取ってきたRPGだったが、ビハインドのFMはもう一度同じメンバーで臨んだ。

 序盤は静かな立ち上がりとなったが11分、まずはRPGがドラゴンを確保。その後は両チームがタワーを折り合う展開に。

 試合が動いたのは25分。バロンをゲットしたRPGだったが、そこをうまく狙ったFMが相手を全滅させ一気にインヒビターまで破壊。しかしRPGもオブジェクトをきっちり確保していき、36分にはインヒビターを破壊。1万ゴールド差がつく展開に。

 最終的にバロンをゲットしバフを受けたRPGがそのまま攻め込み勝利。

 これによりセットスコア2:0で早くもRPGが王手をかけた。

第3セット:DetonatioN FocusMe(○)vs Ozone Rampage(×)

ADキャリーとして出場したFMのRokenia選手が一人で相手選手を全滅させ「ペンタキル」を達成。
追い上げを見せて1勝をあげたDetonatioN FocusMe。写真は「ペンタキル」の主人公Rokenia選手。

 メンバー起用は両チームとも先の試合と変わらず。バンピックではCeros選手が「ダイアナ」をピック。さらにサモナースペルで一般的にミッドレーナーが持たない「テレポート」を選択し目を引いた。追い込まれたFMは巻き返しを図ることができるのか、注目の一戦となった。

 試合は序盤からFMが積極的に少数戦を起こす展開になり、一進一退の攻防が繰り広げられた。

 試合開始16分、FMが集団戦の勝利からドラゴンを確保。その後FMがトップタワーを2本、RPGがミッドとボットタワーを折り合う形に。

 試合開始24分、FMのRokenia選手が「ペンタキル」を達成し余裕のバロン確保。一気にFMが主導権を握る。33分にはFMがをバロンを確保しインヒビターも破壊。そのままじりじりと攻め込んだFMがネクサスを割り、勝利を収めた。

 これによりセットスコア1:2となり、FMが追い上げを図った。2週間前に行われたシーズン2ファイナルの展開と全く同じ展開となり、土壇場でのFMの強さが光る試合だった。

第4セット:DetonatioN FocusMe(○)vs Ozone Rampage(×)

Ozone Rampageを全滅させバロンを確保したDetonatioN FocusMe。1万ゴールド差をつけて優位に立った。
DetonatioN FocusMeは第3セットに続き波に乗ったスピーディな試合展開で勝利を収めた。

 RPGが今度はShaft選手を起用。FMはミッドで「フィズ」をピック。グランドチャンピオンシップでは、Ceros選手のチャンピオンプールの広さがうかがえるピックが注目を集めた。

 序盤、少数戦でキルを稼いだFMがドラゴンも確保しアグレッシブなプレイを見せる。

 さらに11分、FMは4キルからミッドタワーを折り有利をつくる。さらに13分にはドラゴンを確保し集団戦でも勝利。FMが攻めRPGが耐える展開に。

 試合開始25分、FMが集団戦で相手を全滅させ「ACE」、バロンも確保。さらにドラゴンもゲットしてその差は1万ゴールド差に。一気に攻め込んだFMがネクサスを破壊し勝利。

 これによりセットスコア2:2となり、勝負は最終セットに持ち込まれた。

第5セット:DetonatioN FocusMe(○)vs Ozone Rampage(×)

一進一退の攻防を繰り広げた両チーム。写真はRPGがバンをはずした「アジール」をすかさずピックしたCeros選手の活躍の様子。
優勝が決まった瞬間のDetonatioN FocusMe。ブースの中で抱き合いながら喜びをかみしめる選手たち。

 RPGは再びDoad選手を起用。一方のFMは最後まで同じメンバーで戦いに臨んだ。

 注目のバンピックでは、ここまで「ジリアン」「アーリ」「アジール」を固定バンしてきたRPGが、ここへきて「ベイン」「カリスタ」といったRokenia選手へのターゲットバンを見せてきた。そしてピックではDoad選手が日本の競技シーンでは珍しい「ノクターン」をピックし勝負に出てきたRPG。泣いても笑ってもここで勝ったチームが勝利となる最終セット。試合が始まると会場からは大きな拍手が沸き起こった。

 試合は最終セットとあって両チームとも慎重な立ち上がり。試合開始9分、FMがドラゴンを確保し、その後も順調にオブジェクトを確保していく展開に。

 しかし、その後RPGが集団戦で勝利し巻き返しを図る。ところが4つ目のドラゴンを確保したFMが集団戦で勝利し、バロンも獲得。

 逆転に次ぐ逆転で迎えた35分、RPGは集団戦で相手を全滅させてからドラゴンを確保。35分を過ぎてもグローバルゴールド差がほとんどない状況。しかし終盤、FMがバロンを確保すると集団戦にも勝利し5つ目のドラゴンをゲット。懸命の守りを見せたRPGだったが最後に攻め込まれ万事休す。ネクサスが割れFMが勝利を果たした。

 これによりセットスコア3:2でFMの劇的な逆転勝利となった。

「IWC(International Wildcard)」は8月末からトルコで開催

 優勝したFMは8月末からトルコで開催される「IWC(International Wildcard)」に参戦する。詳しい情報はLJL公式サイト等で追って発表される見通しだ。

 シーズン1の優勝者であるDetonatioN FocusMeは4月に世界大会に出場しているが、そのときは予選敗退に終わっている。しかしながらサーバーのない国としては快挙といえる1勝を果たすことには成功した。あれから半年足らずだが、日本のLoLのレベルは飛躍的に高くなっている。世界のステージで活躍するDetonatioN FocusMeに期待したい。

編集部より

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[写真提供 株式会社SANKO]

(AKIBA PC Hotline!編集部)