借りてみたらこうだった!
2,560×1,440でもOverwatchは60fps越え、GTX 1060の性能をゲームでチェック
高冷却かつ静音、完成度の高いMSIの「GeForce GTX 1060 GAMING X 6G」 text by 坂本はじめ
2016年7月26日 11:00
今回レビューするのは、GeForce GTX 1060を搭載したMSIオリジナルデザインのビデオカード「GeForce GTX 1060 GAMING X 6G」。
MSIが独自の仕様を盛り込んで作り上げた最新世代ミドルレンジビデオカードの出来栄えをチェックしつつ、話題のFPSゲームOverwatchでその実力をチェックしてみた。
オリジナルデザインの基板とクーラーを採用した「GeForce GTX 1060 GAMING X 6G」
MSI GeForce GTX 1060 GAMING X 6Gは、Pascalアーキテクチャを採用したGeForce GTX 10 シリーズのミドルレンジGPU「GeForce GTX 1060」をオーバークロックして搭載したビデオカード。VRAMとして6GBのGDDR5メモリを備えている。
MSIオリジナル設計の2スロット型GPUクーラー「TWIN FROZR VI」を搭載し、基板にも10フェーズの電源回路と8ピン補助電源コネクタを備えたMSI独自設計のものを採用。
カードサイズは277×140×39mmで、同社のハイエンドカードと同様に基板表面に金属プレートを装着するなど、ミドルクラスのカードながら豪華な仕様となっている点も特徴だ。
また、MSI GeForce GTX 1060 GAMING X 6Gには、GPUとVRAMの動作クロックが異なる3つの動作モード(OCモード/ゲーミングモード/サイレントモード)が用意されており、最大クロックで動作するOCモードでは、GPUベースクロック1,595MHz(+89MHz)、GPUブーストクロック1,810MHz(+102MHz)、メモリ速度8.1Gbps(+0.1Gbps)で動作する。なお、動作モードについては、ユーティリティツール「MSI GAMING APP」から任意のモードを選択できる。
ソフトウェア面では、前述の「GAMING APP」の他に、オーバークロック機能を持つ「MSI Afterburner」が用意されている。動作モードの切り替えやLEDの動作などが可能なGAMING APPに対し、MSI AfterburnerではGPUやファンの挙動をより細やかに調整することが可能で、GPU Boost動作の基準となるPower TargetやTemperature Targetなどの調整もできる。
新型GPUクーラーの「TWIN FROZR VI」、余裕を持ってGTX 1060を冷却
MSI GeForce GTX 1060 GAMING X 6Gが搭載する独自設計のGPUクーラー「TWIN FROZR VI」は、100mm径の大口径ファンを2基搭載した2スロット仕様のGPUクーラー。60℃を基準にファンの回転を停止するセミファンレス機能「Zero Frozr」を備えている。
冷却ファンとして搭載する100mm径ファンは「トルクスファン2.0」と呼ばれる改良品。トルクスファンは、ファンブレードにひねりの大きな「分散型」と通常仕様の「従来型」を混載したMSI独自デザインのものだが、トルクスファン2.0ではブレードの形状や配置などを改良することで風圧を22%向上。軸受けは静音性に優れるとされるスリーブベアリングが採用されている。
ヒートシンクには、3本のヒートパイプを搭載。接地面には銅製のプレートを採用、ヒートパイプの形状を最適化することで銅製プレートとの接地面積を増やし、効率的な熱輸送を実現。また、ヒートシンク全体には腐食や変色を防ぐめっき処理を施している。
※(8/9 訂正)記事初出時、搭載ファンに採用されているベアリングをダブルボールベアリングと記載しましたが、「GeForce GTX 1060 GAMING X 6Gにはスリーブベアリングが採用されていることが判明した」とエムエスアイコンピュータージャパンから連絡があったため、記事を訂正いたしました。読者の皆さまにはお詫び申し上げます。
※(8/10 追記)なお、エムエスアイコンピュータージャパンでは、7/19〜8/12の期間に既に製品を購入した方を対象とした返品プログラムを開始したとのこと。希望する場合は8/26までに購入ショップへ返品手続きを申し出る必要がある。詳細はこちら。
さて、TWIN FROZR VIの冷却能力はどの程度のものなのか、ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークを4K解像度(3,840×2,160ドット)で実行した際のGPU温度などを測定してみた。
GPUの動作モードはOCモードを選択。測定時の室温は27℃、温度の取得はGPU-Z 1.9.0で行った。また、TWIN FROZR VIでは、セミファンレス機能のZero FrozrをGAMING APPで無効化できるようになったので、Zero Frozrの有効時と無効時の数値をそれぞれ取得した。
ベンチマーク実行中の最大GPU温度はZero Frozr有効時に65℃、無効時は64℃だった。MSI Afterburnerによれば、MSI GeForce GTX 1060 GAMING X 6GのGPU Boostの動作基準温度となるTemperature Targetは83℃に設定されており、GPUの温度はパフォーマンスを十分に発揮できる温度にコントロールされていることがわかる。
冷却ファンの回転数は最大でも1,000rpm前後となっている。Zero Frozr有効時の方がやや高めのファン回転数となっているが、動作音についてはどちらも耳につくような騒音は発生しておらず、差があるようには感じられなかった。
なお、セミファンレス機能のZero Frozrの挙動もここで紹介しておこう。上のグラフはZero Frozr有効時にベンチマークを実行した際、ファン回転数がどのように変化するのかを調べたものだ。
GPU温度が60℃を超えたあたりでファンが動作しはじめ、ベンチマーク終了後GPU温度が50℃前後となったあたりで再びファンが停止していることがわかる。このあたりの温度が閾値となっており、GPU負荷が軽ければファンレスカードとしても使用可能だ。ちなみに、Zero Frozrを無効とした際のファン回転数の下限は800rpm前後だった。
最後にベンチマーク実行中のGPUクロックを紹介する。Zero Frozrの有無に関わらず1,900MHz台中盤でほぼ一定となっている。この結果からは、十分に冷却されたGPUが最大限のパフォーマンスを発揮できていることが分かる。
TWIN FROZR VIの冷却能力は、OCモードで動作するGeForce GTX 1060の発熱を余裕をもって処理できるものだ。Zero Frozrの有無はパフォーマンスに影響を及ぼさないようコントロールされているため、自分の好みでON/OFFを切り替えて問題なさそうだ。
ビデオカード以外のテスト環境機材
CPU IntelCore i7-6700K
メモリ DDR4-2133 8GB×2
SSD OCZ Vector 180 (480GB)
電源 玄人志向KRPW-TI700W/94+(700W/80PLUS TITANIUM)
OS 日本マイクロソフトWindows 10 Pro(64bit)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 368.64
2,560×1,440ドットでもOverwatchを60fps超えで快適にプレイ可能
MSI GeForce GTX 1060 GAMING X 6Gのゲームパフォーマンスを、話題のFPSタイトル「Overwatch」でチェックしてみた。
描画設定プリセットの中で最も高品質な「エピック」を選択した場合、1,920×1,080ドットで100~130fps前後、2,560×1,440ドットでは70~90fps前後のフレームレートを記録した。
いずれも60fpsを余裕で上回っており快適なプレイが可能だ。描画設定を1段下のウルトラに落として、高リフレッシュレートディスプレイと組み合わせることで、よりスムーズな描画を楽しむこともできるだろう。
ちなみに、OverwatchのGPU負荷は、対戦中より、リザルトやタイトル画面でキャラクターが画面いっぱいに描画されている時の方が高い傾向がある。GPU性能に依存するフレームレートの下限は、タイトル画面のフレームレートを確認することでおおよそ把握できる。
ソフトとハードの両面で高水準に仕上げられたMSIのGTX 1060搭載カード
GPUの発熱を完全にコントロール下における高性能なGPUクーラー「TWIN FROZR VI」を備え、安定したパフォーマンスを発揮するGeForce GTX 1060 GAMING X 6Gは、完成度の高いGeForce GTX 1060搭載ビデオカードだ。
また、完成されたハードウェアだけでなく、AfterburnerとGAMING Appという使い勝手の良いのユーティリティソフトの存在も見逃せない。
ハードウェアとソフトウェアの両面で高い完成度に仕上げられたGeForce GTX 1060 GAMING X 6Gは、オリジナル版GeForce GTX 1060の購入を検討するゲーマーにとって、選択肢から外せない一枚となるだろう。
[制作協力:MSI]
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