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冷える「新型TWIN FROZR」のGTX 1080、ゲームで性能をガッチリ検証
耐久面も強化したMSI製GeForce GTX 1080/1070の特徴も聞いてみた text by 石川ひさよし
2016年6月29日 11:00
電力性能比で注目を集める最新GPU「GeForce GTX 10」シリーズ。より高い性能や静音性を求めて、オリジナルデザインのカードを狙っているユーザーも多いのではないだろうか。
そこで、MSIオリジナルクーラーの最新版「TWIN FROZR VI」を搭載したGeForce GTX 1080/1070 GAMINGシリーズカードを今回テストしてみた。結論から言うと、「TWIN FROZR VI」搭載カードは“冷えて静か”な優等生モデル。ゲームプレイ時のパフォーマンスや消費電力の面でも優れた特性を発揮しており、アップグレード用途にもお勧めだ。
検証はゲームパフォーマンスだけで無く、静音性や消費電力などの部分も詳しくお伝えするが、まずは「TWIN FROZR VI」がどういったクーラーなのか、COMPUTEX TAIPEI 2016開催時に同社のビデオカード担当の方に特徴を聞いてきたので、改良された部分や、GeForce GTX 1080/1070搭載カードのポイントから紹介しよう。
ファン形状とヒートパイプの改良で冷却能力向上、新型の「TWIN FROZR VI」耐久性の高い部材を採用して長寿命化
――プロダクト担当者から見て、今回のNVIDIA GeForce GTX 1080 GPUはどのようなGPUでしょうか。
[Wang氏]GeForce GTX 1080は現時点のゲーミング用途ではベストなGPUです。なにしろGeForce GTX TITAN Xよりも30%高いパフォーマンスですし、そのパフォーマンスでGeForce GTX 980クラスの省電力ですから、(より大出力の電源を必要とするような)TITAN Xをわざわざ求める理由はありません。MSIではかねてよりゲーミングにフォーカスしてまいりました。その意味では市場を盛り上げるかっこうのGPUだと思っております。
――現在のラインナップをご紹介ください。
現在のGeForce GTX 1080のラインナップは、Founders Editionモデルと、TWIN FROZR VIを搭載する「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」モデルをご用意しております。今後、7月頃を目標に水冷仕様の「GeForce GTX 1080 SEA HAWK X」を、7月初旬にEK Water Blocks製の水冷ヘッドを搭載した「GeForce GTX 1080 SEA HAWK EK X」をリリースする予定です。
――「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」を例に、今世代の製品の特徴を教えて下さい。
[Wang氏]まずは冷却機構の「TWIN FROZR VI」からご説明いたします。「TWIN FROZR VI」では、トルクスファン2.0、ヒートパイプの2点が大きく進化した点になります。
トルクスファン2.0ですが、これは従来から採用されておりましたトルクスファンの進化版になります。2.0ではブレードのひねりを大きくし、幅も広げています。
ブレードの枚数は同じですが間隔を狭く隙間なく配置することで、風量は13%、風圧は22%向上しました。合わせて、ファンのベアリングをロングライフのスリーブベアリングから2ボールベアリングへと変更しておりますので、こちらもより長寿命になっております。
続きましてヒートパイプになりますが、こちらは従来製品では8mm径の「楕円型」ヒートパイプを用いておりましたが、今回採用しているのは8mm径のヒートパイプを加工し、ベースプレートとの接触部分を「角型」にしたものです。角型のヒートパイプはベースプレートとの接地面を増やせるため、熱輸送の点では10mm径ヒートパイプとほぼ同等になります。また、角型としてことで隙間なく詰め込むことが可能となり、6mm角ヒートパイプをGTX 1080では5本、GTX 1070では4本加え、トータルでの本数を増加、熱輸送能力を引き上げています。加えてGPU接触面が拡大した点でも性能は向上しております。
これは他社がアピールしていたため我々も追従してアピールする形となったのですが、グリスはかなりよいもの用いています。
――よいと言いますと、具体的にはどのようなグリスなのでしょうか。
[Wang氏]具体的というのは少々控えさせていただきますが、社内テストではさまざまなグリスを使用し、熱伝導率だけでなく、製品寿命への影響など多方面から総合的に判断し、もっとも優れたパフォーマンスを発揮できるグリスを採用しています
――冷却性能という点では従来のTWIN FROZRからどのくらい進化したのか数値としてお持ちでしょうか。
[Wang氏]現在のGPUクーラーの制御は、低負荷時にはファンの回転を抑制する形で進んでおりまして、MSIでも「ZERO FROZR」という形で制御しております。そのため、極限まで冷えるようなシチュエーションは少ないのですが、例えば極高温になった際の冷却性能では、従来製品よりさらに4℃冷えるクーラーに仕上がりました。
――基板設計の点ではいかがでしょうか。
[Wang氏]まず、基板設計部分では今回10レイヤーPCBを採用いたしました。合わせてGDDR5Xに対する最適化を行っております。この回路を作りこむのは大変苦労いたしました。
また、オリジナル基板という点で、Founders Editionの6フェーズに対し、「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」では10フェーズの電源回路を搭載しております。補助電源コネクタも、本来の8ピンに6ピンを追加して大電力を供給可能とし、これによりオーバークロック性能も高めております。
コンポーネントでは、MSI独自の品質基準「Military Class 4」に準拠するものを採用しております。具体的には固体コンデンサ、コイル鳴きを抑制したSFCチョーク、Hi-C Capなどから構成され、電力効率や発熱の抑制、長寿命といった特徴を向上させています。
――デザイン面では従来からのデュアルファン、そしてブラック/レッドのデザインを継承しているようですね。こちら従来からの変更点はあるのでしょうか。また、そのコンセプトなどを教えて下さい。
[Wang氏]デザイン面では、今回LEDを増加させています。分かりやすいのは後部ファン部分でしょう。前部ファンはレッドで塗装されているのに対し、後部ファンはブラックをベースに上下にレッドを加えているのですが、これはMSIのエンブレムにも描かれているドラゴンが、ツメで引っ掻いたイメージでデザインしております。そしてこの部分ですが、今世代から赤色LED発光いたします。合わせて、クーラーの上部、SLIブリッジの部分にMSIロゴを搭載しておりますが、こちらもフルカラー発光に対応いたしました。
メモリ用にもヒートシンクを備え、背面にはバックプレートを装着しています。バックプレートはドラゴンのウロコを模したデザインです。ブラケット部分にもドラゴンをイメージした装飾があるのはGAMINGシリーズのみとなっています。
――さらに上位に位置するモデルなどの投入も検討されているのでしょうか。
MSIでは、より高クロックで動作するGeForce GTX 1080 GAMING Zも計画しています。また、最上位モデルの「LIGHTNING」に期待してくれている方もいらっしゃると思いますが、LIGHTNINGはその世代の最上位GPUで展開する方針がとられており、GeForce GTX 1080のLIGHTNINGバージョンの製造は現在計画していません。ただし、GeForce GTX 1080を超える最上位GPUがなかなか出ないような状況になった場合には、その限りではないかもしれないというのが今話せる情報となります。
――最後に、ほかのメーカーでは3連ファンの製品も多く見られるようになりましたが、TWIN FROZRはなぜ2連ファンにこだわっているのでしょうか。
[Wang氏]まず我々(GAMINGシリーズでは)カード長を28cm以下に抑えたいという設計コンセプトがあります。ケースと干渉してしまってはせっかくのビデオカードが搭載できませんしね。また、GeForce GTX 1080の性能で分かる通り、Pascal世代ならデュアルファンのTWIN FROZRで十分に冷却できます。また、静音性にこだわるためというのもデュアルファンを選択している理由の一つです。
まずはベンチマークで「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」の性能を検証fps向上を狙うならOCモード
それでは、製品自体のパフォーマンスとカードの特徴をベンチマークソフトやゲームを使って確認していこう。
MSIのGAMINGシリーズビデオカードには、3つの動作クロック設定が用意されている。それぞれ、「OCモード」、「ゲーミングモード」、「サイレントモード」だ。
基本的に、OCモードの動作クロックはGPUコアクロックが1,708MHz、ブーストクロックが1,847MHz、メモリクロックが10.1GHzだ。GPUはGeForce GTX 1080の定格クロックから101MHz引き上げられており、メモリも100MHz引き上げられている。ゲーミングモードは若干マイルドで、GPUコアクロックが1,683MHz、ブーストクロックが1,822MHz、メモリクロックはGeForce GTX 1080定格の10GHzになる。そしてサイレントモードはGPUコアクロックが1,608MHz、ブーストクロックが1,747MHzと、GeForce GTX 1080定格になる。このように、GPU定格クロックからマイルドなOC、メモリまでOCした最高クロック状態と、ソフトウェアから切り換えられるのが特徴だ。
では、3つのモードによるパフォーマンスの違いをベンチマークで明らかにしておこう。
一つ目の3DMarkスコアは、それぞれ3回計測した平均をスコアとして採用している。サイレントは16,100ポイント台、ゲーミングはそれより200ポイント高い16,300ポイント台、OCはさらに200ポイント上積みして16,500ポイント台といったところだ。
実際のゲームタイトルであるRise of the Tomb Raiderにおけるビルトインベンチマークでは、サイレント、ゲーミング、OCと、2.5fpsずつ平均fpsが向上する結果となった。アンチエイリアスこそかけていないが、PureHairを含む画質オプションはUltraからさらに引き上げた最高画質に引き上げている。
高負荷状態でサイレントとOCの間には5fpsの差がついており、ゲーマー的には無視できない値なのではないだろうか。パフォーマンスを優先するか、静音性を優先するか、ユーザーが選ぶことができるのはポイントになるだろう。
ゲームで実パフォーマンスをチェック、全ての面で前世代を凌駕するGTX 1080GTX 1070は静音性と消費電力面で優れた特性を発揮
続いては「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」と「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」、前世代ハイエンドの「GeForce GTX 980 Ti GAMING 6G」の3枚でパフォーマンスを比較してみよう。
「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」と「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」は製品のパフォーマンスを見る上で動作音や消費電力を含めすべてOCモードを使用し、比較対象のGeForce GTX 980 Ti GAMING 6Gは、GeForce GTX 980 Tiの定格クロックで動作するサイレントモードと、最高性能となるOCモードで計測した。
まずは3DMark。GeForce GTX 980 Tiの定格クロックで比較すると、「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」は若干上、「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」は2,000ポイント以上の差を付けて高いスコアを記録した。GeForce GTX 980 Ti GAMING 6Gも、OCモードであれば「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」に負けなかったが、以降で紹介するそのほかのテスト結果と見比べ、検討していただきたい。
ゲームベンチマークは、今回メインストリームのゲーム環境を想定し、すべて1,920×1,080ドットとした。そのうえで、とにかく最高画質でどれだけ快適なのかを検証していきたい。
ゲームの1タイトル目はGrand Theft Auto V。グラフはビルトインベンチマークのPass 4の値を抽出している。画質はNVIDIA TXAAおよびPCSSを有効とし、そのほかは最大まで引き上げている。平均フレームレートでは、どれも60fpsを超えているのでなめらかだ。「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」はGeForce GTX 980 Ti GAMING 6GのOCモードと同等のパフォーマンス、サイレントモードからは5fpsの向上が見られた。
「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」はさらにひとつ突き抜けたパフォーマンスを示していた。GeForce GTX 980 Ti GAMING 6Gのサイレントモード、つまりGeForce GTX 980 Tiの定格からは18fps近く向上している。平均82.270fpsという結果は、ゲームプレイ中においてより多くのシーンを60fps以上で楽しめることを意味している。逆に、60fpsに対してそこまで大きな余裕のないほか3つの環境では、60fpsを割り込む時間が多くなることになる。結果、画質を引き下げる決断を迫られる可能性も大きくなるわけだ。
続いてはRise Of The Tomb Raider。DirectX 12モードとし、画質に関してはプリセットのUltraから、ピュアヘアなどのオプションを個別に最高としたうえで、アンチエイリアスのみオフとした。
結果は、どれもプレイする上では十分な平均フレームレートを記録しているが、これまでのグラフと異なり、GeForce GTX 1070の「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」のみがやや低めの値で、GeForce GTX 980 Tiのほうが高い結果となった。おそらく、GDDR5Xで強化されたGeForce GTX 1080、384bit接続のGeForce GTX 980 Tiに対し、GDDR5で256bit接続のGeForce GTX 1070で、メモリ帯域不足が現れたのではないかと思われる。ただし、フレームレート自体は十分にあるので、プレイ自体は問題ない。「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」ならV-SYNCを有効としても常時60fpsをキープしなお余裕のあるフレームレートが得られている。
最後はOverwatch。画質はEPICプリセットとしている。eSportsにも用いられるタイトルなので、120Hz超のハイリフレッシュレートディスプレイと組み合わせ、100fps超が欲しいところだ。結果は、どれも平均フレームレートでは100fpsをこえ、なかでも「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」は平均124.133fpsという120Hzディスプレイの性能をそのまま体感できるフレームレートが得られている。負荷自体もそこまで重くないため、Rise Of The Tomb Raiderで見られたようなGeForce GTX 1070だけの落ち込みもない。
少し動作音についても触れておこう。今回はすべてMSIのTWIN FROZRモデルで、比較対象のみ世代がひとつ古いという違いだ。どちらもZERO FROZRに対応しており、アイドル時はファンの回転を止めてしまう。つまり暗騒音レベル(システムクーラーなどの動作音)である。
計測環境は暗騒音を30dB以下としており、騒音計の計測可能レベルが30dB以上であるため、アイドル時は計測不可だった。そこで、3DMark - Fire Strike実行中の動作音を比較してみた。なお、計測距離はビデオカードのファンから20cmの位置としている。
実際の動作音は、「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」が37dB、「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」は33.8dBと、GeForce GTX 10世代の2モデルは30dB台。GeForce GTX 980 Ti GAMING 6Gはサイレントモードでも40dB台となった。GeForce GTX 980 Tiはひとつ上のセグメントの旧モデルだからより発熱も大きい。
一方、最新世代の2モデルは、これと同等かさらに上のパフォーマンスでありながらより静かという点でポイントになるだろう。そして「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」はとにかく静かだ。生活音を排除するために深夜に計測しているが、それでもほとんど気にならないレベルである。
そして消費電力。アイドル時は起動後10分間の最小値、高負荷時は3DMarkのFire Strike実行中の最大値としている。「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」は、GeForce GTX 980 Ti GAMING 6Gよりも高負荷時で50W以上低く、アイドル時でも8W程度低かった。電力効率のよさがあらためて示されたと言ってよい。そして「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」は高負荷時でも「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」はよりさらに35W低い値となった。
なお、今回の検証環境は、Core i7-6700K(4GHz)、DDR4-2133メモリ8GB×2、Intel Z170搭載MSI Z170A XPOWER GAMING TITANIUM EDITIONマザーボード、SSD×2基、そして1,000Wの80PLUS Platinum認証電源といった構成でテストを行っている。
高負荷時でもファン 1,007rpm/GPU 67℃に収まる「TWIN FROZR VI」の優秀さファン停止機能付き世代のGPU温度は最大値に注目
さて、最後に「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」(OCモード時)のTWIN FROZR VIクーラーの挙動を3DMark - Fire Strikeでの動作で確認しておこう。
まずGPU温度。インタビューパートでも少し触れたが、現在のファン回転数制御では、回す必要のない時には回転を止めるというのがトレンドだ。結果、以前の常時ファンを回転させるクーラーと異なり、極限まで冷えるというグラフにはならない。この点には注意してほしい。最小温度が低ければよいというわけではなく、注目すべきは高負荷時の最大温度ということになる。
最大温度で見ると、67℃止まりであり、GeForce GTX 1080 GPUのリファレンスにおけるしきい値である80℃にはまだ大きな開きをもって余裕だ。その上で最小温度は48℃であり、トータルで見れば40℃~80℃という、半導体にとって最適な動作温度域にしっかりと収まっている。この結果から、TWIN FROZR VIは十分に優秀な性能を持っていると言える。
ファンの回転数も見ておこう。不必要な際にはファンの回転を止めるZERO FROZR機能により、0rpmからスタートするのが特徴的なグラフとなっている。
ファンが回転を始めるのは計測開始後60秒前後で、GPUロードが上がりベンチマークがスタートするのが45秒前後であるため、15秒遅れて回転を開始する結果となった。そしてその際のGPU温度は64℃だ。ログの取得は1秒単位なので、実際の制御はもっと細かな時間軸で行っているのだろう。おそらく65℃あたりが回転開始のしきい値ではないだろうか。
なお、Fire StrikeのGT1、GT2、Physicsテストが完了し、Combinedテストがロードされるタイミングで再び回転が止まった。この時のGPU温度は51℃で、おそらく50℃が回転を停止するしきい値なのではないかと見られる。ファンの最大回転数は1,007rpm。おそらくさらに高回転させることは可能と思われるが、常用域としては上が1,000rpm前後と考えればよい。もし1,000rpmより高回転している場合は、エアフローをチェックしたほうがよいだろう。
ここでまたグラフの見かたについて説明をしておこう。先ほどファン回転停止機能を搭載するビデオカードにおいては、GPU温度の最小値は意味を成さないと書いた。実際そのとおりで、50℃がしきい値であるならば、50℃より下の温度はヒートシンクからの放熱のみで冷却していることとなる。ヒートシンクの放熱性能という点では意味があるのだが、ファンの風が当たる状況と比べると非常にセンシティブであり、これを正確に評価、比較することは難しい。
ただし、GPU温度を下げておくことは、ファンの回転開始までのマージンを稼ぐという点では効果がある。そこで重要となるのはケース内エアフローだ。もちろんケース内のエアフローが悪く、熱がこもるようでは、せっかくのZERO FROZRがあっても回りっぱなしとなってしまう。もし、「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」のようにファン回転停止機能を搭載したビデオカードを使って、思ったような効果が出ないという場合は、マザーボードやGPUに搭載された温度センサーで温度を確認し、ケース内エアフローを改善してみるのがよいだろう。
性能・冷却・静音性すべてで優等生なTWIN FROZR搭載のGTX 1080/1070選んで失敗のないカード
ここまでチェックしてきたとおり、「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」および「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」は、現行ゲームタイトルをフルHD解像度であれば最高画質で、フレームレートにも余裕をもって楽しめるだけのパフォーマンスがある。
それも、OC、ゲーミング、サイレントという3つのモードを切り替えることで、性能と静音のバランスをユーザーが選べる。3つのモードによる性能差も、グラフで示した通り、決して小さくはなく、ただしこれだけの余力があれば、ここぞという時以外は静音に振り分けてもよいだろう。そのほか、GeForce GTX 10シリーズの優れた電力性能比も確認できた。
もうひとつ「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」、「GeForce GTX 1070 GAMING X 8G」を選ぶポイントとなるのがTWIN FROZR VIだ。インタビューでお聞きした新しいヒートパイプのレイアウトやトルクスファン2.0が、十分な冷却性能と優れた静音性を実現していることが確認できた。その上で、やはりデュアルファンレイアウトによるカード長の短さもポイントになるだろう。
10フェーズ分の高さがあるのでそこには注意する必要があるが、長さに関しては実際、よほど小さなものでなければ多くのケースで干渉することなく搭載できる。その点で、選びやすいカード、選んで失敗のないカードと言えるだろう。
[制作協力:MSI]