借りてみたらこうだった!

最速のUSB 3.1インターフェイスを探せ!超高速なUSB-SSDで速度を比較してみた

ASMediaチップやAMD/Intelチップセットなど計6種でテスト text by 久保勇

 USB 3.1 Gen2の帯域をフルに活かせる製品が増えてきたので、今回はインターフェイス毎にどの程度違いがあるのか、最速インターフェイスを探してみたいと思います。

 最速インターフェイスを探すなら最速のUSB 3.1 Gen2対応ストレージが必要となりますが、今回、1GB/sをうたうUSB-SSD「AOK-SSD1000M2NV-U31G2」をアイティプロテックからお借りしたので、これを使用して検証を行いました。

 なお、AOK-SSD1000M2NV-U31G2のケース単品モデル「AOK-M2NVME-U31G2」は以前にレビューしているので、そちらと合わせてご覧いただければと思います。

USB 3.1 Gen2最速クラスのストレージ「AOK-SSD M2NV-U31G2」NVMe SSD内蔵で公称値は最大1GB/s

 今回最速のUSBストレージとして使用するのは、アイティプロテック AOK-SSD M2NV-U31G2シリーズの1TBモデル。最大1GB/sをうたうUSB-SSDで、USB 3.1対応ストレージとしては最速クラスの製品。

 前回、同社のNVMe SSDをUSB接続化する外付けケース「AOK-M2NVME-U31G2」をレビューしましたが、今回紹介するのは、その「AOK-M2NVME-U31G2」にSSDを搭載した状態で販売されるモデル。

 ラインナップは1TBの「AOK-SSD1000M2NV-U31G2」と500GBの「AOK-SSD500M2NV-U31G2」で、発売時期は2月中旬を予定。予価は1TBが税込53,800円、500GBが29,980円で、保証期間は12か月。全国のPCパーツショップや家電量販店で販売されるとのことです。

 搭載USBコントローラはJmicron JMS583で、SSDはCrucialのNVMe SSD P1シリーズを採用。USB Type-CケーブルとUSB Type-C - USB Type-Aケーブルが付属しており、環境を問わず使用可能です。

 ベンチマーク中の動作温度ですが、室温24℃の状態でCrystalDiskInfoで確認する限りでは、最大59℃。ベンチマーク後のアイドル状態では41℃で安定していました。

 長時間負荷をかけているとさらに熱くなると思われるので、布の上など保温性の高いものの上に置いて使用するのは避けた方が良さそうです。

動作時の温度
アイドル時の温度
ベンチマーク中の最大温度


●ジャストマイショップ限定モデル

 今回使用しているアイティプロテックのAOK-SSD M2NV-U31G2は、ジャストシステムとのコラボレーションモデルが用意されており、ジャストシステムの直販サイトで2月8日(金)から販売予定。

 予価は、500GBモデルのM2NVME500-JUSTが税込29,980円、1TBモデルのM2NVME1000-JUSTが税込53,784円で、予約受付中。なお、ジャストシステム製品のユーザーには優待価格での販売も行われます。

 ベースモデルとの主な違いはロゴやパッケージで、性能などに違いはありません。なお、こちらは保証期間が24ヶ月と長期保証モデルになっています。

全6環境で速度をテスト、環境が整えば1GB/sオーバー

速度はCrystalDiskMark 6.0.2で計測。

 今回テストを行ったのは、6種類のインターフェイス。

 ASMediaのUSB 3.1コントローラ「ASM1142」/「ASM2142」/「ASM3142」の3種類に、IntelのThunderbolt 3コントローラ「JHL6240」、AMD B450チップセット、Intel Z390チップセットで速度を計測してみました。

 ベンチマークソフトはCrystalDiskMark 6.0.2を使用しています。

ASMedia ASM1142チップ搭載カード「玄人志向 USB3.1AC-P2-PCIE」

 USB 3.1登場初期に投入されたASMedia ASM1142。かなり古いチップですが、まずはこれから性能を見ていきたいと思います。

 今回使用しているのは同チップを搭載する拡張カード「玄人志向 USB3.1AC-P2-PCIE」。以下はCore i7-8700K + Z390マザーボード環境にこのカードを装着した時の結果です。

 初期のUSB 3.1コントローラですが、シーケンシャルリード約846MB/s、シーケンシャルライト約802MB/sと、USB 3.1 Gen1(USB 3.0)を大きく上回る性能を発揮しているので、初期チップとはいえ、なかなか使える性能です。

テスト環境
・CPU Intel Core i7-8700K
・マザーボード ASRock Z390 Phantom Gaming-ITX/ac(Z390)
・メモリ Ballistix BLS2K16G4D240FSC(DDR4-2400 16GB x2)
・SSD Crucial CT1000Mx500SSD1/JP(SATA 1TB)

ASMedia ASM2142チップ搭載カード「StarTech PEXUSB311AC2」

 ASM1142チップの後継として登場したUSB 3.1コントローラのASMedia ASM2142チップ。搭載マザーボードなども多数発売されていたので、搭載品を持っている人も多いのではないでしょうか。

 今回は同チップを搭載する拡張カード「StarTech PEXUSB311AC2」をCore i7-8700K + Z390マザーボード環境でテストを行いました。

 以下はその結果で、リードライトともに1GB/s超えとかなり高速。シーケンシャルの速度は限界近くまで引き出せており、最速インターフェイスカードの一つと言えそうです。

 なお、ASM2142は搭載マザーボードや搭載拡張カードが多数発売されていますが、モデルによって速度差があるので、全てのASM2142搭載品で1GB/sが出るわけではありません。今回使用しているStarTechのカードは、かなり優秀なモデルです。

テスト環境
・CPU Intel Core i7-8700K
・マザーボード ASRock Z390 Phantom Gaming-ITX/ac(Z390)
・メモリ Ballistix BLS2K16G4D240FSC(DDR4-2400 16GB x2)
・SSD Crucial CT1000Mx500SSD1/JP(SATA 1TB)

ASMedia ASM3142チップ搭載カード「エアリア SD-PE4U31A-A3L」

 USB 3.1 Gen2対応ストレージで1Gb/s超の速度を出せる実績のあるASMedia ASM3142チップ。前回のレビューではリード/ライトともに1GB/sを記録しており、最速インターフェイスの有力候補といえるモデルです。

 以下は同チップを搭載する「エアリア SD-PE4U31A-A3L(Straight2 KOUKI)」でのベンチマーク結果ですが、シーケンシャルリードは約1,051MB/s、ライトは約981MB/sとなりました。

 ライトが1GB/s超えとならなかったのは惜しいのですが、ASMedia ASM3142はリード1GB/s超えを狙いやすいモデルなので、USB 3.1 Gen2対応のUSB-SSDを使用する場合にはお勧めのモデルです。

テスト環境
・CPU Intel Core i7-8700K
・マザーボード ASRock Z390 Phantom Gaming-ITX/ac(Z390)
・メモリ Ballistix BLS2K16G4D240FSC(DDR4-2400 16GB x2)
・SSD Crucial CT1000Mx500SSD1/JP(SATA 1TB)

Intel JHL6240 Thunderbolt 3 Controller搭載マザーボード「ASRock Z390 Phantom Gaming-ITX/ac」

 IntelのThunderbolt 3コントローラはUSB 3.1 Gen2機器にも対応しています。今回は「Intel JHL6240」搭載マザーボードを利用して速度を検証してみました。

 以下は同チップを搭載するASRock Z390 Phantom Gaming-ITX/acでの検証結果ですが、シーケンシャルリードは約898MB/s、シーケンシャルライトは873MB/sとなりました。

 USB 3.1 Gen1(USB 3.0)よりはかなり高速ですが、ASMedia ASM2142/ASM3142などと比べると大人しめです。とはいっても実用的な性能は出ているので、最高速を求めないのであれば十分な性能ではないでしょうか。

テスト環境
・CPU Intel Core i7-8700K
・マザーボード ASRock Z390 Phantom Gaming-ITX/ac(Z390)
・メモリ Ballistix BLS2K16G4D240FSC(DDR4-2400 16GB x2)
・SSD Crucial CT1000Mx500SSD1/JP(SATA 1TB)

AMD B450チップセット搭載マザーボード「MSI B450M MORTAR TITANIUM」

 AMD B450チップセットはUSB 3.1コントローラを内蔵しており、追加チップなしでUSB 3.1 Gen2対応機器を利用可能です。AMDチップセットを使ったテスト結果はあまりみないので、今回検証してみました。

 以下は同チップを搭載するMSI B450M MORTAR TITANIUMでの結果ですが、シーケンシャルリードが約961MB/s、ライトが約940MB/s出ており、まずまずの数値です。ランダムアクセスなども特別速いというわけではありませんが、バランス良く速度が出ており、実用的な性能が発揮されています。

 AMDチップセットはベンチマークの数値などはIntelチップセットを比べた際に大人しめな結果になる印象を持っていましたが、実際はかなり使える感じです。

テスト環境
・CPU AMD Ryzen7 2700
・マザーボード MSI B450M MORTAR TITANIUM(B450)
・メモリ Ballistix BLS2K16G4D240FSC(DDR4-2400 16GB x2)
・SSD Crucial CT1000Mx500SSD1/JP(SATA 1TB)
・ビデオカード GALAX GeForce GTX 1070 HOF

Intel Z390チップセット搭載マザーボード「ASRock Z390 Phantom Gaming-ITX/ac」

 Intel Z390チップセットはUSB 3.1コントローラを内蔵しており、追加チップなしでUSB 3.1 Gen2対応機器を利用可能です。Z370チップセットからの強化ポイントがこの部分なので、速度が気になっていた人もいるかと思います。

 以下は同チップを搭載するASRock Z390 Phantom Gaming-ITX/acで計測した際の数値ですが、シーケンシャルリードは約958MB/s、ライトが約910MB/sとなりました。

 AMD B450チップセットもなかなかの速度が出ていましたが、最新世代のチップセットに搭載されたUSB 3.1 Gen2の機能はなかなか強力であることがわかります。

テスト環境
・CPU Intel Core i7-8700K
・マザーボード ASRock Z390 Phantom Gaming-ITX/ac(Z390)
・メモリ Ballistix BLS2K16G4D240FSC(DDR4-2400 16GB x2)
・SSD Crucial CT1000Mx500SSD1/JP(SATA 1TB)

最速クラスのUSBストレージを使うならインターフェイスにもこだわろう

 USB 3.1 Gen2登場当時、1GB/s近くまで速度がでる高速ストレージは高級品に限られていましたが、NVMe - USB変換チップの登場で一般ユーザーにも身近な存在になりつつあります。

 特に大容量データを持ち運ぶ人にとって、データ転送の時間を大幅に短縮できるアイテムなので、今後USB接続の高速ストレージはさらに注目されるはずです。今回使用しているアイティプロテック AOK-SSD1000M2NV-U31G2は、テストしている限り比較的多くの環境で使えているので、今すぐ高速ストレージが欲しいユーザーにはお勧めの製品といえます。

 また、こうした高速USBストレージの速度を活かすには、インターフェイス側の性能も重要。今回最速となったASMediaのAS2142チップを搭載するStarTech PEXUSB311AC2や、次点のASM3142チップを搭載するエアリア SD-PE4U31A-A3Lなどは特に優秀で、最速環境を構築する際の有力な選択肢になります。また、追加コスト無しで利用可能なIntel Z390チップセットやAMD B450チップセットなども、1GB/sに迫る速度が発揮できているので、導入しやすい環境と言えるのではないでしょうか。

 まだ登場して間もないジャンルの製品なので、互換性などはこれからといった部分もありますが、高速ストレージを使用する際の参考にしてもらえれば幸いです。

[制作協力:アイティプロテック]