借りてみたらこうだった!
GIGABYTE GA-Z87X-UD4Hをテスト、高性能電源回路を採用
2013年10月22日 13:00
どーも、こんにちは。最近、体力の衰えを感じ始めた瀬文茶です。今回は、「買ってみたらこうだった!」の番外編として、「借りてみたらこうだった!」をお届けします。
「買ってみたらこうだった!」では、個人が購入したアイテムのレビューをお届けしていますが、「借りてみたらこうだった!」は、メーカー/代理店からの貸出機を使用してのテストの結果をお伝えします。
「買ってみたらこうだった!」同様、ざっくりとしたミニレビューをお伝えするものなので、網羅的な内容ではありませんが、メーカーがウリとする機能のチェック、筆者イチオシのポイントなど、的を絞って紹介していきたいと思います。
さて、今回お借りしたのは、Intel Z87 Expressチップセットを搭載した、GIGABYTE製マザーボード「GA-Z87X-UD4H」。今回のミニレビューでは、「GA-Z87X-UD4H」のセールスポイントに絞って、その魅力をチェックしたいと思います。
Intel Z87 Expressチップセット登載の高品質スタンダードマザーボード
GIGABYTEはIntel Z87 Expressチップセット登載マザーボードを多数ラインナップしていますが、GA-Z87X-UD4Hはその中で、「高品質なスタンダードモデル」という位置づけにあるというATXフォームファクター準拠のマザーボードです。
GA-Z87X-UD4Hは、Intel Z87 Expressチップセット世代から新採用された、GIGABYTE独自の品質規格「Ultra Durable 5 Plus」に準拠したモデルです。GIGABYTE製マザーボードでお馴染みのDual BIOSに加え、International Rectifier社のMOSFETとPWMコントローラで構成されたデジタル電源回路、冷却性能を高めた新設計のヒートシンク、10ポートのUSB3.0ポート、これら4つの要素がUltra Durable 5 Plusの準拠要件とされています。
GIGABYTEによれば、このマザーボード最大のセールスポイントは、先述のUltra Durable 5 Plusの必要要件の一つであるInternational Rectifier社製品で構成されたデジタル電源とのこと。という訳で今回は、その自慢の電源部分が如何程のものなのかチェックしてみます。
IR社製の高効率Driver MOSFET採用の16フェーズVRM
GA-Z87X-UD4Hでは、VRM(Voltage Regulator Module)に16フェーズのデジタル電源回路を採用。この電源回路は、International Rectifier社のDriver MOSFET「IR3553」と、デジタルPWMコントローラ「IR3563B」によって構成されています。
International Rectifier社PowIRstage ICシリーズのDriver MOSFETの「IR3553」は、1フェーズあたり40Aの電流を供給可能な高出力に加えて、ピーク時には90%を超える変換効率を実現したICです。この高効率かつ大出力なDriver MOSFETの採用により、CPUへの安定した電源供給と、電圧変換のロスとして発生する熱と消費電力の抑制を実現しています。
一般に、マザーボードのVRM部分は、ボード上でも特に温度が高くなる部分であり、適切な冷却が行われないと故障の原因となりやすい個所です。GA-Z87X-UD4Hでは、高効率=低発熱なDriver MOSFETの上に、大型のヒートシンクを搭載して冷却していますが、実際にはどの程度の温度で動作するのでしょうか。ヒートシンクに温度計を取り付けて温度を測定してみました。
テストでは、TDP 84WのIntel Core i7-4770Kにオールインワン水冷クーラーを搭載。室温25.5±0.5℃という条件下で、ストレステスト「Prime 95 v27.9(Small FFTs)」を1時間実行した際の最高温度(ロード)と、ストレステスト終了から1時間後の温度(アイドル)をそれぞれ測定しました。
ケースのエアフローによる冷却が望めず、CPU周辺パーツに対する冷却性能に乏しいオールインワン水冷クーラーという状況下での高負荷テストは、電源回路の冷却的にはかなり厳しい条件です。しかし、そんなテスト条件であっても、ロード時のヒートシンク温度は41.6℃。手で触れても暖かさを感じる程度の温度に留まっています。
今回と同様のテストを行うと、VRM用ヒートシンクが触っていられないほど熱を持つマザーボードも珍しくありません。オールインワン水冷クーラーとの組み合わせでこの温度は、中々優秀な結果と言えるでしょう。オールインワン水冷クーラーをはじめ、CPUソケット周辺の冷却能力に乏しいCPUクーラーでも、安心して組み合わせられますね。
OC設定も充実のUEFI BIOS
GA-Z87X-UD4Hをはじめ、GIGABYTEのIntel 8 シリーズチップセット登載マザーボードでは、新GUIを採用したUEFI BIOSを採用しています。
よりグラフィカルになった新GUIでは、マウスでの操作性が向上した他、メニュー項目のカスタマイズが行えるなど、従来のUEFIやBIOSとはかなり異なり、先進的でユニークな構造。反面、キーボード操作メインの旧来のBIOS操作に慣れ親しんでいたユーザーは、デザインの大幅な変更に戸惑うかもしれませんが、なんとこのUEFI BIOS、従来のGUIも用意されているのです。
新旧GUIは、F2キーを押すことでいつでも切り替えが可能です。新GUIを採用すると、旧GUIが切り捨てられて対応に四苦八苦するというのが常のPCにおいて、キーボード操作がしやすくBIOSライクな旧GUIと、グラフィカルでマウス操作がしやすい新BIOSの選択が可能というのは、とてもありがたいことです。
また、GA-Z87X-UD4HのUEFI BIOSは、各種クロックや電圧の設定項目が充実しています。スタンダード向けマザーボードでありながら、用意されているOC関連の設定項目は、筆者が持っているオーバークロック向けマザーボード「GA-Z87X-OC」に引けを取りません。
もちろん、同じ設定が行えるからと言って、同じように動作するという訳ではありませんが、常用レベルのオーバークロックにチャレンジするにあたり、BIOS設定項目の不足が問題になることはまず無さそうです。
スタンダード向けながらOCもこなせる万能製品
冒頭で紹介したように、GIGABYTE的には高品質スタンダードマザーボードというポジションのGA-Z87X-UD4H。
しかし、今回試してみた感じでは、電源回路は定格運用にはもったいないほど余裕のある設計を採用していますし、UEFIから設定できる各種クロックや電圧も充実しています。記録を狙うようなオーバークロックとなると、また別の話でしょうが、常用前提のカジュアルなオーバークロックなら十分に楽しむことができそうです。
現在、GA-Z87X-UD4Hの実売価格は23,000円前後。Intel Z87 Expressチップセット登載マザーボードとしての基本を押さえつつ、高品質な電源回路を採用したGA-Z87X-UD4Hは、とにかく安く組みたいという場合を除き、HaswellベースのPCを作ろうと考えている多くのユーザーにお勧めできるマザーボードです。
GA-Z87X-UD4Hの低発熱なVRMを生かして、ファンレスPCUクーラー静音PCや、オールインワン水冷クーラー搭載PCを作ってみるのも面白いでしょう。
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