借りてみたらこうだった!

TDP 17WのCeleron搭載、小型PC自作キット「Shuttle DS437T」をテスト

ファンレス仕様/Celeron 1037U採用

Shuttle DS437T

 今回は、ShuttleよりIntel Celeron 1037U搭載のスリムデスクトップ型ベアボーンキット「DS437T」をお借りしました。

超低消費電力版Ivy Bridge「Celeron」搭載ベアボーンキット

フロントパネル。電源スイッチ、SDカードスロット(SDXC)、USB 2.0ポート×2、USB3.0ポート×2を搭載。
バックパネル。映像出力(HDMI + DVI-I)、USB 2.0ポート×2、USB3.0ポート×2、音声入出力、DCジャック、Gigabit LANを備える。

 ShuttleのDS437Tは、200mm×165mm×39.5mmというコンパクトな筐体に、Ivy BridgeベースのデュアルコアCPU「Intel Celeron 1037U」(TDP 17W)を搭載したベアボーンキットです。

 CPUをオンボードで搭載しているため、DS437T本体の他に必要なパーツは、メモリ(DDR3 SO-DIMM)と、2.5インチドライブ(SATA 6Gbps対応)のみ。なお、光学ドライブは搭載できないため、OSインストール時など、必要な場合は外付けドライブを用意して対応することになります。

 DS437Tは、Sandy BridgeベースのCPU「Intel Celeron 847」を搭載していたDS47をベースに、CPUの強化とインターフェースの見直しを図ったモデルという位置づけにある製品です。超低電圧版CPUの特性を生かしたファンレス設計や、パーツの組み込みを容易にする筐体設計「2Doors Assembly Design」はDS47を踏襲しつつ、フロントパネルのCOMポートを廃してUSB 3.0ポートを追加するなど、オフィスワークのような一般用途に適したインターフェースの充実が図られています。

 対応OSはWindows XP、Windows 7、Windows 8/8.1。いずれも32bit版と64bit版の両方が利用できます。

映像出力端子として備えるHDMIポートとDVI-Iポートの最大解像度は、ともに1920×1200(60Hz)。
換気のためメッシュ仕様の本体天板、底面もまったく同じデザインとなっている。
バックパネル側にケンジントンスロットを備える。
標準で付属するVESAマウント。VESA対応ディスプレイの背面にDS437Tを搭載して運用できる。
付属の縦置きスタンド
ACアダプタ。最大65Wの電力を供給可能。
バックパネルには電源スイッチとCMOSクリア用のピンヘッダを装備。別途ケーブルを用意すれば、電源スイッチの延長が可能。


パーツの組み込みが簡単な「2Doors Assembly Design」

 DS437Tが、ベースとなったDS47から踏襲した筐体デザイン「2Doors Assembly Design」とは、筐体に2つのベイカバーを設け、そこから追加パーツのメンテナンスを可能にするというものです。

 この設計を採用したことにより、DS437Tは筐体のカバー全体を開くことなく、メモリや2.5インチドライブの取り付けを行うことが可能となっています。

各ベイカバーは、それぞれプラスネジ一本で固定されているので取り外しも簡単。
本体天板側のベイカバーを外すとメモリスロット(DDR3 SO-DIMM×2)、本体底面側は2.5インチドライブとMini PCI Expressスロット(無線LANモジュールで占有済み)にそれぞれアクセスできる。
パーツ搭載時。
2.5インチドライブ用のマウンタ。
DDR3 SO-DIMMスロット×2。DDR3-1333/1600のデュアルチャンネル動作に対応。
USB 3.0コントローラ「ASMedia ASM1042A」。
無線LANモジュール「Realtek RTL8188CE」。IEEE 802.11b/g/nに対応。
LANコントローラ「Realtek 8111」。
オーディオコーデック「Realtek ALC 662」。


ベンチマークでパフォーマンスをチェック

 DS437Tが備えるIntel Celeron 1037Uの実力を、ベンチマークテストでチェックしてみました。テスト時は、Intel製のSSD「Intel SSS 530 Series 120GB」にWindows 8.1 Update 64bitをインストール、メモリはDDR3-1600動作のメモリを最大容量の16GBまで満載しています。

CINEBENCH R15の実行結果。
Super PI 1Mの実行結果。
ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア - ベンチマーク【1280×720ドット、標準品質(デスクトップPC)】
ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0 【1280×720ドット、簡易描画設定1】
内蔵SATAポートのスコア。SATAポートの転送速度を確認することが目的なので、テストデータは「0Fill」での結果のみを測定している。
フロントパネルのSDカードスロットに、UHS-I対応SDXCカードを取り付けた際のスコア。シーケンシャルリードで70MB/s程度は出るカードだが20MB/s弱にとどまっている。UHS-Iはサポートしていないようだ。
消費電力の測定結果。

 1.8GHzで動作するIvy BridgeベースのCPUコア2基と、GPUコアの「Intel HD Graphics」を備えるIntel Celeron 1037U。

 以前こちらで紹介したBay Trail-DベースのCeleron J1900と比べると、CPUコア全てを利用する条件ではコア数で勝るCeleron J1900に若干及ばないものの、CPUコアあたりの性能では1.6倍程度上回っています。Bay Trail-Dよりシングルスレッドが高速というIvy Bridgeの優位性が見て取れる結果ですね。3Dベンチマークに関してもBay Trail-Dより高速なものの、描画負荷の軽いゲームを動かせる程度の性能であることに変わりありません。

 一方、消費電力については、アイドル時に11W、最も高かったファイナルファンタジー XIV ベンチマーク実行時で26Wとなりました。Bay Trail-Dに比べれば高い結果と言えますが、メインストリームクラスのデスクトップPCに比べれば随分低い消費電力であると言えるでしょう。


Ivy BridgeのCPUコア性能が魅力的な省電力ベアボーンキット

 CPUのIntel Celeron 1037Uが、第3世代Intel Core プロセッサーで採用されたIvy Bridgeをベースにしているだけに、DS437Tのシングルスレッド性能は低価格&省電力ベアボーンキットとしては、なかなか優秀なものであると言えます。

 ここ最近、低価格かつ省電力なベアボーンキットと言えば「Bay Trail-D」といった感じでしたが、シングルスレッド性能の高いDS437Tの方が、速さを感じられる場面が多いかもしれません。

 また、利用できるOSやメモリモジュールに制約のあるBay Trail-D系マシンに比べると、DDR3L非対応のメモリが利用可能であったり、32bit版OSが必須な環境などへの導入も可能など、利用環境や組み合わせるパーツの幅が広い点も魅力的。実売価格は税込24,500円程度となっており、OSも含め5万円前後である程度使えるPCが欲しいという方には、ちょうど良い選択肢となりそうです。

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