借りてみたらこうだった!
静音性と高性能を両立、水冷のGTX 980 Ti「GV-N98TXTREME W-6GD」をテスト
GIGABYTE XTREME GAMINGシリーズの上位モデル、基板は自動製造に text by 坂本はじめ
2016年3月7日 00:01
GIGABYTEは、ゲーマー向けの新ブランド「XTREME GAMING シリーズ」を展開している。今回、同シリーズのビデオカード製品をチェックする機会が得られた。今回から数回に渡り、XTREME GAMING シリーズのビデオカード製品について、その特徴とパフォーマンスをチェックしていきたい。
究極のゲーム体験をアシストするXTREME GAMING シリーズ
GIGABYTEのXTREME GAMING シリーズは、「ゲーマーに究極のゲーム体験をしてもらう」ことを目的として立ち上げられたゲーマー向け製品群。今回から数回に渡って紹介する同シリーズのビデオカードには、記事執筆時点でGeForce GTX 970~TITAN XまでのNVIDIA製GPUを搭載した製品が計5製品ラインナップされている。
搭載GPU | 型番 | GPUクーラー | 電源フェーズ数 |
---|---|---|---|
GTX TITAN X | GV-NTITANXXTREME-12GD-B | WINDFORCE 3X 700W | 6+2 |
GTX 980 Ti | GV-N98TXTREME W-6GD | WATERFORCE | 12+2 |
GTX 980 Ti | GV-N98TXTREME-6GD | WINDFORCE 3X 700W | 12+2 |
GTX 980 | GV-N980XTREME-4GD | WINDFORCE 3X | 10+2 |
GTX 970 | GV-N970XTREME-4GD | WINDFORCE 3X | 10+2 |
XTREME GAMING シリーズのビデオカードは、「パフォーマンス」「耐久性」「利便性」「魅力」の4点を重視して設計されている。
最大限のパフォーマンスを得るため、GIGABYTEが独自に選別したクロック耐性の高いGPUを大幅にオーバークロックして搭載。耐久性の面では独自の品質規格「Ultra Durable VGA」への準拠に加え、基板に防塵/防湿コーティングを施すことで、長期的な運用での埃りの堆積や、湿気による腐食、水冷ユニットからの液漏れによるショートから基板を保護している。
利便性と魅力の面では、ユーザーが発光カラーを選択可能なRGBイルミネーションLEDをGPUクーラーに採用して外観の魅力を高め、LEDの発光色のほか、ファン制御やオーバークロック設定をシンプルなインターフェースで調整可能なユーティリティソフト「OC GURU II」を備えた。
水冷クーラー採用のGV-N98TXTREME W-6GD
今回、XTREME GAMING シリーズのビデオカード製品から借用したのは、GeForce GTX 980 Tiに水冷GPUクーラーを搭載した「GV-N98TXTREME W-6GD」。店頭価格は税込11万円前後の製品だ。
GV-N98TXTREME W-6GDは、GeForce GTX 980 Tiの動作クロックを1,000MHzから1,216MHzまで大幅にオーバークロックして搭載。Boostクロックも1,075MHzから1,317MHzに引き上げた。また、VRAMとして備える6GBのGDDR5メモリも、リファレンスモデルの7.0Gbpsから7.2Gbpsへと高クロック化されている。
12+2フェーズの電源回路を備えたGIGABYTEオリジナル設計の基板を採用。通常の動作に用いる2系統PCI-E 8ピンの補助電源コネクタの他に、液体窒素などを用いた極限のオーバークロックに対応するためのPCI-E 6ピンコネクタと、専用BIOSへの切り替えスイッチを備えた。
また、GV-N98TXTREME W-6GDの基板は、自動化された製造工程で部品の実装を行っている。これにより、安定して高品質な製造が可能となったほか、基板裏面に突起の生じる実装部品はファンや給電用のコネクタなど、ごく一部を除いて撤廃されている。
最大の特徴ともいえる水冷GPUクーラーは、120mmラジエーター採用のオールインワン水冷ユニット「WATERFORCE」。カード本体側には、電源回路やメモリを冷却するべく、ヒートパイプで接続されたヒートスプレッダを搭載。このヒートスプレッダを介して、ビデオカード上の高発熱なコンポーネントをオールインワン水冷ユニットでまとめて冷却する。
カード本体の冷却ユニットは、2スロットを占有するカバーで覆われている。このカバーには「RGB イルミネーション LED」が搭載されており、本体正面の2本のラインと上部のGIGABYTEロゴが発光する。この電飾は、ユーティリティソフト「OC GURU II」を用いることで発光色の変更が可能。
クーラーは高負荷時でもかなり静か、実パフォーマンスをゲームでチェック
実際にゲームをプレイしながら、GV-N98TXTREME W-6GDのパフォーマンスをチェックしてみた。
今回、プレイしたゲームは「アサシン クリード シンジケート」。産業革命期のロンドンを舞台としたアサシン クリード シリーズの最新作である本作は、特にグラフィックの美しさを重視した設定でプレイしたいゲームタイトルだ。
アサシン クリード シンジケートには、PCの構成に合わせて自動的に「推奨設定」を適用する機能が用意されている。この機能を利用したところ、GV-N98TXTREME W-6GDのテストに用いたIntel Core i7-6700K搭載環境では、1,980×1,080ドットの画面解像度において、描画プリセット「非常に高い」が適用された。この際のビデオメモリ使用量目安は3,078MB。
推奨設定を適用してプレイした際のフレームレートは70fps前後。60fpsを割り込むシーンはほぼ無く、ハイクオリティなグラフィックを滑らかなフレームレートでプレイ可能だ。
アサシン クリード シンジケートのように、グラフィックの美しさを重視した最新タイトルでも、高い描画品質と60fps以上のフレームレートを維持できるパフォーマンスは素晴らしい。ビデオメモリにはまだ余裕があるので、フレームレートを30fpsに固定して、より高い描画設定でグラフィックの美しさを追求してみるのも良いだろう。
合わせて、ベンチマークテストでの結果も紹介しよう。今回実行したベンチマークテストは「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」。
テスト時の描画設定は、画面解像度1,980×1,080ドット、DirectX 11モード、最高品質としている。ベンチマークスコアは、評価は最高の「非常に快適」を獲得。GV-N98TXTREME W-6GDのパフォーマンスの高さが伺える結果だ。
最後に、動作中の温度とファン回転数を紹介する。
以下のグラフは、ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク実行中のGPU温度とファン回転数をまとめたもの。テスト時の室温は約26℃。
GPU温度はピーク時でも50℃台、水冷ユニットのファンの回転数も最大で約1,100rpmと低めに抑えられている。GPU温度の低さもさることながら、冷却ファンの回転数が1,000rpm前後に抑えられていることによる静粛性の高さも素晴らしい。オールインワン水冷ユニットであるWATERFORCEの冷却能力は、たいへん優秀なものであると言って良いだろう。
・テスト環境
CPU IntelCore i7-6700K
マザーボード Z170搭載ATXマザーボード
メモリ DDR4-2133 4GB×4
OS 日本マイクロソフトWindows 10 Home 64bit
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 361.91
温度測定 GPU-Z 0.8.6
室温 26.0±0.5℃
静かでよく冷えるWATERFORCEが魅力のGTX 980 Ti
GV-N98TXTREME W-6GDが搭載する、オールインワン水冷ユニットWATERFORCEの実力は素晴らしいものだった。
低い回転数で十分な冷却能力を発揮できるため、ケース側のエアフローがある程度確保されていれば、ビデオカードの騒音を意識することなくゲームに集中できそうだ。
GV-N98TXTREME W-6GDを導入するためには、120mmラジエーターを取り付けるスペースが必須となる。このため、小型PCケースなどに組み込むことが難しい面もあるが、この点がクリアできるなら、XTREME GAMING シリーズとして性能と耐久性を重視した設計と、WATERFORCEの冷却能力により、長時間のプレイにも対応可能な信頼性の高いゲーミング環境が手に入るだろう。
[制作協力:GIGABYTE]
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