借りてみたらこうだった!
1万円でもフル装備なH170マザー「H170A PC MATE」を試す
安価ながらM.2/USB 3.1もしっかり搭載、高コスパなMSI製マザーボード text by 坂本はじめ
2016年5月30日 00:01
MSI製のLGA1151対応マザーボード「H170A PC MATE」を紹介する。
実売価格は税込で約1万円と、H170マザーボードとしては最安クラスのモデルになるが、スペックとクオリティはどの程度のレベルにあるのだろうか。
コストパフォーマンスに優れたモデルなのか、価格なりのモデルなのか、搭載機能などを中心に製品の特徴を見ていこう。
低価格でも最新インターフェースはしっかり搭載
MSI H170A PC MATEは、Intel H170 チップセットを搭載したマザーボード。
CPUソケットのLGA 1151は、Skylakeアーキテクチャを採用した第6世代Intel Core、Pentium、CeleronなどのCPUが利用できる。フォームファクターはATX。一般的なATXフォームファクターより横幅を若干短くした305mm×225mmの基板を採用しており、固定穴の数は6か所。
メモリスロットには、両ラッチタイプのDDR4メモリスロットを4基搭載。対応するメモリクロックはDDR4-2133で、最大64GB(16GB×4枚)までのメモリを搭載できる。拡張スロットはPCI Express 3.0 x16スロット×1基、PCI Express 3.0 x4スロット(x16形状)×1基、PCI Express 3.0 x1スロット×3基、PCIスロット×2基。
ストレージ用インターフェースは、SATA 6Gbps×6基、SATA Express(16Gbps)×1基、M.2スロット(32Gbps)×1基。SATAポートとSATA Express、M.2スロットは同時仕様に制限があるため、すべてのポートを同時に利用することはできない点に注意が必要だ。
バックパネルインターフェースには、D-sub、DVI-D、HDMIの画面出力ポートを3系統備えているほか、10Gbpsの転送速度を実現するUSB 3.1 Gen 2を2ポート(A端子)備えている。
基板と各コネクタのカラーは黒系で統一され、CPU用のVRMとチップセットに放熱用のヒートシンクを搭載。使用されているコンデンサやチョークコイルは、MSIの品質基準「MILITARY CLASS 4」に準拠している。
1万円という低価格ではあるが、32Gbps対応のM.2スロット、10Gbps対応のUSB3.1 Gen 2といった最新のインターフェースも備え、見た目にも使用コンポーネントにも安っぽさのない製品だ。
低コストでも安定性や耐久性を意識した設計、独自仕様の「DDR4 Boost」と「MSI VGA Armor」
約1万円という低価格を実現するためにはコストの削減が欠かせないが、限られたコストの中で、MSI H170A PC MATEには安定性や耐久性を高めるためのMSI独自の設計が盛り込まれている。
安定性の面では、CPUとメモリスロット間の配線に「DDR4 Boost」と呼ばれるMSI独自のテクノロジーを採用。
メモリ回路の最適化を行うと同時に、メモリの信号線を周囲から分離することで周辺コンポーネントからの電磁干渉を防ぐことで、信号の歪みを抑え、高速かつ安定したメモリの動作を実現する。
耐久性の面では、先に紹介した独自の品質基準「MILITARY CLASS 4」に準拠したコンポーネントの採用は大きなポイントだが、はんだ付け箇所を増やすことで強度を高めた拡張スロット「MSI VGA Armor」の採用も特徴だ。
MSI VGA Armorは、ビデオカードを搭載することの多いPCI Express x16 スロットに採用されており、スロット端部にはんだ付け箇所を追加することで強度を35%向上させ、重量級ビデオカードの加重による歪みなどによる拡張スロットの破損を防いでいる。
シンプルなUEFIメニュー、充実したユーティリティも魅力
UEFIの設定メニューは、黒を基調としたBIOSライクなGUIを採用。マウス操作も可能だが、キーボードのみでの操作も容易だ。
OS上で利用できるMSI製ユーティリティは、ドライバやユーティリティなどを自動で最新の状態にできる「MSI Live Update 6」と、ファンコントロールやPCのステータス管理が行える「MSI Command Center」が提供されている。
MSI Live Update 6は、パーツ構成をスキャンし、MSI製のマザーボードやビデオカードのドライバやBIOS(UEFI)、ユーティリティの最新版を検索、ダウンロードからインストールまでを自動で行う統合インストールも可能だ。組み立て直後のドライバインストール作業も楽に行えるだろう。
MSI Command Centerはファンコントロール設定をグラフでチューニングする機能などを備えた多機能ユーティリティ。マザーボード上のセンサーから温度を監視することも可能で、ステータス確認用のユーティリティとして十分な機能を備えている。
MSI Live Update 6、MSI Command Centerともに扱いやすく、利用価値の高いユーティリティといった印象だ。低価格モデルながら、こうしたユーティリティがしっかり用意されている点は好印象だ。
低価格ながら必要な機能はしっかり搭載、価格以上の価値を感じるマザーボード
MSI H170A PC MATE最大の魅力は約1万円という価格にある。
これほどの低価格マザーボードでありながら、M.2やUSB3.1などの最新のインターフェースを備え、CPU周辺のVRMにヒートシンクを搭載。機能と品質の両面で価格以上の価値を感じる1枚だ。
CPUやメモリのオーバークロックをしないのであれば、マザーボードにH170A PC MATEを選ぶことで、相当のコストを削減できる。マザーボードで浮いたコストをCPUやビデオカード、あるいはストレージデバイスに回すことで、より快適なSkylakeマシンの自作が可能だろう。
[制作協力:MSI]
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