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PS4 Proを2TB SSHDに換装、「大容量&高速」の一挙両得を検証してみた
サマーレッスンももっと快適に? text by 日沼諭史
2016年11月21日 00:01
PlayStation 4(PS4)の上位版として登場したPS4 Pro。主にグラフィック性能の大幅な向上が話題だが、実は内蔵ストレージのインターフェースもアップデートされている。
従来のPS4は3Gbps対応のSATA2(Revision 2.x/SATA 3Gbps)だったが、PS4 Proは6Gbps対応のSATA3(Revision 3.x/SATA 6Gbps)になっているという。
自作PCユーザーにはもうおなじみの「SATA3」は、PCでは数年前から一般的に使われており、現在でも主流の規格の1つ。
高いCPU/GPU性能を誇りながら、ストレージ面についてはやや弱いと言われていたPS4だが、これでようやくPCに近いパフォーマンスをストレージでも実現できるようになったと言える。
SSHDへの換装で「大容量」と「速度」の一挙両得へ
となると、これを最大限活かしたくなるのが人情というもの。
幸い、PS4やPS4 Proのストレージは交換が容易な構造で、PS4のHDDを大容量HDDに換装する、といったことも過去に話題になっている。
そこで今回は、大容量化と高速化の一挙両得を狙い、内蔵HDDを容量2TBのSSHDに換装してみたい。なお、単純な「高速性」からSSDを考える人も多いと思うが、容量2TBのSSDといえば、実売価格で税込6万円以上(11月現在)。SSHDであれば、2TBでも税込14,000円前後(今回利用するSeagateのSSHD「FireCuda」の場合)であり、「一挙両得」を狙うには絶好の価格と言える。
ちなみに、「SSHD」は、キャッシュとして使う小容量のフラッシュメモリと通常のHDDを一体化した「SSD+HDD」的な製品。フラッシュメモリを不揮発性キャッシュとして使うことで高速な読み書きを実現、そしてHDD並みの大容量を低コストで実現できるのが特徴だ。
今回は、8GBのフラッシュメモリを搭載したSATA3 SSHD「Seagate FireCuda ST2000LX001」(容量2TB,データ転送速度最大140MB/s)をPS4 Proに搭載、どれだけの性能向上が見込めるのか検証してみたい。
なお、余談になるが、今回の換装のためにPS4 ProからHDDを取り出すと、出てきたHDDはSATA2対応の東芝「MQ01ABD100」。せっかくSATA3をサポートしていながら、その性能をフルに発揮できない状態だったことになる。全ての個体がそうなのかは不明だが、SATA3対応のSSHDに換装することで、きっとパフォーマンスアップが望めるに違いない!
PS4 Proのストレージ換装法、SSHDに換装するまでを写真で紹介
さて、パフォーマンス評価の前に、換装方法から紹介したい。
PS4とPS4 Proは、内蔵ストレージの交換が容易な構造になっており、自分で作業したとしても製品の保証が切れることはない。
ただし、内蔵ストレージを交換する前にいくつか準備すべきことがある。セーブデータやキャプチャーデータのバックアップ、新しいストレージにインストールするシステムソフトウェアのダウンロードなどだ。SSHDへの換装手順も含め、以下に写真付きで説明しているので参考にしてほしい。
【用意するもの】
・PS4 Pro本体
・Seagate FireCuda ST2000LX001
・PC(システムソフトウェアダウンロード用。Windows/macOSどちらでもOK)
・USBメモリ(必要サイズは最低1GB。セーブデータ、キャプチャーデータの量によってはより大容量が必要)
・ワイヤレスコントローラーとUSBケーブル(PS4 Pro初期化時にコントローラーのケーブル接続が必要)
・小型プラスドライバー
・静電気対策用手袋(念のため)
【事前準備:セーブデータのバックアップ手順】
【事前準備:キャプチャーデータのバックアップ手順】
【事前準備:システムデータ入手の手順】
【SSHD換装の手順】
FF15からサマーレッスンまで、速度を計測するのは今時の6タイトル
以上の手順でSSHDに換装して、いよいよ速度の検証を行いたい。
今回は、主に各ゲームの起動時間、ローディング時間など、ゲームプレイ中のデータ読み込みの速度を計測する内容とした。標準HDDの状態でも同様の計測を行い、SSHD換装後のタイムと比べてどれくらい変化があるかを確認してみよう。
検証に用いたゲームタイトルと、速度を計測するシーンは以下の通り。
それぞれインストール後に初期設定し、検証内容と同様の操作を行った後、いったんPS4 Proの電源を切って、起動し直してからタイム測定を実施した。これを複数回繰り返して、一定の時間に収束したと判断できたところの値を記している。これは、SSHDが搭載する自己学習機能により、繰り返し読み込まれるデータが、自動的にNANDフラッシュキャッシュに常駐されるため。
なお、起動にゲームディスクが必要なものについては、ディスクが無回転の状態から起動して測定している。目視によるストップウォッチを使った手動計測のため、0.1~0.2秒程度の誤差が含まれることがある点はご了承いただきたい。
多くのシーンで確実に高速化、頻繁にロードが発生するゲームに効果的FF15は劇的に短縮するケースも
以下がPS4 ProをSSHDに換装した後の読み込み速度だ。
サマーレッスン
「タイタンフォール 2」「ファイナルファンタジーXIV」「ファイナルファンタジーXV」「サマーレッスン」の4つのタイトルでSSHDの優位性を証明する結果となった。なかでも大きな速度向上が見られたのは、「ファイナルファンタジーXV」のNEW GAME時のムービー開始までにかかる時間で、なんと33%も短縮している。
その他は各テスト項目でせいぜい数秒程度だが、特にステージ開始時やマップのロードなど頻繁に発生しがちな待ち時間は、ゲームを長くプレイしていくと気になるもの。「この数秒」が積み重なっていくことを考えると、決して無視できないものとなるだろう。
一方、SSHD化の効果が薄いシチュエーションもあった。「Battlefield 1」は起動こそスピードアップしたものの、それ以外では有意な差は見られず、「World of Tanks」についてもローディングで一部高速化したものの、逆に僅かながら遅くなった部分もある。こうした結果が、なぜ起きるのかは不明だが、「こうしたこともある」というのは一応頭に入れておきたい。
高コスパなSSHDへの換装でPS4 Proの性能をさらに引き出せる!容量もアップ!
今回はゲームの起動やローディングという読み込みが中心の処理に限定して検証を行ったが、当然ながらPS4/PS4 Proでストレージにアクセスする使い方は他にも多々あるわけで、ゲームのインストールやWebブラウジング、マルチメディアデータの再生・管理、ツール系アプリの動作などでも、SSHDならではの高い読み書き性能を発揮する可能性は高い。
これらは同時並行でデータ転送以外の処理も走るため、純粋にストレージ性能の違いだけを抽出するのは難しいものの、SSHDへの換装による全体的なパフォーマンスアップを実感しやすいシチュエーションかもしれない。
いずれにせよ、SSHD化で速くはなっても遅くなる部分はほとんどなく、PS4 Proをさらに高性能なハードウェアへとアップグレードできることは間違いない。
せっかくPS4 Proを購入するなら、+14,000円で容量アップと性能アップを図る、というのはなかなかいい選択肢と言えるのではなかろうか。
[制作協力:Seagate]