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テクスチャだけで58GB、Fallout 4の超弩級パッチにZOTAC GeForce GTX 1080 Mini 8GBで挑む
6コアCPU推奨の最高画質設定がどれだけ重いのか調べてみた text by 坂本はじめ
2017年3月3日 08:05
2月7日、オープンワールドRPG「Fallout 4」のPC版向けに「高解像度テクスチャパック」が配信された。このテクスチャパックだが、容量はなんと約58GB。ゲーム本体の容量を大きく上回る超弩級のサイズだ。
これだけ巨大だと性能もかなり必要になるようで、CPUは6コアのCore i7-5820K以上、GPUにGeForce GTX 1080、メモリ容量8GBが推奨とされている。もし、これだけのスペックが必要となると、並のPCではまともに動作すらしない可能性もある。
そこで、今回は、この高解像度テクスチャパックを適用することで「Fallout 4」の描画がどれだけ美しくなるのか、どの程度の性能が要求されるのか、GeForce GTX 1080 + Core i7-7700K環境を使ってテストを行った。フルHDから4K環境までテストしているので、PC購入時などの参考にしてもらえれば幸いだ。
4K解像度でもクッキリパッキリ!より緻密な描画が楽しめる高解像度テクスチャパック
Fallout 4の高解像度テクスチャパックは、より高品位なグラフィックでのプレイを望むユーザーのために用意された高画質化パッチで、Steam経由の無償ダウンロードコンテンツとしてPC版ユーザーに提供されている。
この高解像度テクスチャパックのインストール容量は54.7GBに達する。ゲーム本体のインストール容量である24.3GBの倍以上という巨大さだ。
日本国内でも既に高解像度テクスチャパックをダウンロードできるようになっているのだが、記事執筆時点(2月中旬時点)ではゲーム本体の日本語版バージョンが、高解像度テクスチャパック非対応の「1.7.15.0」であるため、高解像度テクスチャパックを利用することができない。そこで、今回はFallout 4の使用言語を「英語」に変更し、英語版として提供されている最新版「1.9.4.0」で高解像度テクスチャパックの効果をチェックしてみた。
それではとの程度画質が変わるのか、早速紹介しよう。下の画像は画面解像度3,840×2,160ドット(4k)で描画プリセット「ウルトラ」に設定し、高解像度テクスチャパックの有効と無効を切り替えながら撮影したものだ。
遠目から見ると変化が分かりにくいかもしれないが、ややぼんやりしていた金属の錆びなどが、高解像度テクスチャパックを適用することでシャープな描画に変更されていることが分かる。また、より広い範囲を観察してみると、雑草や瓦礫などのオブジェクトが追加されており、画面内の情報密度が増していることも確認できる。
より精緻かつ濃密な描画を楽しみたいなら、導入してみる価値は十分にあるだろう。
GeForce GTX 1080 + Core i7-7700Kで大容量テクスチャパッチに挑む
高解像度テクスチャパックの効果が分かったところで、これを適用したFallout 4を快適にプレイするための環境を探ってみよう。高解像度テクスチャパックのシステム要件として以下の内容が提示されている。
・CPU: Intel Core i7-5820K
・メモリ: 8GB
・GPU: GeForce GTX 1080 8GB
・ストレージ: 58GB以上の空き容量
・OS: Windows 7/8/10 64bit
メモリとOSはともかく、なかなか厳しい条件だ。
特に、CPUに6コア12スレッドのIntel Core i7-5820Kが推奨されているのは気がかりだ。純粋にシングルスレッド性能を基準としているのか、マルチスレッド能力が必要とされているのかによって、選ぶべきCPUは全く違ったものになり得るからだ。
なにはともあれ、実際に動かしてみないことにははじまらない。
今回は、ビデオカードにGeForce GTX 1080を搭載するZOTAC Geforce GTX 1080 Mini 8GBを用意した。ハイエンドGPUであるGeForce GTX 1080搭載ビデオカードでありながら、カード長を211mmに抑えたコンパクトなカードサイズが特徴の一枚だ。
GPUのGeForce GTX 1080は、ベースクロック1,620MHz(+13MHz)、ブーストクロック1,759MHz(+26MHz)へと、わずかにオーバークロックして搭載しており、口径の異なる2基のファンを搭載したオリジナルGPUクーラーIceStormを搭載する。無理のない範囲でのオーバークロックに押さえていることもあり、電源供給はリファレンスモデル同様8pin1系統で賄われる。
なお、ざっくりテストしてみたところ、ZOTAC Geforce GTX 1080 Mini 8GBは小型のハイエンドビデオカードとしては非常に完成度が高い一枚だと感じだ。搭載クーラーの性能など、特徴は別記事にまとめたので、そちらも参照して欲しい。
●カード長はわずか211mm、最高性能の小型ビデオカードZOTAC Geforce GTX 1080 Mini 8GBを試す
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/mreview/rental/1048036.html
CPUにはIntelのコンシューマー向けモデルでは最高クロックのCore i7-7700K、マザーボードはZ270チップセット搭載のASRock Z270 Taichiを選んだ。
・テスト環境
CPU IntelCore i7-7700K
マザーボード ASRockZ270 Taichi
ビデオカード ZOTACGeForce GTX 1080 Mini 8GB
メモリ DDR4-2400 4GB×4
ストレージ PlextorM8PeG 256GB
電源ユニット 玄人志向KRPW-TI700W/94+
OS 日本マイクロソフトWindows 10 Pro 64bit
最高画質のFallout 4がどれだけ重いのか、高解像度テクスチャパックの重さをテスト
今回実施したテストは、Fallout 4で序盤に訪れることになる「サンクチュアリ」内を移動し、その間のフレームレートやGPUの動作状況などを測定するというもの。Fallout 4の上限フレームレートである60fpsを維持できるのか。また維持できるならどの程度の余裕をもって動作しているのかをチェックする。
テストは3つの画面解像度(1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドット)で行った。描画設定はプリセットの「ウルトラ」で統一している。
なお、高解像度テクスチャパックを適用することでどの程度負荷が高くなるのかも調べるため、1,920×1,080ドット時のテストでは高解像度テクスチャパックを適用していない時のデータも取得し、比較してみた。
CPUへの負荷は思いのほか軽い?フルHD(1,920×1,080ドット)でテスト
まずは1,920×1,080ドットでのテスト結果だ。
高解像度テクスチャパックを適用した状態から紹介するが、今回用意したZOTAC Geforce GTX 1080 Mini 8GB + Xore i7-7700K環境では、フレームレートは上限である60fpsを割り込むことは無かった。この際のGPU使用率は50~60%程度で推移し、ピーク時に75%前後まで上昇するといった動作となっている。CPUの使用率は25%程度。
下は高解像度テクスチャパックを適用していない状態のものだが、GPUやCPUの使用率に大きな差は見られず、1,920×1,080ドットの環境では、パックの導入することでより高いCPU性能が求められるというわけでは無いようだ。
高解像度テクスチャパックの適用の有無で差が見られたのはVRAM使用量で、適用時は3GB前後、適用しない場合は2GB程度となっている。高解像度テクスチャパックを適用したFallout 4のVRAM容量への要求はかなり高く、1,920×1,080ドットで遊ぶならビデオカードのメモリは最低でも4GBは必要だ。
高解像度テクスチャパック適応時のCPU負荷をもう少し詳しく紹介しておく。1,920×1,080ドットの環境では、各スレッドへの負荷は軽く、処理能力が足り無いという状態にはなっていない。推奨環境は6コア12スレッドのCore i7-5820Kが推奨されているが、6コアが必須というわけでは無く、ある程度のスレッド数と動作クロックの高さがあれば快適に遊べるようだ。
WQHD(2,560×1,440ドット)/最高画質にぴったりな性能のGeForcr GTX 1080
続いて2,560×1,440ドットでのテスト結果では、フレームレートは一瞬だけ60fpsを割っているが、ほとんどの時間60fpsを維持できている。ただしGPUの使用率は75%前後まで上昇しており、このあたりがフレームレートの低下を抑えられる限界付近といった印象だ。
VRAM使用量は3.5~3.8GB前後まで増加している。GeForce GTX 1080にとってはまだ余裕のある容量ではあるが、1世代前のハイエンドGPUなどではメモリ容量が不足し始める使用量である。
4K(3,840×2,160ドット)/最高画質はGeForce GTX 1080でも重め
3,840×2,160ドットでは、フレームレートが60fpsを割り込んでおり、GPUはほぼ100%に近い使用率となっている。4K解像度ともなると、GeForce GTX 1080でも60fpsを維持できなくなるようだ。VRAM使用量は4.5GB前後にまで増加している。
GPUの性能面で限界に達している一方で、CPUの使用率は25~30%程度となっており、画面解像度の変更による影響はかなり小さく抑えられている。もし、Fallout 4がCPUのマルチスレッド性能を求めるタイプのゲームタイトルであるなら、CPUの使用率(=全CPUコアの使用率)はもっと高くなるはずだ。
しかし、この程度から変化しかないということは、CPUに要求される処理性能が、4コア8スレッドのIntel Core i7-7700Kで十分こなせる程度の処理であるということだ。コア数不足でパフォーマンスが出なかったらどうしようかと心配していたが、どうやら杞憂だったようだ。
SLIなら4K解像度でのプレイも射程圏内に
1枚のGeForce GTX 1080では60fpsの維持できなかった4K解像度だが、2枚のGeForce GTX 1080があればどうだろうか?
ビデオカードのZOTAC Geforce GTX 1080 Mini 8GBをもう1枚用意し、マザーボードに付属しているSLI HB Bridgeを用いたSLI構成で、4K解像度での動作にチャレンジしてみた。
結果としては、GeForce GTX 1080のSLI構成で、高解像度テクスチャパック適用済みのFallout 4を60fpsで動作させることができた。
60fpsで動作している際のGPU使用率は2基とも70%弱で推移しており、ピーク時には80%程度に達している。描画するオブジェクト数が増えた場合には60fpsの維持が困難になる可能性はあるが、GeForce GTX 1080のSLI構成であれば高解像度テクスチャパック適用済みのFallout 4をプレイするのに十分なパフォーマンスを実現できると言ってよいだろう。
GeForce GTX 1080の性能が活きるFallout 4の高解像度テクスチャパック
Fallout 4の高解像度テクスチャパックは、高解像度ディスプレイと高性能なビデオカードを所有しているユーザーにとって、ゲーム画面の解像感を有意に高める効果がある。特に、フルHDを超える画面解像度でプレイしているのであれば、間違いなく適用する価値があるだろう。
注意したいのは、高解像度テクスチャパックのインストールに58GB近いストレージ容量が必要とされる点と、プレイ中のVRAM使用量が大幅に増加する点だ。GPU負荷自体は従来の最高描画設定から若干向上する程度だが、十分なVRAMがなければパフォーマンスが著しく低下してしまう可能性がある。そういう意味では、8GBという大容量VRAMを備え、GPU自体の性能も高いGeForce GTX 1080が推奨GPUとなっているのは妥当なところである。
高解像度テクスチャパックは無料配布のDLCである。日本語版のFallout 4にアップデートされたなら、まずは試してみるのが良いだろう。一度高解像度テクスチャパックをインストールしたあとでも、SteamのDLC一覧リストのチェックを外せば高解像度テクスチャパックは削除することもできる。試してみて価値を感じないなら削除すればいいし、価値を感じたのなら、ビデオカードのアップグレードを検討すればいいのである。
[制作協力:ZOTAC]