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14TB HDD+10GbEで「弩級NAS」を構築してみた、容量ほぼ50TB、速度はなんと1GB/s超

RAID5でも750MB/sオーバー、Seagate IronWolfでつくる快適なNAS環境 text by 坂本はじめ

 長らくGigabit Ethernet(GbE)が担ってきたネットワークインターフェイスは、次世代規格の10GbEへの転換期を迎えつつある。最大10Gbps(1,250MB/s)の帯域幅を実現する10GbEの普及は、NASの利用時に生じているデータ転送レートのボトルネックを緩和することが期待されている。

 また、快適に利用するには搭載ストレージの速度も重要になってくる。GbE環境では1Gbps(125MB/s)で頭打ちになってしまうため、搭載ストレージの速度をあまり気にする必要もなかったが、10GbEの帯域を活かすのであれば高速なストレージが必要になる。

 そこで、今回はSeagate IronWolf最大容量の14TBモデル「ST14000VN0008」を4台用意し、これを10GbE NASに組み込んでパフォーマンスを測定してみた。10Gbpsの帯域を活かすには本当に高速なHDDが必要になるのか、最新鋭のNAS向けHDDで構築したRAIDボリュームの実測値がどの程度になるのか、そのあたりを見てみよう。

 また、IronWolfはNASでのみ利用可能なユニークな機能も備えているので、そちらも併せて紹介する。

リードは実測270MB/s、NAS向けHDD「IronWolf」の14TBモデルを4台用意

Seagate ST14000VN0008

 Seagate IronWolfシリーズの14TBモデル「ST14000VN0008」は、ヘリウム充填技術によってHDD最大容量となる14TBを実現したHDD。ディスク回転数は7,200rpmで、キャッシュ容量256MB、インターフェイスには6Gbps SATAを採用している。

 NAS向けHDDであるIronWolfシリーズには、専用ファームウェアの「AgileArray」が採用されており、SMARTより詳細なステータス情報を提供する「IronWolf Health Management(IHM)」や、RAIDの可用性を高める「Recovery Time Limit Control(RTL)」、起動時の電源負荷を軽減する「Start UP Current Limit」など、NASでの運用に役立つ機能を提供する。

 NASでの運用を想定して設計されている「ST14000VN0008」だが、単体HDDとしてもかなり高性能なHDDであり、CrystalDiskMarkの実行結果ではリードライトとも260MB/sを超える速度を実現している。

 この優れたパフォーマンスを持つHDD4台をNASに組み込むことで、最大10Gbps(1,250MB/s)の帯域幅を実現する10GbE LANをどこまで活用できるのかに注目だ。

CrystalDiskMarkの実行結果。HDDとしては最高クラスの性能も備えている。
4台のST14000VN0008。台数は少ないがそう記憶容量は56TBと膨大だ。

14TBの最新HDDもサポートするASUSTORの10ベイNAS「AS7010T」IHMも利用可能

ASUSTORの10ベイNAS「AS7010T」

 今回、4台のST14000VN0008を組み込むNASは、ASUSTORの10ベイNAS「AS7010T」だ。

 CPUにデュアルコアのCore i3を搭載した高性能NASであるAS7010Tは、IronWolfシリーズの特徴のひとつである「IHM(IronWolf Health Management)」に対応しており、シリーズ最新モデルである14TBモデルへの対応も既に完了している。

 なお、AS7010Tが標準で備えるネットワークインターフェイスはGbE LANであり、メーカー純正オプションのネットワークカードを追加することで10GbE LANに対応させることが出来る。

 今回は純正オプションのカードが用意できなかったため、やむを得ずIntelの10GbE NICである「Intel X550-T2」を使ってAS7010Tで10GbEを利用可能にした。AS7010Tは拡張カードの固定に独自のブラケットを用いており、他社製のカードを利用した場合は固定できない。一時的なテストであればよいが、10GbEで実際に運用するのであれば、専用ブラケットが付属するAS7010T向けの純正10GbE NICを利用すべきだ。

AS7010Tの拡張カードスロットはブラケット形状が特殊なため、汎用的なブラケットしか持たないIntel X550-T2を固定することは出来ない。
検証に際しては、ブラケットを取り外したIntel X550-T2を拡張スロットに搭載した。

NAS運用時の信頼性を向上させるIHMNASにHDDの詳細ログを送り、HDD交換タイミングなどもより正確に

 「IHM(IronWolf Health Management)」の機能はIronWolfシリーズの大きな特徴となっている。これは対応NASと組み合わせた際に、NASにHDDのより詳細なステータス情報を送信するもので、このデータをもとにNASが不良や動作上の問題などを判断し、より信頼性の高い運用を可能にするものだ。

 この機能を利用するには、IronWolfシリーズのHDDと対応NASが必要になる。NASがIHMを利用可能であれば全てのIronWolfシリーズのHDDで利用できるというわけではなく、HDDの型番ごとに対応する必要があるため、IronWolfの14TBモデルに関しては対応待ちとなっているNASも多い。

 今回は、ASUSTOR製のNASで使用した際を例に、実際に動作させた際の様子を紹介しよう。

搭載したST14000VN0008がIronWolfシリーズとして認識されており、IHMに基づくステータス表示である「IronWolf健全性状態」という項目が表示されている。
ディスクドクターから「IronWolf 健全性管理」としてIHMのスキャンを実行できる。
IHMのスキャン結果に基づいて、HDDの作業負荷や温度の推移グラフを表示する機能も備えている。

 まず、対応HDDと対応NASを組み合わせた場合、ステータス表示の画面に「IronWolf健全性状態」という項目が表示されるようになる。対応していない環境ではIronWolfシリーズのHDDを搭載しても表示されない。

 ASUSTOR製のNASの場合、ユーザー側が視認できるデータとしては、データ転送の作業量が推奨値に対してどの程度なのかのグラフや、長期間の動作温度のログ情報などがある。

 Seagateによると、IronWolfシリーズがNASに送信できるHDDのステータスパラメーターの項目はS.M.A.R.T.などと比べるとかなりの数があるとのことで、対応NASはバックグラウンドでこのデータを活用し、ディスクの管理を行っているとのことだ。

HDD×4台で10GbE NASを組むなら、250MB/s以上のHDDが欲しい2種類のRAIDレベルでパフォーマンスをチェック

PC側に搭載した10GbE NIC「玄人志向 GbEX-PCIE」

 4台のST14000VN0008を組み込んだ10GbE NASの性能を測定する方法は、玄人志向の10GbE NIC「GbEX-PCIE」を搭載したCore i7-8700KベースのPCとNASを直結し、PC側からCrystalDiskMarkを実行して転送速度を測定するというもの。

 4台のST14000VN0008を使って構築するディスクボリュームは、RAID0とRAID5の2通りを試すことにした。なお、AS7010TにはST14000VN0008の他に、NAS OSシステム用のSSDを1台組み込んでいる。

RAID 0は4台のHDDで1GB/sを実現、高速なHDDを使えば帯域を使い切る速度を発揮

 まずはRAID 0ボリュームを構築した場合の結果からみていこう。

RAID 0ボリューム。Windows上から利用可能な記憶領域は約50TBに達する。

 CrystalDiskMarkの実行結果を見てみると、テストファイルサイズ1GiB時にはAS7010TのDRAMキャッシュが強く機能しており、シーケンシャルリードは10GbEの規格上限に近い速度が出ている。

 テストファイルサイズをDRAMキャッシュを大きく超える32GiBに設定すると、リードが約1,009MB/s、ライトは約1,052MB/sを記録した。ビットレートに換算すると8.1~8.4Gbpsほどであり、DRAMキャッシュの効果が薄くても10GbEの8割以上の帯域を活用できている。

 ST14000VN0008は実測でリード270M/sのかなり高速なモデルだ。1GB/sの実測値を引出そうとした場合、リード200MB/s前後のHDDであれば5~6台でRAID 0を構築する必要がでてくる。どの程度の速度を求めるかにもよるが、HDDの台数が少ない構成であればあるほど、HDD単体の速度にはこだわった方が良いだろう。

テストファイルサイズ「1GiB」
テストファイルサイズ「32GiB」

RAID 5で600MB/s以上の転送レートを実現、容量38TBかつ高速なRAID 5ボリューム

 続いてはRAID 5ボリュームのパフォーマンスを見てみよう。

RAID5ボリューム。Windows上から利用可能な記憶領域は約38TBだった。

 テストファイルサイズ1GiBで実行したCrystalDiskMarkの結果では、リード速度がNASのDRAMキャッシュによって10GbEの上限速度に近い約1,238MB/s達する一方、ライト速度は約635MB/s程度となっている。

 テストファイルサイズ32GiBでの実行結果は、リードが約755MB/s、ライトは約696MB/sだった。ビットレートに換算すると5.5~6.0Gbpsほどであり、10GbEの6割程度の帯域を活用していることになる。

テストファイルサイズ「1GiB」
テストファイルサイズ「32GiB」

 NASを運用する際、RAID 5やRAID 6で使用しているユーザーも多いと思うが、高速なHDD + 10GbEでここまでの速度が発揮されるようになる。GbEのNASは帯域などの制約もありバックアップが主な用途になっているが、RAID 5でここまでの速度が出るならば、10GbE時代のNASはメインストレージとして使われる機会も増えていくだろう。

10GbE環境でNASを組むならなるべく高速なモデルをHDD 4台構成のRAID 5でも、GbE環境の5倍以上の速度を実現可能

 10GbE NASに「ST14000VN0008」を4台組み込んで実施した今回のテストでは、実用的なRAID 5ボリュームであっても、5.5~6.0Gbpsのデータ転送レートを実現できることを確認できた。これは一般的なGbE(Gigabit LAN)の5倍以上の速度だ。

 もちろん、実行速度は使用するストレージによるので、なるべく高速なものを選びたい。HDD最大容量である14TBを実現した「ST14000VN0008」を用いれば、少ない台数で高速かつ大容量のNASを構築できる。

 また、「ST14000VN0008」はNAS向けに「IHM(IronWolf Health Management)」のような付加価値機能を備えている点も特徴だ。こうしたNASで使用した際に運用の信頼性を高める機能は、NAS向けHDD全般のトレンドになるかもしれない。

 容量と速度、そして信頼性に優れたNASの構築を目指すなら、IronWolfシリーズの大容量モデルを候補に考えてみてはいかがだろうか。

 Seagateは「IronWolf」および「IronWolf Pro」の4TB以上のモデルを購入したユーザーを対象に、1,000円分のVISAギフト券をプレゼントするキャンペーン「日本シーゲイト IronWolf キャンペーン 2018 冬」を実施している。

 11月25日~12月31日までに購入した分が対象(中古品は対象外)で、購入日と購入製品がわかるレシートなどを撮影し、応募ページから申し込むことでギフトカードをもらうことができる。日本の販売店であれば、店舗/通販問わず対象になるとのこと。

 購入を予定しているユーザーはぜひこちらのキャンペーンも活用してもらいたい。