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Haswell解禁、買ってきたマザーを速攻レポート

【まずは開封 ~ 動かして ~ 簡単OCまで】 by 清水貴裕

 待ちに待ったHaswellと8シリーズチップセットを搭載したマザーボードが遂に解禁。恒例の深夜販売も実施された。

 深夜販売でCPUとマザーボードを最速入手してきたので、早速開封、紹介しよう。

 ちなみに、これを書いている「今」は2日の0時50分、「購入後、世界初で起動まで」が目標だ(笑

買ってきたのはMSI Z87-GD65 GAMINGとCore i7-4770K

購入してきたCPUとマザーボード。マザーボードはMSIZ87-GD65 GAMING、CPUはCore i7-4770K。CPUのパッケージについてはニュース記事で紹介している。
これがMSI Z87-GD65 GAMINGの箱。パッケージにもドラゴンが描かれている。ロゴや文字などが最小限に抑えられたシンプルなデザイン。世界的に有名なプロゲームチーム“FNATIC”の推奨マークがある
パッケージ表面のドラゴンはコーティング処理で反射がある
そして開けてみた。1層目はマザーボード、下に付属品が収納されている
これが、マザーボードの付属品。SATAケーブル×4、SLIケーブル、M-Connector、電圧測定用の線、I/Oパネル、マニュアル類、ドライバDVDが付属。I/Oパネルはイメージカラーである、赤と黒を基調としたカラーリングが施されている
ドアノブに掛けるドアハンガーも付属。ゲーミング製品だけに、表は「ゲームで忙しい」、裏は「ここに居ない」。ドラゴンがあしらわれたデザインで、ゲーマーの心をくすぐる。エンブレムは裏面が両面テープになっており、ケースに貼り付けることも可能なようだ。
実際に使うかは別として、こういう遊び心は悪くない
同デザインの専用エンブレムも付属する

マザーボード本体は……

マザーボードの全体像。赤いドラゴンをあしらったヒートシンクと、黒と赤を基調としたカラーリングが攻撃的な雰囲気を放っている。PCI Express 3.0スロットの間隔が広いのが特徴で、SLIやCrossFire X構成時でもエアフローを確保できるとのこと
これがLGA1150ソケット。LGA1155と外見の違いは一目では分からない。ソケットは黒色メッキのLOTES製が使用されている。マザーとの色合いが絶妙にマッチしていて思わず唾を飲み込む
チップセットのヒートシンクは赤いドラゴンをあしらったもの。攻撃的イメージを連想させる最たるものだ
ソケットのカバーを外してみると無数のピンが並んでいる。数えたわけではないが、1150本並んでいるはずだ。見れば見る程、早くCPUを乗っけたいという衝動に駆られてしまう
チップセットのヒートシンクだけでなく、VRMのヒートシンクにもドラゴンがあしらわれている。ヒートシンクを横から見ると分かりやすい。Z87シリーズのヒートシンクはZ77シリーズのものより30%程大きくなっているとのことで、冷却力に期待が持てる
その下のVRMは12フェーズ構成。60Aの入力に耐えられるSFC(スーパーフェライトチョーク)や、高性能固体コンデンサのHI-C CAPなどの高品質コンポーネントをふんだんに搭載している。HI-C CAPは、一般的な固体コンデンサよりも背が低いので、CPUクーラーのリテンション金具との干渉が起こりにくいというメリットもある

デバイスなど

背面コネクタ。USBポートは、USB 3.0×4、USB 2.0×2の合計6基。映像出力コネクタは、DVI-D、D-Sub 15ピン、HDMIをそれぞれ1基ずつ備える。青い部品が使われることが多いD-Sub 15ピンに黒い部品が使われているのはこだわりだろうか?
左端のUSB 2.0×2とPS/2ポートはゲーム向けとされるもの。通常の3倍厚の金メッキが施され、耐久性とレスポンスを向上させているのが特徴という
LANコントローラには、ゲーム向けとされるKILLER E2200を搭載。アプリケーションごとに通信の優先度を自動で設定、ゲームを優先させることで、ラグを軽減することができるとのこと
ノイズを低減、高音質化を図るために、オーディオ用のアナログ回路をデジタル回路から完全に分離させた「Audio Boost」設計を採用。これだけに留まらず、ノイズ対策としてオーディオチップをEMIシールドで覆うなど、徹底した作り込みがされている。600Ωクラスの高級ヘッドホンを鳴らし切るために、TI製オペアンプのOPA1652が搭載されている点も見逃せない
mSATAスロットも搭載。オリジナルユーティリティの「Super RAID」を使用すれば、Intel Rapid Start、Intel Smart Response、Intel Smart Connectの設定が行えるとか
ATX24ピン右側には、各種電圧を測定可能なV-Check Pointを備える。ゲーム向けのマザーボードではあるが、OCを強く意識しているのが伺える。ATX24ピン左側には2つあるBIOSの切り替えが可能なDIPスイッチが備えられている
MSIおなじみの高品質基準「Military Class」だが、この製品では「4」になった。最大の特徴は、コンデンサの品質が向上している点だ。Dark CAPという、最大で260℃の温度に耐えられる高品質な固体コンデンサが採用されているという
電源スイッチ、リセットスイッチ、debug LEDの他に、自動でシステムをOCしてくれる、OC GENIEボタンを備えている。OC GENIEボタン横のDIPスイッチで、OCモードとゲーミングモードの切り替えが可能となっている。押した後に再起動を行うと、キーの入力なしでUEFI BIOSへ入れる、GO2BIOSボタンも搭載されており、Windows 8のFastbootを利用している場合に便利な機能だ

 というわけで、まずはマザーボードの紹介まで。

電源を入れてみた

 ……というわけで、ここからが起動編だ。

 インストールしたOSは64bit版Windows 8 Pro。もちろんあっさりインストール、起動した。

マザーボードにCPUを装着。マザーボードの初期状態は台湾時間だったので、表示は「1日の23時すぎ」。フライング購入した気分だ

まずはClick BIOS 4の使い勝手から

UEFI BIOSのホーム画面にもドラゴンがあしらわれている。CPUのクロックや温度、メモリの容量やクロック、BIOSのバージョン、CPUとマザーの温度の他に、現在時刻、起動デバイスの優先順位までもが表示されており、使い勝手はよさそうだ。USBメモリを挿しておくと、F12キーでスクリーンショットを撮影できるのもありがたい
ホーム画面右下には“BOARD EXPLORER”という見慣れない機能がある。クリックしてみると、マザーの全体図が表示、赤い枠で囲まれているところにマウスを重ねると、接続されているデバイスを一目で確認することができた。マシンが不調をきたした場合の、トラブルシューティングにも役立ちそうな機能だ
BOARD EXPLORERでSATAデバイスを表示してみた例。「どのポートが空いていたっけ?」という確認にも使えそうだ
ホーム画面右中央の“HARDWARE MONITOR”という機能名をクリックしてみると、温度や電圧の状態を細かく確認することができる。ファンコントロール機能も搭載されており、回転数の上限や下限、システムの温度によるファンの挙動を設定することができる
電圧やクロックなどの設定を保存できるプロファイル機能が搭載されている。6つまでのプロファイル設定がマザー本体に保存可能なのに加えて、USBメモリへの保存や読み出しが可能となっている
OCの設定が一目で行えるよう、重要な機能の設定欄が1ページに集約されている。オーバークロッカーの目線で見ても非常に機能的で好感が持てる
タイミング設定はかなり充実している。OC大会を世界規模で開催したり、開発チームに著名オーバークロッカーを招いているだけあり、オーバークロッカーが何を必要としているかを知りつくしている。ゲーミングマザーだが侮れない完成度だ

Windows上のユーティリティ「Command CENTER」もチェック

Windows上の専用ユーティリティ「Command CENTER」も付属。CPU、メモリ、GPUなどのOC関連の設定の他、温度や電圧などのシステム情報のモニタリング、ファンコントロール、RAMDiskの作成などを行うことができる。プロファイル機能も搭載されており、設定の保存や読み出しが可能になっている点も見逃せない。やりたいことがCommand CENTERひとつで全てできてしまうので、一度使ったら手放せなくなりそうだ
CPU、メモリ、チップセットなどのOCの鍵を握る電圧がまとめらており、それらを瞬時に調整することができる。電圧設定ではないが、倍率の可変も同じ画面から行えるので、無駄がなくとても使いやすい
OS上からもメモリのタイミング設定を細かく行うことができる。反映速度の速さや、挙動の安定感も中々のもので、OC競技で使えるレベルの完成度だ
電圧、温度、ファンの回転数をモニタリングする機能に加えて、設定された基準値を外れてしまった場合に警告してくれる機能が搭載されている。12Vや3.3Vなど、ゲームやOCの負荷で電圧降下しやすい項目もチェックできるので、重宝しそうだ
Command Centerを使えば、高速なRAMDiskを簡単に作成することができる。バックアップ機能があるので、再起動後にRAMDisk内のデータを残すことが可能という。チェックを入れるだけで、RAMDisk上にブラウザのキャッシュや、テンポラリファイル、ページファイルを置くこともできるので便利そうだ
Sound Blaster Cinemaでは、Sorround、Bass、Crystalizerなどのゲームに臨場感をもたらす機能の設定を行うことができる。設定の細かさでは、サウンドカードに及ばないだろうが、オンボードサウンドの機能としては、かなり充実している

ちょっとだけOCも試してみた「Virtual OC Genie ボタン」でテスト

時間もあまりないので、UEFI BIOSのホーム画面にある「Virtual OC Genie ボタン」でOCをテストしてみた。画像のアイコンをクリック、設定を反映するだけで簡単なオーバークロックが行える
オーバークロックしていない状態の新生FF XIVベンチの結果
「Virtual OC Genie ボタン」を押して再起動したところ、4GHzに自動OCされた
オーバークロック後のベンチ結果。なんと4割近くスコアが上がっている。定格状態ではTurbo Boostで3.9GHzまでクロックが上昇するが、その場合、すべてのコアが3.9GHzになるわけではない。しかし、この機能で設定したところ、(テスト環境では)全コアが常時4GHzで動作する設定となった。クロックの上昇幅以上に、スコアが高くなったのはそのためと思われる

完成度だけでなくコストパフォーマンスも高い

 高品質コンポーネントで完全武装され、LANやサウンド機能がこれだけ充実していながら、実売価格は23,000円ほど。コストパフォーマンスはかなり高いといえる。ハードウェアだけでなく、ユーティリティの完成度も高いので、ゲームからOCまで幅広く活躍してくれそうだ。

 筆者の中で、MSIのマザーと言えば、DrMOSを採用したVRMの発熱の低さから、常用マシン向きのイメージが強かったが、今回、「Z87-GD65 GAMING」を触ってみて、そのイメージは良い意味で吹き飛んでしまった。ユーザーが何を必要としているかをメーカーが理解して物作りをしているのが、製品を触れば触るほど伝わってきたのだ。スロット配列であったり、LANコントローラあったり、サウンド機能であったりと、本当にゲーマーが求めているマザーボードの姿がそこにあったのだ。

 この調子で、同社が力を入れていけば、ゲームをやるならMSIとなる日もそう遠くないのかもしれない。

清水 貴裕

MSI Z87-GD65 GAMING