特集、その他
GIGABYTEに聞く「今年の抱負」
ビデオカードにBRIX、マザー、そしてマウスまで…
(2014/1/31 12:02)
世間はすっかり2014年。
2013年は、Haswellの登場や、「バトルフィールド4」など有力ゲームの発売によるビデオカード人気、相次ぐ小型PCなど、様々なことがあったが、今回はその2013年を振り返りつつ、2014年の展望をGIGABYTEに語っていただいた。
同社の定番であるマザーボードやビデオカード、そしてNUCサイズのコンパクト自作キット「BRIX」、そして「これからプロモーションを強化していく」というマウスやキーボードなど幅広いジャンルのお話をそれぞれのキーマンにお伺いできたので、ぜひ参考にしてほしい。
「ゲームに最適なビデオカード=GIGABYTE」を、新型WINDFORCEで広めたい
--GIGABYTEのビデオカード部門としては、2013年はどのような年だったでしょうか。
[Eiten氏]2013年は飛躍の年になりました。2013年に投入したGPUクーラーの「新型WINDFORCE」は、特許技術である「Triangle Cool Technology」、熱輸送効率に優れた「コンポジットヒートパイプ」を採用した最大450Wもの発熱にも対応でき、ハイエンドGPUの発熱を抑えこみ、かつ素晴らしい静音性を実現できます。
このWINDFORCEは、オーバークロック性能、高冷却性能、高い安定性を実現し、ハイエンドユーザーを中心に広く受け入れられ、日本市場における販売金額は昨年より2割以上アップしました。シェアに関しても日本市場において2番手を争う位置まできています。日本のユーザーはハイエンド志向が強く、製品に対する評価も厳しいですが、2013年の結果はそういったユーザーにもGIGABYTEのビデオカードを認めて頂けたのではと思っています。
WINDFORCEには、Triangle Coolやコンポジットヒートパイプなど冷却効果を高める技術を多数取り入れていますが、一番こだわっているのは「WIND」、つまり気流のコントロールにあります。
効率的な冷却を行うためには、ただファンを強く回せばいい、というわけではありません。ファンは当然静かな方がいいし、そのうえ冷却能力も高いというのが理想です。それを実現するにはファンの回転力では無く、冷却ファン全体で考える必要があります。
その問題に対するGIGABYTEの答えが「気流の調整」です。例えば、最上位のWINDFORCE 3Xは一般的なクーラーと比べて、ファンが約15度傾斜しています。この角度がGIGABYTEが考える理想のエアフローを実現します。また、3つのファンはPWM制御され、冷却とともに気流の調整も手助けをします。また、3つのファンが分担して冷却するのでそれぞれのファンの回転数は低回転で動作音を抑えることができます。
--では、そのWINDFORCEが次に目指すポイントは何でしょうか。
[Eiten氏]WINDFORCEの冷却性能を更に高めるために開発チームも日々研究しています。ビデオカードに搭載するクーラーに対して、ユーザーが求めるのはやはり高い冷却性能と静音です。そのニーズに対して答えるのが我々の責務と思っています。それを実現するために新たなファンデザインや部材などがあれば柔軟に取り入れていきます。また、最新のGPUはオーバークロックをする時に冷却性能も密接に関係してます。GIGABYTEが目指すのは高い冷却性能、静音、そしてそこから導き出される全メーカー中最高クロックの製品です。
--以前の5連ファンのような製品の再来はあるのでしょうか?
[Eiten氏](笑)あれはGIGABYTEにとってもチャレンジした製品でした。現時点で新たな製品の予定はないのですが、反響は大きかったので、また面白い製品にチャレンジしたいですね。
--2014年にこだわっていきたいポイントはなんですか?また、具体的な計画があれば教えてください。
[Eiten氏]ビデオカードでは今年も「WINDFORCE」を全面に押し出していきます。また、その他のプロモーションとしては、ゲームタイトルとのコラボやゲーム大会なども実施したいと思っています。「ゲームに最適なビデオカード=GIGABYTE」と全てのユーザー様に認めて頂けるように積極的にアピールしていきたいですね。
--この冬、ゲームをしようというユーザーにオススメしたい製品を挙げていただけますか。
[Eiten氏]今オススメするのはやはり「GV-N760OC-2GD」です。最新版はファイナルファンタジーXIVとのコラボモデルですが、当然、ゲームに最適なGPUですので製品化しました。
また、高負荷なゲームにオススメするのはメモリを4GB搭載した「GV-N770OC-4GD」ですね。また新型WINDFORCE 3xを搭載し、冷却性能が高いので、安定して長時間ゲームが楽しめます。
ラインナップ拡充でNUCを追撃する「BRIX」Iris Proも近日発売
--昨年夏に投入したBRIXですが、その感触はいかがでしょうか?
[中村氏]BRIXは昨年7~8月にIvy Bridge版をリリースし、11月からHaswell版を販売開始しました。BCNのリサーチによれば、「ベアボーンPC」のカテゴリでのマーケットシェアは2~3位で、コンパクトPCに限れば先行するNUCと2強になっています。現在Haswell版を出荷中ですが、Ivy Bridge版は低電圧のDDR3L SODIMMではなく通常電圧のDDR3 SODIMMも利用出来る点が人気ですね。
--BRIXの強みはどんなところでしょうか。
[中村氏]ハイエンドはCore i7を、そしてi5、i3、さらにローエンドにはCeleron搭載モデルをラインナップしています。こうしたラインナップの豊富さに加え、BRIXでは無線LANやBluetoothとともに有線LANを備え、PCとしての実用的なインターフェースを本体に内蔵しています。
NUCは「先行するリファレンスモデル」と言えますが、我々のBRIXは、まず、ユーザーの使い勝手を最優先し、その上で付加価値を高める、という考え方で企画しました。モデルとしてもローエンドからハイエンドまで8種類ありますし、プロジェクタ内蔵モデルのように新たな使い方を提案する製品もあります。
--BRIXの今後は。
[中村氏]GIGABYTEはBRIXブランドを今後も積極的に育てていきたいと考えています。
まず、ゲーミングモデルでもある「BRIX Pro」を発表しておりまして、第1四半期中にリリースする見込みです。こちらはIris Proグラフィクスを搭載し、3Dグラフィックス性能を高め、コンパクトさとゲームができるパフォーマンスの両立を目指しています。また、CESでは、Steamとの協業も発表しました。Steamがリリースしたゲーム専用OS「SteamOS」に対応したBRIXモデルをローンチパートナーとして発表しています。さらに、2.5インチHDDやSSDを搭載できるモデルも近日中にリリースします。
このように、豊富なラインナップ、豊富な選択肢を今後も提供していきます。カラーバリエーションモデルも含め、今後もいろいろな製品の展開を検討していますので、ご期待下さい。
マザーボードのキーワードは「ゲーミング」厚いラインナップでニーズを汲み取る
--では、マザーボードについてお伺いします。昨年のヒットモデル、というとズバリどのモデルでしょうか?
[中村氏]独自の超長寿命ブラックコンデンサを採用したスタンダードモデルの定番、GA-Z87X-UD3Hがやはり好評ですが、同時にひとつ上のグレードのGA-Z87X-UD4Hも高評価を得ています。
今回の8xシリーズはマザーボードの見た目を一新したのですが、ヒートシンクの色使いなどで「赤」を前面に押したことで印象を深めた、という点もあったようです。8xシリーズでは、この2製品を中心に市場から高い評価が得られましたので、2014年もこの勢いを継続、さらに伸ばして行こうと考えています。
--ゲーミングシリーズはいかがでしょうか。
[中村氏]G1.Sniperシリーズは、GIGABYTEのここ数年の取り組みや技術を結集したモデルになります。とくに力を入れているのはオーディオ機能でして、別売のオペアンプに交換できる点は、ゲーマーだけでなくオーディオ好きの方にも評価いただいております。
また、ラインナップの点でも、Z87チップセットを搭載するモデルとしてハイエンドにG1.Sniper 5を、メインストリームモデルにG1.Sniper Z87を、マイクロATXのG1.Sniper M5を展開し、さらにB85チップセットのG1.Sniper B5やSocket FM2+に対応するG1.Sniper A88Xのようにエントリー向けモデルも用意しています。エントリー向けモデルは、手頃な価格でありながら、各種のオーディオ機能を搭載しつつ交換可能なオペアンプに対応しています。
--現行シリーズでのポイントはどの点でしょうか。
[中村氏]まず「超耐久性」を示す指標の「Ultra Durable 5 Plus」(UD5 Plus)を挙げたいですね。
例えばGA-Z87X-UD3Hですが、定番モデルであるだけにあらゆる用途に使っていただいておりまして、なかには常時稼働する用途や、高負荷が連続するような用途も考慮されます。もちろんOCも。そうした使い方をされたとしても、壊れない耐久性、そして安定性を、UD5 Plusが実現します。
--2014年の展開はいかがでしょうか。UDシリーズも5になり、もうこれ以上思いつくところはないだろうというところまで来ていますが……
[中村氏]今後のモデルについては今ここでお話することはできませんが、サプライズはあるでしょう。我々は非常に優秀な開発部隊を有しておりますし(笑
マーケティングについては、今年の日本ではゲーミングカテゴリを中心に考えています。我々が関わる「PCゲーミング」は、据え置きゲーム機と比べて高価なこともあり、「ニッチなニーズ」と捉えがちですが、実際にリサーチしてみると、PCでゲームを楽しむユーザーというのはけっこう多くいます。そして、実際に手頃な価格のゲーミングモデルを投入したことで、今までの売れ方とは変わってきました。GIGABYTEでは、ゲーマーチームと協力し、eSports分野でアピールできないかと考えています。
また、「4K」も2014年のキーワードになると思います。GIGABYTEはZ77世代のThunderboltモデルで4K出力サポートを発表しましたが、Z87世代となった今ではスタンダードな製品でも、DisplayPortをバージョン1.2に対応させ、4K出力が可能になりました。統合GPUの4Kサポートに準じますが、マザーボード側のサポートは進んでいます。
--ゲーミングカテゴリでは、Mini-ITXのようなコンパクトなゲーミングマザーボードというジャンルが立ち上がってきました。これについてどうお考えでしょうか。
[中村氏]Mini-ITXゲーミングの需要は認識しています。具体的な製品について、今、お答えすることはできませんが、チャレンジしたいですね。
ゲーミングマウス・キーボードはハイエンドの「Aivia」シリーズを日本市場に展開開始実は設立当初からあったペリフェラル部門
--日本市場では久々の投入となるペリフェラル(キーボード・マウス)ですが、GIGABYTEとしての位置づけはどういったものなのでしょうか?
[Eiten氏]実のところ、ペリフェラルは1986年のGIGABYTE設立当初から扱っていました。ただし当時は通常モデルのみで、ゲーミングデバイスとしては2000年後半から計画がスタートし、2009年にGIGABYTEブランドのマウス/キーボード、そしてハイエンドシリーズ「Aivia」もこの時誕生しました。現在では世界各国で販売されています。
--やはりハイエンドシリーズが気になるのですが、この「Aivia」のコンセプトはどのようなものでしょうか。
[Eiten氏]GIGABYTEのマウスやキーボード製品は基本的にハイエンドの「Aivia」と通常モデルに分類されます。日本では現在のところゲーミングモデルのAiviaを中心にリリースしていますが、Aivia=ゲーミングモデルというわけではなく、例えば海外では「NEON」のような一風変わったプレゼンテーションマウスもAiviaブランドとして展開しています。
そのうえでコンセプトのお話をすると、「Aivia」は先進的/革新的な製品を常に意識しています。市場参入も後発なので、やはり他のメーカーとの差別化が必要です。メーカーとしてはその点を重視し、こだわるポイントも他社に無いもの、ユーザーが求めているものを開発の念頭においています。
ちなみに、Aiviaは、「Advanced, Intuitive, and Versatile Interface Archetype」の略です。また、「AI via GIGABYTE」という意味もあります。洒落っぽいですが、Aiviaシリーズは充実したマクロ機能を搭載しています。そういったマクロ機能(AI機能)を搭載した製品をGIGABYTEが提供します、のような。
どちらかというとイメージで捉えてもらった方がいいかもしれませんね(笑)
--日本での手応えはいかがでしょうか。
[Eiten氏]現在はまだ展開も限定的なので、手応えという意味ではまだまだこれからだと思っています。しかし、GIGABYTEというブランドはすでにマザーボードやビデオカードでトップクラスの位置にありますので、マウスやキーボードについても同様のポジションになれるよう、プロモーション活動も強化していきます。
--2013年に売れたゲーミングデバイスはどんな製品ですか。
[Eiten氏]ワールドワイドで見ると、Kryptonですね。ドイツのデザイン賞「IF design award」を受賞したのは大きいですし、細かい個別設定ができるのも人気の理由です。
--2014年にこだわっていきたい点はどこでしょうか。
[Eiten氏]マーケットとしては今年は「4K」が一つのキーワードです。CESでは日本のメーカーの多くが4Kテレビを発表していましたが、やはり作り手側としてはこれから4K/8Kなど次世代ものをプッシュしていくのは当然です。GIGABYTEはそういったトレンドを捉えた先進的な製品を投入していきます。
--マウスのお話で「4K」という単語が出てくるのは意外ですが、「マウスにおける4K対応」とはどのようなものでしょうか?
[Eiten氏]まだあまり意識されていないかと思いますが、高解像度な4Kディスプレイで通常のマウスを使うと、マウスを非常に大きく動かさなくては操作できなくなります。つまり、より高いdpiに対応したマウスが必要になるのです。「Aivia Krypton」は、8,200dpiに対応していますので、4Kディスプレイと共に使用しても少ない移動距離で、今までのディスプレイと組み合わせた時と同じ感覚でカーソルを操作することができます。
日本でも「GIGABYTE」を総合ブランドに
--それでは、代理店であるCFD販売さんにお伺いします。昨年、御社ではGIGABYTEのサーバー向けマザーボード、そしてペリフェラルの取り扱いを開始しました。今後もGIGABYTE製品の取り扱いを増やしていくのでしょうか。
[倉本氏]GIGABYTEは、マザーボードやビデオカードという基幹パーツのブランドというイメージが強いですが、海外ではノートPC、サーバ向けマザーボード、電源、PCケース、キーボード、マウス、さらにはスマートフォンやスピーカーといったように、総合的なブランドとして認知されています。CFDでは、国内でも海外のように、GIGABYTEを総合的なブランドとして認知されるべく様々なGIGABYTE製品を投入していくつもりです。
サーバ向けマザーボードやキーボード・マウスは既にスタートしていますが、次は電源とケースの取り扱いを考えています。
今発行されているGIGABYTEの製品カタログはマザーボードのみとなっていますが、今後は、GIGABYTEブランドの様々な製品を載せていきたいと思っています。そして、ユーザーの皆様が『GIGABYTEマシン』を作りたい!と思って頂けるような環境にしていきたいですね。
--最後に一言、お願いします。
[Eiten氏]GIGABYTEのマウス/キーボードは日本市場においてはまだ始まったばかりですが、マザーボードやビデオカード同様、製品には自信を持っています。是非一度手に取ってみてください。そしてGIGABYTEの性能、使いやすさを是非体感して下さい。
[中村氏]エントリーカテゴリでは、新型Atomも盛り上がっていますが、新しいものは必ずやります。新ソケット、新チップセット、そして新しいマーケティング。マザーボードだけでなく、日本ギガバイト全体の話になりますが、今年のマーケティングの柱は【チャレンジ】です。「今までやったことがないことをやる」をテーマに色々と新しいことに挑戦していきますので、ご期待ください。
--ありがとうございました。