特集、その他
GIGABYTEに聞く、「最新マザーとBRIX、選び方と最新事情」
ゲーミング?信頼性?それとも? text by 石川ひさよし
(2014/7/2 12:02)
すっかり出揃った9シリーズ世代のマザーボード。
主力メーカーの1つであるGIGABYTEでも、多数のラインナップを用意、「Ultra Durable」をうたうスタンダードモデル、ゲーム向けをうたうG1 Gaming、高信頼性をウリとするBlack Edition、そしてオーバークロック向けのOCシリーズといったシリーズ別に、多くの製品を発売中だ。
同社の製品と言えば、小型自作キットの「BRIX」もあり、それらを含めるとなかなか選択に悩む場面も増えそうだ。
そこで今回、同社の考える注目マザーボードや製品戦略などについて、日本ギガバイトの顔でもある中村氏にお話を伺った。なお、お話しをお伺いしたのは、COMPUTEX Taipei 2014。同社はメイン会場に加えて、会場隣接の超高層ビル「台北101」にもプライベートブースを出展しており、今後の製品プランも含めてアピールしていた。
イチオシはゲーミングモデル「迷ったらネットワークやサウンドで」
――まず、今回のラインナップの特徴をお願いします。
[中村氏]GIGABYTEの今期のラインナップは、Ultra Durableシリーズ、G1 Gamingシリーズ、OCシリーズが3本柱となっています。
とくに推していきたいのがG1 Gamingシリーズです。これまでのゲーミングモデルは3モデル~4モデルのラインナップでしたが、今回は高付加価値なハイエンドモデルからコストパフォーマンスのよいミドルレンジまで、フォームファクタの点でもATX、microATXに加えてMini-ITXモデルも投入、豊富にラインナップを用意しました。
G1 Gamingシリーズでは、ヒートパイプを用いたスペシャルデザインヒートシンクや、耐久性の高い10Kキャパシタ、オーディオ回路にはニチコンのオーディオ設計コンデンサを採用したほか、バックパネルの主要な端子にも金メッキを施すなど、ゲーミング向けに設計された様々な特徴を盛り込んでいます。
なお、ラインナップ中、「Sniper」の付くモデルとGA-Z97X-Gaming G1(BK含む)、GA-Z97X-Gaming GT、GA-Z97MX-Gaming 5は従来のG1 Sniper同様、オペアンプの交換に対応しております。音質面でのチューニングができるモデルとしてご注目いただければ幸いです。
――ゲーミングのラインナップを増やしたのはどういった理由でしょうか?
[中村氏]PCにおけるゲーム市場は、世界的にみれば大きく成長している分野です。そうした市場のなか、これまでのGIGABYTEのゲーミングマザーボードは、高価な製品が中心となっておりました。
ただし、ゲーミング市場で見れば、高価な製品ばかりが求められているわけではありません。ひと昔前のゲーミングマザーボードは3~4万円が中心でしたが現在は1~2万円が中心になってきています。そこで、ゲーミングPCのニーズを確実に拾っていくため、1万円台前半のモデルも充実させつつ、Mini-ITXのようなフォームファクタでの選択肢も増やしました。これにより、ゲーミングPCでの幅広いニーズに対応できると信じております。
また、これまでの製品ラインナップでは、スタンダードシリーズとゲーミングシリーズの住み分けが不明確だったとも思います。例えばネットワークチップですが、今回のゲーミングモデルは上から下までKiller E2201を搭載することで、この点を明確に打ち出しました。
見た目という面も同様です。実際に組んでしまうと見分けがつかなくなってしまうところですが、店頭に並んだマザーボードのなかから1枚を選んでいただくという点ではインパクトが重要な要素です。そこで、G1 Gamingシリーズでは見た目にもゲーミングを意識させる鮮やかな赤を採用するに至りました。
――それでもどちらのシリーズにすればよいか悩むお客さんもいると思います。選ぶ際のポイントはどこにありますか
[中村氏]スタンダードモデルとゲーミングモデルのどちらが良いかと悩んだ時は、ネットワークやサウンドを重視するのかどうかを検討して下さい。重要視するのであれば、Killer E2201ネットワークチップや各種のオーディオ機能を充実させたゲーミングモデルがオススメです。
1週間の動作確認済みモデル「Black Edition」は「GIGABYTEの心意気」
――今回から追加された動作確認済みモデル「Black Edition」ですが、Z97X-Gaming G1 WIFI-BK、Z97X-UD5H-BK、Z97X-UD3H-BKの3モデルが用意されています。なぜこの3モデルに決まったのでしょうか
[中村氏]Black Editionは、1週間の負荷テストを行ってクリアしたものだけを出荷する、というプレミアクラスですが、我々の製品のなかでも定番となっている「UD3」と、ひとつ上級のクラスである「UD5」をメインに据え、その上で最高の製品である「G1」を加えました。
――3モデルに限定したのにはどのような理由がありますか
[中村氏]Black Edition投入のために、テストのための専用設備や工場に対する投資をしたのですが、それでも「1週間のテストをする」となると、キャパシティも限られてしまいます。そのため、今回は3モデルに絞らせて頂きました。Black Editionについては、延長保証はもちろん、証明書の添付やVIP特典もつきますし「GIGABYTEの心意気」ととらえて頂ければと思います。
――Black Editionをおすすめしたいのはどのようなユーザーでしょうか
[中村氏]やはりPCにこだわりのある方向けと言えます。「テスト済み」という安心感や延長保証というお墨付きがあるモデルですので。長期の使用を想定して組まれる方には特にメリットになると考えています。
ちなみに、基板設計や製造工程はBlack Editionもそのベースモデルも同じですが、これは、逆に言うと「Ultra Durable」の信頼性にそれだけ自信があるからこそできることです。特に「お墨付き」が欲しい方は、ぜひBlack Editionを選んで頂ければ、と思います。
――OCモデルやスタンダードモデルはいかがでしょうか?
[中村氏]まず、OCシリーズはまさにオーバークロックのために設計した製品です。とにかく「プロのようにオーバークロックできる」をコンセプトにしており、とにかくオーバークロックを追求したい、というのでしたら是非選んで頂きたいモデルです。
また、スタンダードモデルである「Ultra Durable」製品ですが、世代が変わったことを明確に打ち出すために新しいデザインを採用、ヒートシンクのカラーも金色にしています。ゲーミングは赤、OCモデルはオレンジ、Black Editionが黒、とシリーズ別のテーマカラーにもなっています。
BRIXの「卓上ゲーミングモデル」は今夏登場デスクトップ版GTX 760でBF4がプレイ可能に
――1月にお話を伺った際、BRIXブランドを積極的に育てていくとおっしゃいましたが、今回、またかなりの種類が出てきましたね
[中村氏]今回は、最初の製品に加えて、一部CESでも展示させていただいたモデルですが、ゲーミングモデル、Bay-Trail搭載モデル、NASモデルを展示しています。Bay-Trailモデルは近日中の発売を予定しており、ゲーミングモデルは2モデル展示しているうちのグリーンのモデルを夏頃の発売目標で発表いたしました。
NASモデルは、まだ製品化までお時間がかかりますが、鋭意開発中です。
――今回の展示の中でもイチオシのモデルはどれになりますでしょうか
[中村氏]まずはグリーンの「BRIX Gaming」です。こちらのモデルはCPUにモバイル向けCore iプロセッサ、そしてGPUにGeForce GTX 760を搭載し、本格的なゲームが楽しめる製品になります。
――モバイル向けのGeForce GTX 760Mではないのですか? デスクトップ向けGPUを搭載したのですか?
[中村氏]はい。デスクトップ向けのGeForce GTX 760を、クロック等調整いたしまして、搭載しております。デモのとおり、バトルフィールド4をプレイ可能な性能を引き出すためには、モバイル向けではなくデスクトップ向けGPUである必要がありました。
また、こちらのモデルではMini HDMIが2系統、Mini DisplayPortが1系統出力でき、これらを合わせて3画面マルチモニタ出力が実現できます。ほか、GbEとUSB 3.0を備え、2.5インチベイも利用できます。ゲーミング環境をできるだけコンパクトに構築したいというお客様に最適です。
――熱処理はどのように実現しているのでしょうか
[中村氏]BRIX Gamingは筐体のメッシュ部分も拡大しまして、BRIX Proとはまた異なるデザインに仕上げています。
ゲームプレイ中はそれなりに発熱しますが、このとおり熱により画面が不安定になることはございませんし、アイドル時はかなり静かで熱も気にならないようチューニングしております。
[中村氏]もう1台、ご注目いただいているのが「BRIX Nas」です。CESでも展示したモデルになりますが、4基の2.5インチベイを備え、ストレージ性能を強化しています。
――フロント部に赤外線ポート風のものがありますが、これは?
[中村氏]確かに赤外線ポートです。ただし開発中のものでして、製品版に搭載されるかどうかはお答えできません。最終的に不要と判断されるかもしれないものについても念のため実装しておくというのが開発中のモデルのスタンスであるようでして。
――販売時はどのような形態になるのでしょうか
[中村氏]従来のBRIX同様、OSなしのベアボーン状態を想定しています。OSはユーザーの皆様に選んでいただくのがよいかと思っています。
価格や具体的な発売時期はまだ未定ですが、ご期待の声に応えられるよう、製品開発を進めていますので、みなさまよろしくお願いします