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格安SIM対応+高解像度のWinタブレット「CLIDE 9」を使ってみた
欲しい機能全部入り、法人向けだけど個人でもイケる text by 石川ひさよし
(2015/3/6 17:15)
ASUSTeKマザーボードなどでお馴染みの代理店である「テックウインド」は、数々のPC関連製品とともに、タブレット製品も展開している。
とくにSIMフリーモデルにも積極的で、秋葉原に集うガジェットに敏感なユーザー層にとって目の離せない存在だ。
さて、今回紹介するのは、そのテックウインドが“法人向け”として発売しているWindowsタブレット「CLIDE 9」。
格安SIM対応で話題になった製品だが、ネットで調べると個人向けに販売している例もあり、また、本来の「法人向け」としてもモニター募集(期間後はプレゼントあり/3月15日まで)や検討目的の貸出サービスがあるなど、導入しやすい印象が強い。
そこで今回は、気になる通信機能やGPS、そしてベースとなる性能など一通りのポイントをチェックしてみた。
今時の「全部入りタブレット」WUXGA/IPSパネルに4コアAtom、SSD 64GBでGPS/3G SIM対応
CLIDE 9は、ここ2年で急成長してきたWindowsアプリケーションがそのまま動く低価格タブレットだ。
低価格ではあるが、CLIDE 9の販売価格は35,000円程度であり、激安Windowsタブレットとは一線を画している。その理由は、CLIDE 9のスペックが、“全部入り”であるところにある。
それでは、ディスプレイから紹介しよう。
まず、CLIDE 9のパネルサイズは8.9型であり、製品名の「9」はここから来ている。いわゆる低価格Windowsタブレットの主流である8型よりひとまわり大きく、それでいて10型よりもコンパクトだ。
解像度は1,920×1,200ドット(16:10)。ここも低価格Windowsタブレットの最大クラスだ。1,920×1,080ドットパネル(16:9)ではないところがポイントで、1,280×720ドットなどの激安モデルと比べ、表示できる情報量も多い。
高解像度パネルは文字も小さくなってしまうのがネックだが、そこは8型タブレットよりもパネルの表示面積が大きいぶん、文字サイズが気持ち大きくなるので、ある程度解消される。もちろんOS標準の「テキストとその他の項目の大きさの変更」から調整すれば、かなり大きな文字で表示することも可能だ。
また、パネル駆動方式にIPSを採用しているので視野角も広く、当然10点タッチをサポートしている。Windowsタブレットにおいて、モビリティとともにとくにデスクトップモードでの快適さを求める方は、CLIDE 9のパネルサイズや解像度、視野角などのスペックに注目して欲しい。
次にSIM対応について紹介しよう。
CLIDE 9の特に重要なポイントとなるのがSIM対応だ。残念ながらLTEには非対応で3Gのみだが、対応するSIMを挿し込めば、単体でデータ通信が可能になる。
帯域は、HSPA/WCDMA 2100MHz+900MHz, EDGE/GPRS/GSM 1800Mz+900MHzとされる。ドコモおよびソフトバンク、そしてそのMVNO(要3G対応)のSIMであれば、利用できそうだ。
SIMスロットは、本体上部中央にある。SIMのサイズは標準SIMサイズになる。昨今はmicroSIMで販売されていることが多いので、SIMアダプタを併用するのがよいだろう。SIMスロットはむき出してカバーなし。プッシュプッシュ式で、交換は簡単だ。SIMアダプタをトレー代わりに用いれば、スマートフォンやタブレットとの間でSIMを共有するのも難しくはない。
そのほかに搭載されているインターフェースは、microUSB、microHDMI、電源ボタン、ボリューム最小ボタン、オーディオ用ジャック、イン/アウトカメラと行った具合で、Bay Trailタブレットとしては標準的だ。後ほど、MVNOデータSIMでの接続方法も紹介しよう。
内部スペックも、なかなか充実している。
まずCPUは4コアで定格1.33GHzのAtom Z3735F(バースト周波数1.83GHz)を採用している。4コアで比較的高いクロックのため、重い処理をさせた際のレスポンスが、2コアの低クロックCPU採用モデルよりもよい。
メモリはDDR3-1600の2GBだ。4GBモデルがあればよいのだが、Bay Trailタブレットは2GBが主流なので、標準的と捉えるのが素直だろう。ストレージはeMMCの64GB。32GBのモデルも多いので、ここは余裕があると言え、さらに必要ならばmicroSDで拡張できる。
無線機能は、IEEE802.11b/g/n無線LANと、Bluetooth 4.0をサポートする。このあたりも標準的だ。ただし、上記のとおり3Gもサポートしているので、さまざまなところで繋がるメリットは大きい。
そして、センサー類として、GPSに対応している点もメリットだ。GPSは、よく3G用の通信モジュールとセットとなることが多いのだが、本製品も同様なのだろう。GPSと3Gを使えば、地図データをインターネットからダウンロードする地図アプリがWi-Fiホットスポットに縛られることなく利用できる。
このように、スペック的に見れば、この価格は妥当どころかかなりアグレッシブ。外観はシンプルで飾り気がないが、そこも価格の一部と言えるだろう。
最後にサイズと重量を紹介しておくと、232.8(W)×149.5(H)×8.5(D)mmに約480gとなる。サイズは8型と10型の中間かやや8型寄りで、とくに軽さについては8型モデル並みに抑えられている。
安価なMVNO SIMカードでネットに接続するまでの手順をチェック
さて、SIMカードによるデータ通信を試してみよう。今回試したのは、筆者が契約しているU-mobileのデータ通信使い放題プランのSIMである。
まず、SIMを挿した後、最初にする作業がAPNなどのネットワークセットアップだ。Windowsの場合、画面左からスワイプし、チャームを呼び出した後、「設定」をタッチし、その下に表示される3行2列のアイコンから、左上のインターネット接続のアイコンをタッチして「ネットワーク」を表示する。
要は無線LAN接続をする際の設定画面に3G接続用の項目が表示されるわけだ。3G接続の場合、「モバイルブロードバンド」という項目がそれになる。U-Mobileの場合、ドコモのネットワークを利用するため、「JP DOCOMO(HSDPA)」という表示が現れるかと思う。
JP DOCOMO(HSDPA)をタッチまたはクリックすると、プロパティの設定ができる。
そこで、APN、認証ID、パスワード、認証方式といった各項目に、契約している通信事業者から受け取った情報を入力していく。入力後、接続をタッチして接続を確認できた。
普通のWebサイトや地図、SNSなら「まずまず実用的」な通信速度
速度については、LTEではなくHSDPA接続、それもMVNO事業者の回線になるため、試用時の実測値では1Mbps弱という結果。LTEと比べるとさすがに遅く、ウェブサイトの閲覧もLTEを使ったスマートフォンのほうが正直、素早い。
とはいうものの、一般的なWebサイトの閲覧や地図アプリの利用、TwitterやFacebookの利用においては「ラグや遅れを感じることもあるが、まずまず実用的」というレベル。ヘビーなWebサイトやダウンロード、スムースな動画視聴には向かないが、“取り出してすぐに通信できる機動性”を重視するなら「アリ」と言える。MVNO SIMもかなり安価になっており、このあたりは考え方だろう。
ちなみに、筆者の住処はLTE電波の弱い地域なのだが、3Gは途切れず通信できる。3Gのほうがまだカバーエリアの面でも広く、かなりな僻地でも利用できるし、遮蔽物に強いところも場所を選ばずインターネットに繋がる点で有利かと思う。
最後に軽くWindowsエクスペリエンスインデックスだけ紹介しよう。CPUは5.8、メモリは5.5、グラフィックは3.9、ゲームグラフィックは4、ディスクは6.55となった。Atom Z3735Fをベースとしたタブレットなので妥当な値である。
数少ない“全部入り”のWindowsタブレット常時ネットワーク接続やGPSも魅力
今回はCLIDE 9を4日間ほど使ってみた。
普段、同じBay TraiタブレットのThinkPad 8を用いているが、処理速度的にはさほど変わらない。
一方で、サイズ感としてはひとつ大きな8.9型というのもアリだと感じた。とくにタッチ操作に関しては、1,920×1,200ドット表示は共通なので、少し大きいCLIDE 9の方が圧倒的にラクだ。
また、SIMカードを用いて単体でインターネット接続できるところがとくに気に入った。なにせ、定額SIMを組み合わせて常にモバイルブロードバンドをオンにしておけば、ディスプレイオンから数秒で自動的にインターネットに繋がる。
これらの機能、8型よりも画面が大きく、1,920×1,200ドットのパネルで、SIM対応、といった点は、それぞれ個別に見ていけば対応製品がある。ただ、これを全て詰め込んでいる製品はまだ少ない。そこにCLIDE 9の魅力がある。