取材中に見つけた○○なもの

HDDメーカーが語る「HDDを壊さない使い方」、HGSTが店頭イベント実施

3GB/sの超高速SSDや冷却液に沈めた液冷PCの紹介も

会場で展示されていた内部が見えるHDDのモック

 先日オリオスペックでHGSTの店頭イベントが行われました。

 「HDDを壊さない正しい使い方」やヘリウム入りHDDの意外な性能、今後登場する超高速なNVMeストレージの紹介など、ユーザー的に興味深いプレゼンも行われたので、その模様を簡単にご紹介します。


メーカーが語る「HDDの正しい使い方」、実は知られていない故障率の真実

 この日最も突っ込んだ話が出たのは、NAS HDD担当の山本氏のプレゼン。Segate製HDDは故障しやすいと話題になってしまった真の理由や、HDDの正しい使い方など、知っているようで知らない話が語られました。

Deskstar NAS
HGSTの山本氏
Backblazeが公開している自社サーバーのHDD故障率

 山本氏は、「HDDは用途に合わせたモデルを選ばないと壊れる」と用途に合わせてHDDを選ぶことの重要性を強調。HDDは個々の用途に合わせ設計されているため、モデルごとに特性が異なります。

 例として、アメリカのデータセンターBackblazeが公開しているHDDの故障率を引用して紹介。

 「調べてみたところ、Seagate製HDDの故障率が高いとされているはデータセンター向けのHDDが使用されていないためで、用途に合わせたモデルを選ばないとこうなるという一例」。「こういった用途に合っていないモデルを選択することが“間違った伝説をつくる”」といった話が語られました。

 また、最近NAS向けHDDなどで提示されている「最大xxベイまで」という記載に関しても解説。

 これはHDDが耐振動設計になっているかの目安とのこと。対応ベイ数が多いモデルは振動対策がしっかり取られており、振動抑制センサーが通常モデルよりも多く搭載されるなど、設計段階から差別化されているそうです。メーカーが提示している台数以上で使用すると、パフォーマンスが著しく落ちたり、故障の原因になるとのこと。RAIDで使用する際などは注意する必要がありそうです。

IT用語として「今日絶対に覚えて帰って頂きたい単語は“HGST”、“H”は日立ではありません」というジョークが出るシーンも
回転振動抑制センサーの効果
HGSTのストレージシステム「G-RAID Studio」の64TBモデル、搭載されていたのはヘリウム入りHDD

 質疑応答ではHDDの使用方法に関する話も。

 「現在のHDDはしっかり固定されていれば縦横斜め、どの向きで設置して使用しても問題無い」、「しっかり固定されないとパフォーマンスが落ちる」といったことや、「24時間可動がうたわれているモデルは常時通電している方が結果的にドライブへの負担は少なくなる」、「モバイル向けの2.5インチHDDなどは電源を落とすことが前提で設計されているため、24時間稼働環境などで使用してはいけない」といったHDDの正しい使い方が解説されました。

 ちなみに、HGSTはコンシューマー向けモデルは全て手放してしてしまったそうで、「Deskstar NASは名称はコンシューマー向けのブランド「Deskstar」が使われているが、HDD自体はデータセンター向けグレードのものを使用している」そうです。Deskstar NASの安値品はお買い得感が高いかもしれません。


実は超静音HDDだった、ヘリウム入りHDDのUltrastar Heシリーズ

 HGSTの木下氏によるプレゼンは、ヘリウム入りHDDのUltrastar Heに関するもの。HDDの密閉性を見せるため、店頭では冷却液に全てのパーツを沈めた液冷PCを用意して動作デモが行われました。

店頭デモが行われた液冷PC、冷却液はフロリナートで完全ファンレス
ヘリウム入りHDDのUltrastar He、完全密封タイプなので液中でも動作可能
CPUの表面には熱で泡ができていました
液冷系PCではかなり完成度が高い逸品、インテリアとしても良さそう
プレゼンを行ったHGSTの木下氏
ヘリウム入りHDDの内部構造

 木下氏によると、ヘリウムは空気に比べて抵抗が少ないため、ディスクが回転する際の音や振動がかなり抑えられるとのこと。動作音に関しては2.5インチHDDなどよりもかなり静かで、シーク音がするくらいだとか。

 容量で注目された製品ですが、手頃な価格のモデルが出てくれば、静音性目当てで人気製品になるかも。

 また、ヘリウム入りHDDはプラッタやヘッドなどが完全に密封されるので、湿度や空気中に含まれるガスなどの影響を受けず、結果的に長寿命のHDDになるそうです。空気に比べ抵抗が少ないため、低消費電力/低発熱となる点もウリ。

 こうした特性から、「現時点で地上最強のHDD」といえるとか。初期不良もほぼ無いそうです。

 ちなみに、デモPCの冷却液はフロリナート(1.5kgあたり4〜7万円前後)で、超高価なデモPCだったりもします。写真では少しわかりにくいですが、動作時の見た目も美しく、インテリア性にも優れる完成度の高いPCでした。


速度はリード3GB/s、今後登場するNVMe SSDは秋葉原で買えるようになる

 HGSTの大黒氏からは、今後登場するNVMeに対応したPCI Express接続SSD「Ultrastar NS100」が紹介されました。Ultrastar NS100は、リード3GB/sという高速性やIOPS性能の高さがウリのモデル。

Ultrastar NS100シリーズ
リードは3GB/s
ラインナップはカード型と2.5インチタイプの2種類

 HGSTのSSD製品は、これまで一般ユーザーが購入することはほぼ出来ませんでしたが、今年発売される「Ultrastar NS100」からは店頭購入可能になるそうです。今回イベントを行ったのもその一環だとか。

 今回のイベントで実機が紹介されたのは2.5インチ形状のモデルで、帯域はPCI Express 3.0×4レーン、8639 Connector接続のもの。コントローラは2基搭載しているそうです。

HGSTの大黒氏
Ultrastar NS100の2.5インチモデル
コネクタ形状は「8639 Connector」

 質疑応答では、オリオスペックから「8K映像編集システム向けに5〜8GB/sの速度が必要なのだが、超高速モデルを用意できないか」といった要望が出され、3GB/sの高速性をアピールしていた大黒氏が言葉に詰まるシーンも。

 現在8GB/sを出せるモデルはないそうですが、拡張カード型であればPCI Expresx 3.0×16レーンなどの規格外モデルを作れないわけでもないそうで、要望が多ければといった状況のようです。

 また、M.2 SSDに関しての質問には、「今日は語ることが出来ない」と肯定も否定もしなかったので、今後何か動きがあるのかも。

 ちなみに、今回のイベント名は「HGSTストレージ製品説明会 The First」。告知はされていませんが、Second、Thirdと開催を期待したいところです。次世代HDDの話や、暗号化技術のなど、濃い話も飛び交う面白いイベントなので、技術的な話が好きな方は、次回開催され際にぜひご参加下さい!

(久保 勇)