【 2009年11月14日号 】
実測1GB/sオーバー、6Gbps対応の最速RAIDカードを試す
Text by 久保 勇


最新世代のRAIDカードを試す

 最大転送速度リード2,875MB/s、ライト1,850MB/sをうたう新世代のRAIDカードLSI MegaRAID SAS 9260-8i。6Gbps転送対応、PCI Express 2.0接続サポートと、機能的に現行RAIDカードのハイエンドに位置する製品だ。

 今回、Intel製SSD X-25-Mを使用してこのRAIDカードのテストを行った。テストに使用したRAIDカードはメーカーのLSIロジックと国内代理店のASK SSSに、IntelのSSDは国内代理店の旭エレクトロニクスからお借りしている。

・テストに使用したPCのスペック
CPU:Intel Core i7 920
マザーボード:ASUS P6T Deluxe V2(X58)
メモリ:SanMax SMD-6G88HP-13H-T(DDR3-1333 2GB×3)
ビデオカード:ELSA GeForce 8800 GTS
OS:Windows 7 Ultimate(64bit)/Windows XP Professional(32bit)
HDD:WesternDigital WD3200AAKS(320GB)
SSD:Intel X25-M(G2)(80GB,34nm版)×4台/X25-M(G1)(80GB,50nm版)×2台

 ちなみに、テストで使用しているSSD「X25-M(G2) 80GB」の単体の速度は右の通り。最高転送速度はリード239.5MB/s、ライト82.2MB/sだ。RAID動作時との速度を比較する際の参考にしてもらいたい。

・使用SSD単体の速度

CrystalDiskMark(1000MB)

SSD×4 RAID 0で動作テスト、優れたキャッシュ性能を発揮

 今回、速度のテストは34nmプロセスで製造されたIntel製SSD X25-M(G2)をメインに使用した。ベンチマークはWindows 7で測定した時のものを掲載している。なお、で転送速度に関しては、Windows 7とWindows XPの間に明確な差は見られなかった。

 まず、搭載キャッシュの速度だが、シーケンシャルアクセスは2GB/sを超える結果が出た。高速なRAIDカードはPCI Express x8レーン対応のものが主流だが、PCI Express 1.1対応品では理論値でも最高2,048MB/sが限界。今回の数値はPCI Express 2.0対応品の利点が出た結果といえる。  

 筆者はハードウェアRAIDカードをいくつかテストしたことがあるが、ここまでキャッシュ速度が速いRAIDカードは見たことがない。LSI MegaRAID SAS 9260-8iは非常に高速なキャッシュを備えたRAIDカードといえる。

・キャッシュの速度

CrystalDiskMark(100MB)

 また、このRAIDカードには、キャッシュを上手く使い高速化を図る機能がある。キャッシュ容量を上回る大きなファイルを転送する時に働く機能で、キャッシュ容量を超えるデータであっても実ストレージ速度が高速化される。数値を見る限り、実ストレージ速度より20%前後高速な転送が可能になるようだ。多くのRAIDカードはキャッシュからデータがあふれた瞬間に実ストレージの速度しか出ないケースが多いため、こういった部分はこのカードの優れたポイントといえる。

 このほかに高速化機能としては、アクセスするデータを予測して高速化を図るRead Ahead機能も備えている。マニュアルには有効時にシーケンシャルアクセスの速度が高速化されると記載されているが、テスト環境では無効時よりも速度が落ちるケースも見られた。おそらく予測が外れた際はペナルティがある機能だと思われるので、使用環境に合わせて有効/無効を切替えた方がいいだろう。

・SSD×4 RAID 0
 (キャッシュ有効)
・SSD×4 RAID 0
 (キャッシュ無効)

CrystalDiskMark(1000MB)

CrystalDiskMark(1000MB)

 ちなみに、X25-M(G2)×4台 RAID 0環境のWindows エクスペリエンス インデックスの値だが、ストレージのスコアは7.8となった。


エクスペリエンスインデックス
(SSD×4 RAID 0時)

SSD×4 RAID 0の起動時間テスト、Windows 7は約54秒で起動処理完了

[動画] 電源投入からOS起動完了まで / 56秒
※別ウィンドウで開きます

 SSD×4台RAID 0の環境にOSをインストールし、起動時間を計測してみた。

 Windows 7の起動時間は約55秒ほどで、RAIDカードのBIOS処理にかかる時間もハードウェアRAIDカードとしてはそれほど遅くは無い。Windows XPは53秒ほどで起動処理が完了しており、Windows 7よりも若干速いようだ。

 なお、LSI MegaRAID SAS 9260-8iのBIOSだが、マザーボードによってはBIOS設定画面に入れないケースが存在する。代理店からの情報によると、サーバ向けのマザーボードでは問題ないが、コンシューマ向けのマザーボードで発生する問題のようで、LSI MegaRAID SAS 9260-8iがブート順で最優先デバイスとなっていない場合に起こる可能性があるとのこと。筆者はASUS Striker II Formulaで使用した際に問題が起こり、原因が分からずいろいろと苦労した。新規OSインストール時などはBIOSに入る必要があると思われるので注意して欲しい。

SSD×4台RAID 0のストライプサイズ別速度比較、64K時に最高性能に

 下のベンチマーク結果はSSD×4台RAID 0動作時のもので、RAIDアレイのストライプサイズの違いよる影響を比較したもの。結果を見る限り、ストライプサイズが64K時にバランス良く性能が発揮されている。

 なお、ストライプサイズが64Kより小さなサイズではキャッシュ性能が大幅に落ち込み、実ストレージ速度も低下している。64Kよりも小さなストライプサイズは使用を避けた方がよさそうだ。

 また、64Kよりも大きなサイズでは、128K時に若干のランダムアクセス速度の低下が見られ、256K以上ではキャッシュの速度は変わらないものの、ストレージの速度はシーケンシャル/ランダムアクセスともに低下する傾向が見られた。

  ・ストライプサイズ8K ・ストライプサイズ64K ・ストライプサイズ256K
キャッシュ速度
CrystalDiskMark(100MB)

CrystalDiskMark(100MB)

CrystalDiskMark(100MB)
キャッシュ有効時

CrystalDiskMark(1000MB)

CrystalDiskMark(1000MB)

CrystalDiskMark(1000MB)
実ストレージ速度
(キャッシュ無効時)

CrystalDiskMark(1000MB)

CrystalDiskMark(1000MB)

CrystalDiskMark(1000MB)

 X25-M(G2)×4台でRAID 5を構築した際のデータも取ったので、参考にしてもらえればと思う。

  ・SSD×4 RAID 5
 (キャッシュ速度)
・SSD×4 RAID 5
 (キャッシュ有効時)
・SSD×4 RAID 5
 (キャッシュ無効時)
ストライプサイズ64K
CrystalDiskMark(1000MB)

CrystalDiskMark(1000MB)

CrystalDiskMark(1000MB)

SSD×6台RAID 0動作テスト、実測で1GB/sオーバー

 今回はSSD×6台によるRAID 0でのテストも行った。Intel X25-M(G2)×4台+Intel X25-M(G1)×2台というイレギュラーな構成ではあるが、参考までに見てもらえればと思う。本来は同一のSSDのみでテストすべきだが、Intel X25-M(G2)は品薄で代理店に在庫が無い状況だったため、やむを得ず変則的な構成でテストを行った。

 右のベンチマーク結果がSSD×6台 RAID 0時のものだ。RAIDアレイはストライプサイズは64Kで構築している。

 実ストレージの速度は1GB/sを超え、キャッシュの補助がある場合は1.3GB/sを超える。帯域的にはまだ余裕がありそうなので、8台でRAID 0を構築した際はさらに上が狙えそうだ。キャッシュ速度に関しては4台RAID 0(ストライプサイズ64K)時と大きな変化は見られなかった。

 なお、X25-M(G1)はカタログスペック上はX25-M(G2)とほぼ同等だが、実測値ではX25-M(G2)が高速となる面が多いため、X25-M(G2)のみでRAIDを構成した場合はさらに速くなると思われる。

 また、SSDを奇数台でRAID 0を構築してみたが、偶数台で構築した場合よりロスが大きいことも分かった。ためしにSSD×5台で1GB/sを狙ったのだが、900MB/sほどしか出ず、4台時とほとんどかわらない速度しか出なかった。よほどの理由が無い限り、RAID 0で使用する場合は偶数台で構築した方がいいだろう。

・実ストレージ速度
 SSD×6 RAID 0
 (キャッシュ無効時)

CrystalDiskMark(1000MB)
・キャッシュ補助有効時
 SSD×6 RAID 0

CrystalDiskMark(1000MB)

性能を引き出すための注意点、PCI Express 2.0は必須

 上記のように高いパフォーマンスを見せる製品だが、速度を十分に発揮するにはいくつかの注意点がある。

 右の画像はASUS Striker II Formula(nForce 780i SLI)で動作させた時のキャッシュ速度だが、X58チップセットを搭載するP6T Deluxe V2と比較して大幅に速度が低下している。nForce 780i SLIチップセットは、nForce 680i SLIにnForce 200を組み合わせてPCI Express 2.0に対応させたチップセットのため、帯域的にはPCI Express 1.1の速度しか出ないようだ。性能を引き出すにはPCI Express 2.0帯域分の速度がしっかり出せるチップセットが必要になる。

 また、PCI Express x16形状のスロットを複数持つマザーボードは多数存在するが、中にはビデオカード専用スロットとして設計されているものある。そういったスロットではRAIDカードが動作しないので気をつけて欲しい。形状はPCI Express x16スロットだが、帯域はx4やx1というスロットを持つマザーボードも多い。仮にそういったスロットでは動作したとしても帯域分の速度しか出ない。

・nForce 780i SLI接続時

CrystalDiskMark(100MB)

 次にRAIDカード側の設定だが、アレイを構築する際の設定も重要になる。まず、Write policyの項目だが、Write Backを選択しなければキャッシュ機能が全てオフになってしまう。このカードは読み込み時のみキャッシュを利用するという使い方はできない。書き込みキャッシュの設定がキャッシュ機能のオン/オフと連動しているので注意して欲しい。

 I/O policyの項目はDirect IOかCached IOを選択できるが、Direct IOを選択しないと速度が出ない。Cached IOを選択した場合、データのアクセスは全てキャッシュ経由となり速くなりそうなものなのだが、速度は低下してしまう。最後にDrive Cache policyの項目だが、キャッシュを持っているストレージの場合は有効にした方がいい結果が出るようだ。

 なお、キャッシュを有効にして使用した場合、電源断などが発生した場合はキャッシュ上のデータが消えてしまうため、信頼性を重視するならばバッテリーバックアップユニットやUPSと組み合わせた方がいいだろう。

・RAIDアレイの設定画面

 ちなみに、LSI MegaRAID SAS 9260-8iはファンレスの製品だが発熱量は多い。テスト環境では80℃近くにまで上昇したため、ファンで風を当ててテストを行った。カード付近が無風状態となってしまう場合、ファンで冷却した方がいいかもしれない。

・動作時の温度

今最速を狙うならこのカード

 以上のようにLSI MegaRAID SAS 9260-8iは、SSD接続時の動作を見る限りは非常に優秀なカードという印象を持った。キャッシュの速度もさることながら、1GB/sを越えてもまだ余裕のありそうな帯域はすばらしい。起動時のBIOS処理がそれほど遅くない点もポイントだ。唯一欠点があるとすれば、4Kなどの小さなサイズのランダムアクセスにそれほど強くないという点くらいだろうか。

 6Gbps対応のストレージが発売された際に本領を発揮するカードではあるが、現時点でもPCI Express 2.0対応の恩恵は非常に大きく、現状でも高いパフォーマンスを発揮している。

 LSI MegaRAID SAS 9260-8iの秋葉原店頭での実売価格は約7万7千円。今最速のRAIDカードが欲しいならば、最有力候補の一つになるはずだ。

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LSI MegaRAID SAS 9260-8i
Intel X25-M



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