【 2009年10月17日号 】 | |
高速ストレージ頂上決戦、「SSD VS RAMディスク」4ポートRAID 0編 Text by 久保 勇 |
RAMディスクとSSD、最速ストレージはどっちだ | |
単体SSDとしては最速となる「G-Monster-PROMISE PCIe SSD」。9月末にfumio氏によるレビューをお届けしましたが、それだけで終わらせるのはもったいないので、手持ちのRAMディスク「ANS-9010」のRAID 0環境と速度を比較してみました。モンスター級ストレージの頂上決定戦を行ってみたいと思います。 「G-Monster-PROMISE PCIe SSD」の内部はキャッシュ搭載ハードウェアRAIDコントローラ+SSDという構造になっており、4ポートでRAID 0が構築されています。構成をなるべく同等とするため、RAMディスク側も4ポートでRAID 0を構築(RAIDカードはSiliconImage SiI3124搭載品、ソフトウェアRAID/キャッシュ無し)。 今回は下記構成のPCを使用して速度を比較しています。 CPU:Intel Core2 Quad Q9650 |
一発の数値ではキャッシュ有りRAIDのSSDが優位、ランダムアクセスはRAMディスクが高速 | |||||||||
まずはCrystalDiskMarkとHD Tuneで速度を比較。 まず、「G-Monster-PROMISE PCIe SSD」ですが、256MB DRAMキャッシュ搭載ということもあり、キャッシュ内に収まるサイズ(100MB時)であればシーケンシャルリードはなんと1GB/sオーバー。1GB/s超えはただ速いというだけでなく、ストレージマニアが意識する大きな指標でもあります。 RAMディスク側は4kのランダムアクセスが非常に高速。RAIDカードがソフトウェアRAID/キャッシュ非搭載ということもあり、ピーク性能はSSDに劣ります。なお、計測毎の速度のバラつきはありませんでした。アクセスタイムは最速と言える"0.0ms"を記録(HD Tuneで計測)。 キャッシュ内に収まるサイズのデータであればSSD、多くのデータを扱う場合はRAMディスクと、どちらが最速かは使用環境次第という結果に。一長一短あるので引き分けですかね〜。 |
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OS起動時間はRAIDコントローラ次第、アプリケーションの起動は若干RAMディスクが優位
[動画] 電源投入からOS起動完了まで / 1分40秒 ※別ウィンドウで開きます | 次はOSとアプリケーションの速度を比較。 OS起動に関しては電源投入から起動後砂時計が消えるまでを計測。結果はRAMディスクが40秒ほど、SSDが1分40秒ほどとなりました。時間だけ見ればRAMディスク環境の圧勝となっていますが、ストレージというよりはインターフェイスカードの比較になっていますね………。 ハードウェアRAIDカードは高速なDRAMキャッシュが利用できたり、RAID 5/6などが高速というメリットがありますが、初期化に時間がかかります。特にSAS用のRAIDカードは起動にかなりの時間がかかる傾向有り。 ソフトウェアRAIDカードは性能がCPU依存であるため、RAID 5/6などでの運用には向きませんが、起動が速いという特徴があります。ちなみに、マザーボードのチップセットが標準で備えるRAID機能もソフトウェアRAIDなので、起動速度は最速クラス。 |
[動画] PhotoShop CS4起動完了まで / 5秒 ※別ウィンドウで開きます | アプリケーションの起動時間比較にはPhotoShop CS4を使用し、OS起動後1回目の起動時間で比較しています(2回目以降はキャッシュが残り、ストレージの影響をあまり受けないため)。 結果は僅差でRAMディスクが勝利。明確にどちらが速いのかは並べて比較しないとわからない差ですが、このわずかな差が体感速度の印象を変えることもあります。ファイルを開く時や、アプリケーションを立ち上げる時など、小さな差が積もり積もって「使っていてなんか軽い」という感覚に繋がったり、自分の操作に対してPCの動作がラグ無しに追随してくるような心地よい感覚を生んだりもします。侮ることはできません。 RAMディスクを使っている人は"この速さ"が癖になって手放せないという人も多いのでは?ご多分に洩れず筆者も癖になっています。 |
実速はRAMディスク、「ロマンの数値」ならハードウェアRAIDのSSD
起動の速さや操作感、ランダムアクセスの性能など、トータルでみるとRAMディスクの方が高速です。しかし、DRAMキャッシュの速度とは言え、1GB/s越えは非常にロマンのある数値。ベンチマーク上にしか現れない数値だったとしてもマニアとしては捨てがたい。実速の性能を取るかロマンを取るか、どちらが速いかは好みによるとも言えるかも。
ちなみに、実際の操作感はどちらの環境もHDD/SSD(非RAID)の環境と比べるとかなり快適。特にHDDから乗り換えた場合は「爆速」を体感できるはず。ただ、今回の環境を導入するにはどちらも20万〜30万円ほどかかるので、「手軽に」とはいきませんが……。コストパフォーマンスは悪くとも、マニア的には所有欲を満たしてくれるアイテムではあります。
「ぶっちゃけ高すぎる」、「そんな予算は無い」という人でも高速ストレージの世界を体感したいというのであれば、SSDなら2台でRAID 0、RAMディスクであれば単体での使用をお勧めします。SSDであれば2台程度であればリニアにシーケンシャルの速度があがりますし、RAMディスクは単体でも独特な使用感を感じられますよ。
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PhotoFast G-Monster-PROMISE PCIe SSD | ||
ACARD ANS-9010 |