【 2012年8月21日 】
「パソコン自作力検定」に再び挑戦
第2回は「改造バカ」監修、ネタ色控えめで内容を洗練

                            Text by 久保 勇


東京会場の秋葉原ダイビル

 PC自作に関連する理解度を確認できる検定試験「パソコン自作力検定」の第2回が8月19日(日)に実施されました。今回は東京と大阪の2会場同時開催。

 試験会場は、東京が秋葉原ダイビル2階のコンベンションホール、大阪が日本マイクロソフト 大阪オフィスのあるラグザタワー ノースオフィス5階のセミナールーム。筆者が受験してきたのは東京会場。

 主催:パソコン自作力検定実行委員会、運営:イーアリーナと、前回と変わりありませんが、今回は問題の監修に「改造バカ」こと高橋敏也氏が参加しています。


●受験者は東京120人、大阪50人、受験者の年齢層は若干上昇


東京会場の様子

座席表
 イーアリーナのスタッフによると、「当日の受験者数は、東京会場が121人、大阪会場が48人の計169人(約3割の人がリピーター)」、「受験申し込み自体は200件以上の申請があり、前回よりも増加した」そうです。

 受験者の年齢層は、筆者がざっと見た感じ前回よりも若干高め。30代と思われる人が多く、50代前後と思われる人もそこそこ見受けられました。「前回受験者の平均年齢は33歳、今回は35歳」(イーアリーナ)。

 問題監修を担当した高橋敏也氏によると、「監修の打診を受けた際は、メインターゲットはもっと上の年代なると想定していたので、“懐かしのPC”に関する問題を多くするつもりだった」とか。ただし、「(前回受験者の年齢を考慮すると)20年前のPCの話題ばかりで問題を構成するのは難がある」と、結果的には試験内容は受験者の年齢層を考慮したものに。

 なお、会場の雰囲気ですが、今回も緊張感ある空気が流れており、センター試験会場風な印象。受験者のマナーが前回同様かなり良いのも印象に残りました。


●試験内容はより手応えのあるものに、「改造バカ」渾身のギャグ問題は不採用?


受験者の応援に駆け付けた高橋敏也氏と公式サポーターの吉田由莉さん

試験内容は高橋敏也氏が監修に参加

試験後に受験者と談話する高橋氏と吉田さん

試験終了後には記念撮影や握手をする時間が設けられた
 高橋敏也氏監修の影響が気になる試験内容ですが、同氏のユーモアあふれる印象とは裏腹に、意外にも手堅い方向に正当進化。試験の形式は前回と同じく4択のマークシート方式で、全100問。試験時間は1時間。

 問題は「質の良い難題を作る」、「楽しめて難しくてためになる」をコンセプトに作成し、奇問や珍問などはなるべく排除する方向で選定したそうです。

 実際に問題を解いてみた感想ですが、前回より難しくなったというのが第一印象。ただし、問題の意味が伝わりやすくなっていたり、PCの雑学をより広く深く問う問題が増えたりと、検定自体の質が向上している点は好印象。知っているか知らないかを単純に測るだけではなく、ぱっと答えがわからなくても、自分の持っている知識を使って正答を導き出せる問題も多めな気がしました。

 個人的に印象に残った問題は「COM1ポートに通常割り振られるIRQの番号はどれか」、「SCSIは何の略称か」、「PCIは何の略称か」、「Sillicon Imageの技術「TMDS」をベースにした映像伝送規格は何か」など。

 筆者はWindwos XPを使用していた頃はIRQのバッティングに苦しめられた口ですが、このあたりの知識は今では記憶の彼方に……。PCIやSCSIはメジャーな用語だけに何の略称なのか見た記憶はあるものの……といった具合に苦戦しつつ解くことに。ちなみに、Sillicon Imageの技術をベースにした映像伝送規格はDVIです。

 基本的にはこうした用語や規格、製品の仕様などを問う正統派の問題が大多数。なお、製品仕様を問われるものは、正確な数値を知っている必要があり、特にAMD製CPUの問題は難解。モデルナンバー毎のクロックやキャッシュ、コア数、TDPなど、正確な知識が要求され、筆者は2問ほど運任せに(苦笑)。

 毛色の違う問題としては「クラウディア窓辺の母は何系米国人か」、「87CLOCKERSの作者は誰か」といったものがあった程度。6月に行われたイベント「PC-DIY EXPO」時に参考として出されたような、無茶振りな問題は出題されずに済みました。

 高橋敏也氏に試験後話を聞いたところ、監修に関しては“苦労した”“難しい”を連発。「軽い気持ちで監修を引き受けたが、手間は想定の5〜10倍ほど」、「合計100問なので、1問あたりにかけられる時間は36秒。一瞬で解ける問題と熟考が必要な問題のバランス調整、採用問題の取捨選択は本当に難しい」といったことのほか、「誰も解けないような問題は無くした上で、運の力も込みでA級(100〜96点)の受験者が出るか出ないかの難易度に調整するのはかなり困難」と苦労が絶えなかった模様。

 監修だけでなく、問題もかなりの数を作成したらしいのですが、「(力を入れた)ギャグ色が強いものは全部却下され、すごく悲しかった」と冗談交じりに話していました。趣味の検定なので、受験者が楽しめる部分や、解いている最中にニヤリとできる要素を増やしたかったそうです。

 そういえば、PC関連の大型イベントを選択する項目に「コミケ」があったり、バルクの対にあたる言葉の選択肢に「バルス」が混ざっていたりしたような……。同氏は関与を大否定していましたが、個人的には「改造バカ」の意地を見た気がします。

 なお、前回も検定内容に関しての公開制限がありましたが、今回も「どんなかたちであれ試験問題を公開することを禁止する」とされています。ただし、「記憶に残っている範囲であれば、ブログなどに試験の感想として書くことは問題ない」(イーアリーナ)そうです。また、会場内や問題用紙の撮影は前回と同じく全面的に禁止。会場内の画像は特別に許可を得て撮影/掲載しています。


●次回開催は来年を初頭を検討中、全国展開も視野に


前回受験後に郵送された「パ自検カード」

前回の結果はA級該当者ゼロ
 次回の開催に関しては具体的に決まってはいないものの、来年前半に実施する方向で検討しているそうです。

 実現するかは別として、今後の展望としては、「将来的には参加者は1,000人規模、各地方の主要都市で同時開催できるようにしたい」、「今回の大阪会場のように、メーカーと協力して開催するかたちも模索していきたい」とのこと。ちなみに、名古屋開催は実現に向けてかなり検討している模様。

 監修を担当した高橋敏也氏からは、「まじめな範囲でどこまで面白い問題を作れるのか今後も挑戦したい、新しいタイプの問題も増やしていきたい」、「監修から外れたとしても、受験者と制作者がともに高めあうかたちであるとか、身内で固まらず初心者が参加しやすい環境を作るとか、そういったことの進言はしていきたい」と意欲的な話も聞けました。

 試験結果に関しては、1ヶ月程度で受験者に連絡される見込み。前回よりも難易度が上がったため、最高得点や得点分布の変化も気になるところです。筆者は高得点を望めない出来でしたが(苦笑)、一受験者として結果発表を楽しみに待ちたいと思います。


□パソコン自作力検定
http://www.pajiken.com/

□関連記事
【2012年1月31日】「パソコン自作力検定」を受験してみた
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20120204/etc_earena.html
【2012年6月23日】【PC-DIY EXPOレポート】パソコン自作力検定編
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/hotline/20120623/etc_unitcomev6.html


[撮影協力:イーアリーナ株式会社]

※特記無き価格データは税込み価格(税率=5%)です。