週刊3Dプリンタニュース

「AutoCAD」が学校向けに無償化、3ds MaxやMayaも

~Solidoodleから399ドルのパーソナル3Dプリンタが登場~

 今回の週刊3Dプリンタニュースは、「AutoCAD」や「Inventor」「3ds Max」などの有力3D CAD/3D CGソフトが教育機関向けに無償ライセンスされるという話題と、Solidoodleが発表した低価格なパーソナル3Dプリンタの話題をお届けしよう。

オートデスクが教育機関向けライセンスを無償提供AutoCADやInventor、Maya、3ds Maxなど

 オートデスク株式会社は、これまで有償で提供してきた、AutoCADやInventor、Maya、3ds Maxなどの教育機関向けライセンスを、8月7日から無償で提供することを発表した。

 オートデスクの3D CADソフトや3D CGソフトは、業務用途で広く使われている高機能なアプリケーションであるが、ライセンスが比較的高価であり、多くの学生を対象とする授業での利用は難しかった。今後、産業界では3Dプリンタの普及に伴い、3Dデータ作成スキルを持った人材の需要が高まることが予想されている.オートデスクは、そうした新しい環境の中で、より良い世の中を創ろうとする次世代の設計者やデザイナーなどの育成を支援するために、最新アプリケーションのライセンスの無償提供を決定したという。

 今回、教育機関向けライセンスが無償提供されるアプリケーションパッケージは、「Autodesk Education Master Suite」と「Autodesk Entertainment Creation Suite」の2つである。前者には、機械設計用3D CAD「Inventor」やBIMアプリケーション「Revit」、汎用2D/3D CAD「AutoCAD」など、製造、建築・土木分野のアプリケーション27種類が含まれており、後者には、3D CGソフト「Maya」や「3ds Max」などのアプリケーション6種類が含まれている。これらをすべて無償で利用できるというのは、3D CADや3D CGなどを学びたい学生にとって非常に嬉しい施策であろう。

 対象となる教育機関は、学校教育法で定められた教育機関や職業訓練法人であり、申し込みはWebサイトから行う。ライセンスの有効期限は、アクティベーションから3年間であり、技術サポートは提供されないが、学生は専用コミュニティ サイト「Autodesk Resource Center」を利用して、海外の学生とオンラインで交流できるほか、コミュニティ内のポイント制度を活用してさらなるスキルとキャリアアップなどの機会を得られる。

 オートデスクは、無料で利用できる「Autodesk 123D」ファミリーの開発など、3D CAD/3D CGソフトの利用者を増やすために、さまざまな努力を行っており、今回の施策もその一環といえる。まさに英断であり、こうした動きが他社にも広がることを期待したい。

Solidoodleがパーソナル3Dプリンタの新製品3機種を発表

コンパクトな低価格モデル「Solidoodle Press」
デュアルノズル仕様の上位モデル「Solidoodle Workbench」
デュアルノズル仕様のコンパクトモデル「Solidoodle Workbench Apprentice」

 Solidoodleは、パーソナル3Dプリンタの開発と販売を手がけているアメリカのベンチャー企業であり、現在はSolidoodleシリーズの第4世代となるパーソナル3Dプリンタ「Solidoodle 4」を主力製品としている。今回Solidoodleは、パーソナル3Dプリンタの新製品として「Solidoodle Press」、「Solidoodle Workbench」、「Solidoodle Workbench Apprentice」の3機種を発表した。

 Solidoodle Pressは、小型冷蔵庫のようなデザインのFDM方式のパーソナル3Dプリンタであり、今回発表された3機種の中では最も低価格な製品だ。本体サイズは、381×391×488mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトだが、最大造形サイズは、203×203×203mm(幅×奥行き×高さ)と比較的大きい。最小積層ピッチは0.1mmで、ヒーテッドベッドを採用。利用できる素材はABS樹脂またはPLA樹脂で、フィラメントの直径は1.75mmである。Solidoodle Pressの価格は399ドルで、パーソナル3Dプリンタの中でもかなり安い部類だ。

 Solidoodle Workbenchは、デュアルノズル仕様の上位モデルで、最大造形サイズが305×305×305mm(幅×奥行き×高さ)と大きいことが特長だ。最小積層ピッチは0.1mmであり、利用できる素材は、Solidoodle Pressと同じだ。Solidoodle Workbenchの価格は1,299ドルで、デュアルノズル仕様かつ最大造形サイズが300mm立方クラスの製品としては破格の安さだ。

 Solidoodle Workbench Apprenticeは、Solidoodle Workbenchを小型化した製品で、最大造形サイズは152×152×203mm(幅×奥行き×高さ)と小さくなっているものの、デュアルノズル仕様であることや、最小積層ピッチが0.1mmであることなど、基本スペックはSolidoodle Workbenchと変わらない。価格は799ドルであり、やはりコストパフォーマンスは高い。

 3機種ともプラットフォームの高さを自動的に調整するSoliTouchテクノロジーが搭載されており、手動でプラットフォームのキャリブレーションを行う必要はない。これらの新製品はすでに予約を開始しており、9月下旬頃から出荷が開始される予定だ。

(石井 英男)