忍者増田のレトロゲーム忍法帖

『ディグダグ』 パソコン版とアーケード版の“差”に増田少年愕然!

~ナムコ『ディグダグ』編 弐ノ巻~

忍者増田氏とファミコン版『ディグダグ』
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 少年時代に地元の喫茶店で『ディグダグ』がプレイできなくなってしまった忍者増田氏。

 でも、当時の彼はパソコン少年でもあったので、今度は持っているパソコンで『ディグダグ』が遊べないかを調べだし、そして……。



今度はパソコンで『ディグダグ』をやりたくなる増田少年当時のパソコンゲーム市場は“似たものゲーム”が氾濫する時代だった

 というわけで、地元の喫茶店では『ディグダグ』が遊べなくなってしまったでござるが、『ドンキーコング』の回でも書いたように、アーケードゲームを家でやるのが1980年代のゲームキッズの夢でしたから、拙者もそのころ持っていたNECのPC-8801mkIIというパソコンで、大好きな『ディグダグ』をモーレツにやりたがっていたわけです。

 当時は良くも悪くも自由というか、のどかな時代で、パソコンソフトにはアーケードゲームを模倣した「似たものゲーム」が氾濫していました。「どう見てもコレ『ディグダグ』だべ」というソフトがいくつも存在し、拙者はどの似たものゲームを買おうかなぁとワクワクしながらゲーム誌を眺めていたのでござる。

正規の『ディグダグ』では地中を掘り進むと“薄壁”が残る(画面はWii用バーチャルコンソール アーケード版)
この“薄壁”が残るかどうかにこだわりがあった増田氏。たしかに『ディグダグ』らしさといえば、この薄壁も外せない要素

 当然、発売しているメーカーによって、似たものゲームの内容はそれぞれ違っているわけですが、選択の基準として拙者がこだわっていたポイントが、「地中を掘り進んだときに“薄壁”が残るかどうか」でした。

 これは、次々回に説明する「いんけん撃ち」というテクニックにも関わってくる重要な要素なんだけど、当時はそんなことはまったく気にしていませんでした。ただの「美意識」でござるな。

 とはいえ、スプライトがない機種がほとんどだったから、薄壁を残すには、キャラの移動後に再度わざわざ描かなきゃならなかったはずなんだけど。なーんていかにもわかったような講釈をたれましたが、これは某ゲームメーカーでプログラマーをしている友人の発言を借りてます。てへへ。

似たものゲームが氾濫する中、パソコンにも正規の『ディグダグ』が登場増田少年は迷うことなく購入したのだが……

 そんなことを考えているうちに、電波新聞社から、なんとナムコのライセンスを得た正規の『ディグダグ』が発売されたのでござる! パソコン雑誌に掲載されたゲームの画面写真を見ると、穴を掘ったときにちゃんと薄壁も残っているし、他の似たものゲームに比べてグラフィックもかなり綺麗。迷うことなく拙者はこの正規『ディグダグ』を購入することとなりました。そして喜び勇んでプレイしてみると……。

 アーケード版とのあまりの落差に、拙者はがっくりと肩を落とすことになったのでした。まあ、よく考えれば当然のこと。当時のパソコンの性能から考えても、アーケードゲームに対抗などできるわけがないのです。でも、中学生の拙者はそんなハード面の諸事情など理解していません。『ディグダグ』への思い入れが強かった分、大きなショックだけを受けたのでござる。

 拙者にとってパソコン版の『ディグダグ』は、パソコンゲームとアーケードゲームの差を思い知らされた、哀しい思い出のゲームとなってしまったのでござるよ。

ようやく本物の『ディグダグ』がプレイ可能に!しかしその時はすでに懐ゲー扱いのタイトルに……

 その後、ファミコンや、拙者の2台目のパソコンであるシャープ X68000用にも『ディグダグ』が登場し、拙者は双方をプレイしました。ファミコン版は親戚の家でプレイして、カセットも借りたことはあったと思いますが、熱中した記憶がありません。実は今回、久しぶりにファミコン版をプレイして、その理由を思い出しました。これは次回説明しますね。

 一方、X68000版はアーケード版に忠実な内容で、移植度は完璧。しかも、続編の『ディグダグII』とのカップリングというおいしさでした。ここで拙者は、ようやく本物の『ディグダグ』を家でプレイできるようになったと言っていいでござろう。

 しかし、その時はすでに1995年。拙者はハタチに到達していたし、もう懐ゲーとしての登場なのでした。よって、さすがに当時のように夢中になってプレイするということはなかったけど、子供のころにはお金も余裕もなくてできなかった、「高得点を狙うプレイ」に挑戦して楽しんだりはしていたでござるよ。

取ると高得点を得られるベジタブルターゲット。岩を2つ落とすと出現し、全部で11種類存在する。
岩でまとめて敵を潰すと高得点が得られる。これは4匹潰して6,000点を獲得している様子(ファミコン版をプレイ中の一幕)

 パソコンで『ディグダグ』を満足して遊べるようになった時には、既にオトナになっていた忍者増田氏。次回、そんな思い出たっぷりの『ディグダグ』を久しぶりにプレイする。その腕前は今も健在なのか!?

 ※次回掲載は、12月6日(火)の予定です。

 ※本日21:00から忍者増田氏出演の生放送「忍者増田のレトロゲーム忍法帳:生動画絵巻」を放送予定。 生放送は終了しました。

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注釈

  1. NEC PC-8801mkII
    1983年にNECより発売されたパソコン。フロッピーディスクドライブが2つ内蔵でき、また、漢字ROMが標準搭載。キャッチフレーズは「大人のパソコン」。当時、一番上のモデルで25万円を超えていた高級品。
  2. 似たものゲーム
    色々とグレーな部分だが、昔は海賊版だったり模倣した作品が色々と出回っていた。人気ゲームの宿命といっていいのかもしれない。
  3. スプライト
    炭酸飲料ではなく、画像合成技術のこと。キャラクターなどを表示するために使われる。アーケードゲームやファミコンなどのゲーム機で使われていたが、当時はスプライト機能のないパソコンがほとんどだった。
  4. 電波新聞社
    「電波新聞社といえばベーマガとナムコ系のアーケードゲームのPC移植だろ」という人、きっと同年代のはず。『ディグダグ』も多分に漏れずPCに移植されました。
  5. シャープ X68000
    シャープより発売されたパソコン。初代は1987年登場。同時表示枚数が128枚という強力なスプライト機能は、ゲーマー憧れのアーケードゲーム移植にも力を発揮した。
  6. 高得点を狙うプレイ
    『ディグダグ』での高得点プレイは、岩石落としによる複数モンスター退治+ベジタブルターゲットを確実にゲットする必要があるので、ゲームオーバーしやすいのだ。

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

増田厚(ペンネーム:忍者増田)

 茨城県生まれ。漫画『ゲームセンターあらし』や『マイコン電児ラン』の影響を受け、中学2年生のときにパソコンをいじり始める。東京の大学入学と同時に、パソコンゲーム誌『ログイン』にバイトとして採用され、6年間在籍。忍者装束を着て誌面に出る編集者として認知度が高まる。その後、家庭用ゲーム雑誌『週刊ファミ通』に3年在籍したあと、フリーライターとなる。現在はおもに、雑誌やWeb、攻略本などでゲームのレビュー記事や攻略記事を執筆しつつ、ゲーム以外のライティングも。得意なゲームは、『ポケモン』、『ウィザードリィ』、『サカつく』など。