ボクたちが愛した、想い出のパソコン・マイコンたち

当時大ヒットしたエプソンのハンドヘルドコンピュータ「HC-20」

持ち運べるタイプなので、全体的にコンパクトにまとまっています。重量は1.6kgで、見た目よりはずっしりとした感じが。上部左にはプリンタ、右にはマイクロカセットドライブがあります。

 想い出のレトロパソコンやゲームを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げるのは、エプソンが1982年に発売したハンドヘルドコンピュータ「HC-20」です。

 1981年にはPC-6001やPC-8801、1982年にFM-7やMZ-2000、PC-9801、X1などが発売されていましたが、そんななかで彗星の如く登場したのが、エプソンの世界初A4サイズ・ハンドヘルドコンピュータ「HC-20」です。

この当時、エプソンはHC-20の広告を積極的にうっていました。これは、1982年に発売されたログイン誌に掲載されたものですが、プログラムリストが掲載されているのがユニークです。

 1982年当時に、驚くべきことにA4サイズという大きさかつ1.6kgという重さに、パソコンに要求されるスペックを凝縮。それでいてニッケルカドミウム電池を内蔵し、約50時間もコードレスで使用できたという、もの凄い機種でした。現代のモバイルPCの先駆けとも言えるハードで、メーカー資料によると1モデルで25万台もの販売台数を記録したそうです。

ミニサイズの液晶ディスプレイを搭載。メモリは16KBを搭載していますので、それなりのプログラムを組むことができます。グラフィックも使えますが、センスが必要かもしれません。

 プリンタと、マイクロカセットテープが使用できるデータレコーダを内蔵し、ミニサイズの液晶ディスプレイを搭載していたことで、どんな場面でもパソコンを使うことができるという、当時としては夢のようなマシンでした。ただし、その用途のほとんどがビジネス向けだったこともあり、当時のパソコン少年・少女たちの心をつかむまでには至りませんでした。何より、20文字×4行のモノクロ液晶ディスプレイでは表現力が今ひとつで、人気の市販ゲームがあまり移植・発売されなかったことも大きかったかと思います。

本体右側面には、電源スイッチと液晶の濃淡調整ボリューム、マイクロカセット取り出しスライドのほか、通常のデータレコーダを接続するための各種ポートが用意されています。また、リセットボタンも右側面に付いています。
本体左側面には、拡張スロットと思われるものが見えます。残念ながら、ここへ接続するハードが手元にないため、どのようなものかの確認ができませんでした。$$
背面にあるのは、本体右上の増設部分を取り外すスライド、ACアダプタ接続口、RS-232Cポート、シリアルポートとなっています。

 搭載言語はマイクロソフト社の拡張BASICなので、マイコンBASICマガジン誌に掲載されているような簡単なプログラムであれば、他機種からの移植はそれほど難しくないでしょう。

 なお、翌83年にはNECからハンドヘルドコンピュータ「PC-8201」が発売されていますが、これがHC-20を意識して作られたのかどうかは、今のところはっきりしていません。

コスモス明石がゲームソフトを何本か発売していたというのが分かる広告です。専門誌である「Oh!HC」も創刊されるなど、一時期はかなり盛り上がりました。