ボクたちが愛した、想い出のパソコン・マイコンたち

総天然ショックに大勢がショックを受けた、4096色同時表示を実現したAVマシン「FM77AV」

渋いダークグレーのボディカラーは格好良く、この当時の憧れのマシンの1つでした。FM-77シリーズに引き続き、FDDは3.5インチを内蔵しています。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げるのは、富士通が1985年に発売した“天然色パソコン”、FM77AVを取り上げます。

 1985年といえば、NECの大ヒットパソコンであるPC-8801mkIISRが発売された年ですが、同じ85年に市場デビューしているのが、富士通が“オーディオ・ヴィジュアル・コンピュータ”“天然色パソコン”と謳ったFM77AVです。ちなみに、FM-77AVなどと表記すると、どこからともなく間違いを指摘されるので注意が必要です(笑)。

FM77AVの広告では、イメージキャラクターが採用されていませんでした。そのため、キャッチコピーと機能紹介がメインになっています

 驚くべきは、なんと言っても85年の時点で4096色同時発色を実現していたことでしょう。同じ年にデビューしたパソコンと比べてみても、FM77AVの半年ほど前に発売されたFM-77L2は、640×200ドットで8色表示でした。85年初頭に登場したPC-8801mkIISRも、640×200ドットで8色表示です。それに対しFM77AVは320×200ドットとはいえ4096色が同時発色できるというのはショックであり、そしてロマンがありました。広告でもそのことを大きく謳い、キャッチコピーに「総、天、然、ショック。」を採用。“AVC”=オーディオ・ヴィジュアル・コンピュータと銘打ち、天然色パソコンとして市場に打って出ています。

黒のボディが渋さを演出しています。正面には左から順にキーボードコネクタ、音量バランスつまみ、高速/低速モード切替スイッチ、BASIC/DOSモード切替スイッチ、赤外線ポート、リセットボタン、ジョイスティックポート×2が用意されていて、使い勝手に優れていました。それらの上部には、AV-2モデルなので3.5インチ2Dドライブ×2が搭載されています。なお右が0ドライブ、左が1ドライブとなっています
本体背面には左から、電源コネクタ・サービスコンセント、音声出力ポート、カセット端子、RGB端子、I/O拡張バス、プリンタポート、その上にRGBマルチ端子が設置されています。カセット端子は、よくあるDIN8ピンではなくミニDIN5ピンなので注意が必要です

 AVマシンと言うことでFM音源を標準実装したほか、AV機能を大幅にパワーアップしたF-BASICV3.3を搭載。広告では、320×200ドット4096色1画面の他、640×200ドット8色2画面という2つのモードをサポートしていると謳われています。そして内蔵FM音源だけでなく、MIDIインタフェースもサポートする「高度なAV BASIC」(広告より)と宣伝されました。メインメモリは128KBを積み、FDDも3.5インチ2Dタイプを内蔵。有線だけでなく、赤外線でも接続可能なワイヤレスキーボードを同梱し、それでいて価格が1ドライブモデルで128,000円、2ドライブモデルでも158,000円と、当時としてもかなり戦略的な値付けをしていました。

キーボードはワイヤード/ワイヤレスどちらでも接続することができ、しかもnキーロールオーバーにも対応している優れものでした。ワイヤードで接続する場合は電話の受話器と繋ぐものと同じ、4ピンのモジューラジャックを使用します。ワイヤレス接続をするには、キーボードに電池を入れる必要があります
筐体のカバーを外すと、拡張ボードを接続する場所が用意されているのがわかります

 この当時、移植されFM77AV専用ソフトとして雑誌などで取り上げられた「ルクソール」や「レイドック」そして「シルフィード」といったタイトルを見るたびに、羨ましさを覚えたのを思い出します。価格とスペックのバランスが取れていた良ハードでしたが、最終的にはPC-8801mkIISRシリーズの牙城を崩すことは出来ませんでした。