ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

X1シリーズで初となる5インチFDDを搭載した「X1F」

今回取り上げたX1FはModel 10なので、高速電磁メカカセットデータレコーダ内蔵モデルとなっています

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げるのは、シャープが1985年に発売したパソコン「X1F」です。

 1985年頭に登場したNECのPC-8801mkIISRでパソコン業界が盛り上がる中、シャープが夏に発売したノーマルX1シリーズの新機種がX1Fです。前年にX1turboが発売されていたので、ノーマルX1シリーズはどうなる? とやきもきした人もいたのではなかったでしょうか。

NEW BASICによりグラフィックの描画速度が速くなったことをイメージしてか、フォーミュラカーを背景に配置している広告を掲載していました

 用意されたのは、高速電磁メカカセットデータレコーダ内蔵のModel 10と、5インチFDDを1基搭載したModel 20の2種類です。価格は、Model 10が89,800円でModel 20が139,800円でした。同じ年に発売されている、FDD1基搭載のPC-8801mkIISR model20が213,000円だったことを考えると、機能的な差はともかく、かなりの割安感があったかと思います。

 また、ノーマルX1シリーズ初のFDD搭載モデルだったX1Dは3インチFDDを採用していましたが、X1FのModel 20では5インチFDDを内蔵したのも特徴と言えるでしょう。この時点では、ディスクドライブ2基のModel 30はラインアップには無く、当時は不思議に思ったものです。

正面左側に、高速電磁メカカセットデータレコーダが配置されています。マニアタイプでは左側に余白部分がありましたが、X1Fでは左にあるのはシャープとX1のロゴのみです。本体下部には、デザインとして水平のラインが彫られています
本体背面は左から、電源スイッチ、RGB端子、テレビコントロール端子、プリンタポート、音声出力ポート、ジョイスティック端子、キーボード端子となります。これらの上に、拡張I/Oスロットが用意されています。キーボード端子は、正面左側面にもあります

 カラーリングはローズレッドとオフィスグレーの2種類で、キーボードが新たに薄いモデルへと変更されました。さらに、X1turboと同じIPLリセットが搭載され、Model 20には第一水準漢字ROMも内蔵されています。添付されたのは、X1turbo開発時のノウハウをフィードバックして作られたNEW BASIC(CZ-8CB01/8FB01 V2.0)でした。従来と比べてグラフィックの描画速度が大幅に向上したことと、漢字が扱いやすくなったのが特筆すべき点です。

大きさはマニアタイプとほぼ同じですが、内部はメイン基板の縮小化などでスッキリとしています。マニアタイプではアクセスするのに苦労したデッキ部分ですが、X1Fではガワを外すだけでベルトの状態確認が可能になりました

 本体と同時に、“その日から楽しめるソフトパック”として「The YOKOZUNA」が同時発売されています。カセットテープ版、5インチFD版の2種類が用意されていましたが、ディスク版には「デゼニランド」「サンダーフォース」が収録されており、テープ版より豪華な印象がありました。

 特にスペック的な機能アップはありませんでしたが、パワーアップしたNEW BASICが添付されていたことにくわえ、それまでの豊富なソフトを使えると言うことが便利な1台だったのは間違いないでしょう。