ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

NECが発売したハンドヘルド・パーソナル・コンピュータ「PC-8201」

手前が薄く、奥へ行くに従って厚みが出てくるデザインを採用しています。思っているよりは入力しやすく、当時であれば問題無いレベルだったと思います。パームレストを用意すれば、なお快適になりそうです

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げるのは、NECが1983年に発売したハンドヘルドパソコン「PC-8201」です。

ほぼ同時期に発売されたPC-8001mkIIとセットで広告に掲載されることが多かったです。隣に掲載されているPC-8001mkIIが123,000円でしたが、果たしてPC-8201の標準価格138,000は高かったのか、安かったのか……。

 1980年代前半、エプソンのHC-20が大ヒットしたことを受けて、いくつかのハンドヘルドコンピュータが世に登場しました。NECもその流れに乗り、市場へと送り出したのがハンドヘルド・パーソナル・コンピュータのPC-8201です。

大きな液晶画面と、その右下にあるカーソルキー、押したときの感触が“カチカチ”という手応えのSTOPキーとファンクションキーが特徴です。リターンキーが小さい以外は、かなり入力しやすいキータッチです。

 PC-8000の型番が付いていることからもわかるように、搭載しているN82-BASICは、N-BASICやN88-BASICとの互換性が考慮された作りになっています。ボディカラーはアイボリーホワイト・ワインレッド・メタリックの3色が用意されていましたが、ビジネスで使うにはワインレッドは少々攻めすぎなカラーリングに見えました(笑)。

背面は左から、ACアダプタコネクタ、プロテクトスイッチ、リセットボタン、FDD接続ポート、電話線接続ポート、9ピンバーコードリーダポート、プリンタポート、RS-232Cポート、CMTポートとなっています。なお、バーコードリーダインタフェースは、HP社仕様を採用していました。
本体底面には、バックアップパワースイッチと、左へスライドさせることで交換できる電池パックのほか、下部のネジを外すと増設用RAM/ROMスロットが現れます。

 単3乾電池を4本、またはニッカド電池パックを利用すれば最大で18時間、AC電源のない場所でも使用することができたというのは、今と比べてマシンパワーが非力だったとはいえ、なかなかの駆動時間だったと言えるでしょう。ただし、ニッカド電池パックは当時の価格で35,000円と、なかなかのお値段でした。

本体右側面には、電源スイッチと液晶のコントラストを調整するボリュームがあります
本体左側には、システムスロットと呼ばれる部分が設けられていました。ここへはROMまたはRAMカートリッジを挿入できるほか、CRTアダプタや外部拡張用インタフェースなども接続が可能です

 画面は40桁×8行で、ドット数は240×64ドット。カセットインタフェース部分は600ボーでN-BASICフォーマットを採用していたため、あらかじめPC-8001でプログラムを入力してからPC-8201へ持ち込む、ということも可能でした。もっとも、当時としてはPC-8201を使い外で簡易開発→出来たものをカセットテープや内蔵ソフトのTELECOMを使用してPC-8801などに送る、という使い方が想定されていたと思います。

 当時としてはビジネスが主要な用途だったため、ゲームソフトは数本しか発売されていません。そのうちの1本「アストロウォーカー」は、「Wizard88」「マリオブラザーズ」などをリリースしていたWESTSIDE SOFTHOUSEから登場したアクションでした。