ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
5インチ2HDドライブを搭載し、PC-88シリーズに新たな流れを作った「NEC PC-8801mkIIMR」
2018年8月6日 06:05
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げるのは、NECが1985年にPC-8801mkIIFRと同じタイミングで発売した機種、PC-8801mkIIMRです。
1985年末に、PC-8801mkIISR(以下、SR)の廉価版とも言えるPC-8801mkIIFR(同FR)が登場しましたが、それと同じタイミングで市場デビューしたハードが、このPC-8801mkIIMR(同MR)です。
当時の宣伝文を見ると「8ビットの頂点に立つPC-8801mkIIMRは~(中略)~メインメモリも192Kバイトと群を抜く記憶容量を実現~(後略)」と書かれており、NECがかなりの自信を持って市場へと送り込んだのが良く分かります。実際、搭載していたドライブはSRやFRが320Kバイトタイプ5インチFDDだったところ、MRは1Mバイトタイプ5インチFDDを2台内蔵。しかも、FRがFDD無しで99,800円という安価なmodel 10からFDD2基搭載のmodel 30までを用意していたのに対し、MRはFDD2基搭載の1モデルのみ。本体標準価格も、FRのmodel 30から6万円上乗せとなる238,000円というワンランク上を設定していました。
趣味で使うユーザーを対象としていたFRに対し、MRはデータベースや日本語ワードプロセッサを使用するようなビジネス寄りのユーザーを想定していたということなのでしょう。当時としては大容量だったメモリを有効に活かすゲームもいくつか登場し、そのようなタイトルであればMRユーザーはSRやFR、またはTRユーザーと比べてディスクアクセスの少ない、快適な環境で遊ぶこともできました。
しかし、実際はSR以降対応ソフトを安く遊べるFRが数多く出回り、MRはそのパワフルさを活かす機会があまりありませんでした。また、1Mバイトタイプの5インチFDDで書き込みをしてしまったフロッピーディスクは、後にSRやFRで読み込むことができなくなってしまうことなども希に起きていたため、ゲームをメインとしていたユーザーからは敬遠されてしまったのかもしれません。
本機以降、PC-8801シリーズは1Mバイトタイプ5インチFDDを搭載した“M”シリーズと、従来通りに320Kバイトタイプ5インチFDDを内蔵した“F”シリーズに分かれていきます。また、型番としてPC-8801の後に“mkII”が付く、最後のモデルでもありました。