ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

イギリス生まれの手のひらに乗るコンピュータが日本上陸! シンクレア「ZX81」

非常にコンパクトで、大きさは手のひらに乗るサイズです。重量も、わずか400g弱しかありません。この中にパソコンの基本機能が詰まっていたことは、当時としては凄いことでした

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、「マイコンBASICマガジン」などに広告が掲載されていた、シンクレア社のZX81を取り上げました。

本体は、下半分がキーボードとなっています。各キーには複数の役割が与えられていて、慣れればそれなりの早さで入力ができました。比較対象として3.5インチフロッピーディスクを配置しましたが、本体の小ささに比してACアダプタの大きさが分かると思います。ACアダプタは、持つとズッシリした重さを感じます

 1980年代前半、日本国内で流通していた海外メーカーのパソコンとしてはAppleやコモドール、ATARI、Amigaなどがありましたが、その中でもイギリスからやってきたパソコンが、ここで取り上げたシンクレア社のZX81です。

 日本国内では三井物産が総代理店となり販売していましたが、マイコン・パソコン売り場だけでなく大型書店でも売っていたのが特徴でしょう。当初、広告にあるように38,700円の価格づけがなされていましたが、1982年12月1日から翌83年の2月28日までは特別価格29,800円で購入することができました。後に、この値段が標準価格となっています。

 1982年後半から84年にかけて「マイコンBASICマガジン」などに広告を掲載していたので、名前だけなら知っているという人も多いかと思います。また、全国の三省堂書店や一部の旭屋書店、ジュンク堂などでも取り扱いがあったため、本屋さんに行ったついでに触った、という体験を持つ方もいるかもしれません。

左側が1982年12月の広告で、価格が37,800円となっています。右が83年9月のバージョンで“海外からZX81用のソフトが続々入荷”とありますが、価格が気になるところです

 当時の広告によるとCPUにZ80Aを採用しており、ROMは8kbytesを搭載と書かれています。驚くべきはRAM容量で、標準では1kbyteのみでした。雑に説明するのであれば、この時代によくあった横40文字×縦25行のテキスト画面一杯にプログラムを書くと、それでメモリが埋まってしまうということになります。実際は画面表示や変数などでメモリを喰うために、もっと少ない量になりますが……。それを解消するために、本体背面のエッジコネクタに挿し込む16K RAMパックが19,800円で販売されていました。

背面には、拡張端子であるエッジコネクタが用意されています。16K RAMパックなどの各種アドオンは、ここに挿して使用します
本体左側面にはTV出力ポート、EAR(音声出力)、MIC(音声入力)、9V DC電源ポートの4つが配置されています

 専用モニタではなく家庭用テレビに接続しモノクロで表示が出来たこと、データ保存も一般的なカセットテープレコーダを使用、BASICも内蔵していたため、安価にマイコンを入手したいという人にはピッタリのハードだったといえるでしょう。それなりの台数が出荷されたそうですが、国内のソフトハウスからゲーム関連のソフトが発売されたという話は、当時は聞きませんでした。

 その後、ナショナルが価格とスペックが近いJR-100を市場へと投入したことなどの影響を受けてか、ZX81は国内からは姿を消してしまうことになります。