ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

ターボな走りが始まった「X1turbo」

今回紹介するのはシャープ X1の完全上位互換機種となる「X1turbo」です

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、シャープが1984年に発売した機種、X1turboとなります。

Model 10(写真上)とModel 30(写真下)を重ねてみました。キーボードはturbo用が見あたらなかったので、同じ薄型のX1F用を配置して撮影しています
両者の正面の様子です。カセットとFDDの違いはもちろんですが、電源ボタンの位置も若干ずれています。またModel 30では“X1turbo”のロゴが1段なのに対し、Model 10はスペースの都合で2段になっているのも異なる部分です

 1984年が残り2ヶ月になろうとしていた9月27日、東京・九段のグランドパレスで発表されたハードが、X1の完全上位互換機種となるX1turboです。

 その特徴は、なんと言っても完全上位コンパチということでしょう。当時のOh!MZに掲載された記事からの引用ですが「98と88や88と8001との互換性を考えてください。77と11、400ラインモードにおける77と7の、あるいは5500と2200のケースを調べてください。Apple IIeとIIcの互換性を比較してください。X1turboは完全にX1の上位でありながら、完全にX1とコンパチなのです」という文章の興奮度からも分かるように、画期的な機能でした。

X1turbo発売時の広告といえば、この「ターボな走りが始まった!」が記憶に残っている人も多いかと思われます。本機の早さを印象づけるには、まさにうってつけのキャッチコピーだったと思います

 他にも、増加したメモリや新たに搭載した640×400ドットで8色が表示できるグラフィックモード、その400ライン表示に対応した24khzモードが追加された新ディスプレイ、切り替えスイッチを備えたキーボードなど、書き切れないほど数々のパワーアップを果たしていました。

 用意されたモデルは、FDDを搭載しないModel 10が11月発売だったほかは、Model 20とModel 30が10月25日に発売となっていました。価格は、Model 10が168,000円、FDD1基搭載のModel 20で248,000円、FDD2基搭載のModel 30が278,000円という設定で、当時のPC-8801mkIIのmodel 10~30に対抗した値付けとなっていたようです。ちなみに、PC-8801mkIIのmodel 10は168,000円、model 20は225,000円、model30が275,000円ということで、価格帯はほぼ同じながらスペックはX1turboの方が上でした。

背面は、Model 30で見ていきます。左から電源スイッチ、RGB端子、TVコントロール端子、CMT端子、ビデオアウト端子、RS-232Cコネクタ、ディップスイッチ、プリンタポート、オーディオアウト端子、マウス端子、ジョイスティック端子、キーボードコネクタです。中段には外部フロッピーディスク端子と、その上にはテロッパの端子やつまみが並んでいます。それらの横にはI/Oスロットがあるのも分かります。
ガワを取り外した状態がこちらになります。左がModel 10で、右がModel 30です。Model 10は内部がシンプルなので、カセット部分を修理するときの分解で苦労しないのがありがたいです

 なお、この当時まだ多かったカセットテープで供給されるソフトに対しては、外付けデータレコーダCZ-8RL1を専用コードで接続することで内蔵CPUの80C49が働き、インテリジェントデータレコーダとして機能。X1やX1Cシリーズなどと同じく挙動させることが可能になっています。この後、ソフトも徐々にturbo専用タイトルが増えていきますが、その影でX1シリーズも87年に登場するX1twinまで、約5年間にわたり発売されていきます。