ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

X1誕生から5年という節目に登場したシリーズ最後の機種「X1twin」

外観デザインは、X1Gに近いシルエットとなっています。なお、今回撮影したモデルは2ドライブ目が増設されています

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、シャープから1987年に発売された「X1twin」を取り上げます。

 1982年に、後にマニアタイプと呼ばれる初代X1が発売されてから5年。広告に「これがX1誕生5年目の解答です」とのキャッチコピーと共に登場したのが、“X1”シリーズとしては最後の機種となったX1twinです。

ベースは1ドライブモデルですが、CZ-53F(19,800円)を増設することで、本機のような2ドライブ仕様へと変更できます。正面は右上から電源スイッチ、X1/HEシステム切換ボタン、NMIリセットボタン、IPLリセットボタン、ボリュームつまみ、SYNC.MODE切換、パッド接続端子、ジョイスティックポート×2、キーボード接続端子となっています
背面は上からデジタルRGB出力端子、テレビコントロール端子、ビデオ出力端子、ライン出力端子、プリンタポート、その右に拡張I/Oスロットとなっています

 それまであったカセットデッキ内蔵モデルは姿を消し、ついにディスクモデルのみのラインアップとなったX1twinは、“twin”の名前通り“X1”と“HEシステム”という2つの機能を内包し、「ニューエンターテイメントマシン、登場。」と銘打って市場に投入されました。設置方法も縦型専用となったことで、筐体に記された文字がすべて縦置きした時に読めるように配置されています。

広告ではページの半分でX1としての機能を、もう半分でHEシステムの機能解説を行っていました

 本体前面下にはエンボス加工された“X1twin”の文字が刻まれていて、さらにキーボードは“X1twin”のロゴが金文字でプリントされている、まさにX1twin専用ともいえるバージョンが同梱されていました。もちろん従来機種との互換性もありますので、そちらに接続して使うことも可能です。CMT端子が存在しないなどの残念な部分はありましたが、それでも1ドライブで遊べるゲームも多かったため、99,800円という値段を考えれば悪くない構成だったのかもしれません。

キーボードの左下には、X1twinの文字が光り輝く金色でプリントされています。似たような時期に発売されたX1turboZIIのキーボードも、同じく金色でX1turboZとプリントされていました

 X1twinはHEシステムとX1、両方を稼働させればスーパーインポーズを楽しむこともできました。ただし、PCエンジンが発売されたばかりと言うこともあり、この時点でのゲームソフトは『THE 功夫』『上海』『ビックリマンワールド』の3本しかリリースされていなかったそうです。そのため、当時のOh!Xでは「HEシステムがメジャーとなるかどうかは別として、今後もしHEシステム用に非常に面白いゲームが1本でも発売されれば拾いもの、まあ持っておいて損はありません(R-TYPEが出るそうだし)。」と記載されるなど、まだまだHEシステムに対して懐疑的だったことがうかがえます。

 “X1”シリーズは、このX1twinをもって幕を閉じることになりますが、基本設計を5年間は変えないという仕様は、X68000シリーズでも踏襲されることとなります。ちなみに、X1twinリリースの1ヶ月前となる11月には、X1turboZIIが発売されていました。