ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
データレコーダを内蔵したシリーズ新機種「日立 H2」
2019年8月14日 07:05
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は日立のMSX「H」シリーズのうち、データレコーダを内蔵した2代目の「H2」を取り上げます。発売は1984年。
1983年から市場に流通し始めたMSX規格のパソコンは、1984年になると各社それぞれ特長を出したモデルを発売してきます。そんな中、1984年の終わりが見えた時期に日立から登場したのが、今回取り上げたH2です。
日立初のMSXとなったH1と比べて電源ユニットが一体化されたほか、データレコーダを内蔵。H1では32KBだったメモリも倍の64KBを搭載し、さらにはMSX1としては珍しくRGB出力端子も備えているのが特長です。
データレコーダを内蔵したことで、相性に悩まされることなくテープソフトをロード出来るようになっています。倍速には対応していないものの、当時としては高級なテープ機構を備えており、安定した読み書きが可能というのは大きなメリットでした。データレコーダのボタンも、この時期に当たり前だった物理的に押下するモデルではなく、軽くタッチするだけで反応するスイッチを採用していました。
くわえて録音入力端子と録音調整ボリューム、出力レベルを調節出来るスライドが付いたヘッドフォン出力端子を用意しているのもポイントでしょう。カーソルキーも初代H1とは違い、扱いやすい十字に並んでいます。H1も、後期モデルではカーソルキーの配置が十字に変わったので、それを踏襲したと言えます。手前側にはH1と同じくキャリングハンドルが付いていますが、本体の重量は約4kg弱。持つとズッシリとした重さを感じるので、家庭内で持ち歩くには利用するものの、H1の広告のように外へ持ち出すにはキャリングハンドルがあっても厳しかったと思われます。
H1では電源投入時、カートリッジスロットに何も挿さっていなければ、起動画面と共に「BASIC」「モニタ」「ROM」「スケッチ」「サウンド」を選ぶようになっていましたが、H2では「BASIC」「スケッチ」「サウンド」「カセット」「モニタ」に変わっています。カセットオペレーション画面からは、テープのデータを読み込むことも出来ました。それらの画面はBASICから呼び出すことも可能で、当時は実行時にちょっとした未来を感じたものです。
アクションゲームやシューティングゲームを攻略するには便利なスピードコントロールボタンも搭載していて、押す回数でノーマル・スロー1・スロー2と設定を変更出来ました。これで連射装置も装備していれば、ゲーム目的としてはかなり完璧だったのではないでしょうか。
機能がてんこ盛りだったためか、当時の本体価格は79,800円と、セパレート型ではないMSX1としては高い部類に位置していたかと思われます。本機に1万円プラスすると、MZ-1500やPC-6001mkIISRが購入出来てしまうため、悩んだ人も多かったのではないでしょうか?