ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
ミュージックキーボードと繋がる異色のMSX「ヤマハ CX5F」
2019年9月30日 08:10
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、ヤマハが1984年発売したMSXパソコンの一つ、ミュージックコンピュータ「CX5F」を取り上げました。
1980年代初頭、ヤマハは自社オリジナルブランドのパソコンとして、YISというホームコンピュータを発売していました。木目調の家具に収まって撮影されているそのハードは、スペックは高かったものの価格は50万円以上もしたため、趣味目的としては盛り上がることなく終わってしまいます。
その後、MSXパソコンへと参入したヤマハは、いくつものハードを発売していきますが、そのうちの一つが今回取り上げたCX5Fです。他にも類似機種としてCX5やYIS503、YIS303がありますが、YISシリーズが家電量販店を中心に販売されていたのに対し、CXシリーズはヤマハのシンセサイザ「DX7」などにカラーリングを合わせ、楽器の一種と位置づけて楽器店を中心に販売されていたモデルです。
ヤマハのMSXの特長としては、他はビクターのMSXにしかない“サイドスロット”が挙げられるでしょう。ここに拡張ユニットを挿すことで、さまざまなパワーアップが可能です。今回取り上げたCX5Fの場合は、サイドスロットにFM Sound Synthesizer UnitであるSFG-01を装着して販売されていました。
MSXは規格上、本体に搭載されているのは俗に言うPSG音源ですが、CX5FではそれにくわえてFM音源をも使うことができました。SFG-01に採用されていたのはYM2151と呼ばれるチップで、後にX1turboZシリーズやX68000シリーズでも使われています。更にSFG-01には、入出力のMIDIインタフェース、オーディオステレオ出力、専用キーボードインタフェースも取り揃えられていて、ここへミュージックキーボードなどを接続することができました。
MSXとしてはメモリ32KBでスロットが1つと、この時代としては標準的なモデルだったといえるでしょう。ただし、背面にもう1つスロット(リアスロット)が用意されていて、ここへオプションのシングルカートリッジアダプタCA-01を装着することで、ROMカートリッジスロットとして機能させることができます。後々の事を考えるとシングルカートリッジアダプタは持っていたい周辺機器ですが、標準小売価格が3,800円だったため「この値段なら新しいソフトが1本買える」と思い、ソフトを買ってしまった人もいたのではないでしょうか。
映像出力端子は他のMSXと違い、DIN5ピンが採用されています。そのため、このままではコンポジット入力やRGB入力端子に接続することもままなりません。変換コネクタのVC-01またはRF-01などが必要となりますが、背面のピンアサインがヤマハのホームページからダウンロードできるCX5Fのマニュアルに掲載されていますので、それを見て自作変換コネクタを作ってしまうのも一つの手かもしれません。