ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
簡易表言語“CETL”にも対応したカシオのハンドヘルドコンピュータ「FP-200」
2019年9月12日 06:00
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、カシオが1983年に発売したハンドヘルドコンピュータ「FP-200」を取り上げました。
1983年前後は、各社共にハンドヘルドコンピュータを発売していた時期でしたが、その戦争に参加したカシオがリリースしたのが、FPシリーズの冠を付けたパソコンであるFP-200です。大きさはA4サイズで、当時のサラリーマンが持ち運ぶアタッシュケースにスッポリと収まる大きさでした。
CPUには8085互換品(3MHz)を搭載し、メモリは8KBを内蔵(最大で32KBまで増設可)。搭載するディスプレイは20桁×8行と大型で、視認性は良好です。160×64ドットあり、BASICから制御してグラフィックを描くことも可能です。この解像度は、ハンドヘルドコンピュータのHC-20よりも表示領域が広かった(20桁×4行)ものの、PC-8201の40桁×8行ほどではなく微妙という話も……。ただし、フォントは見やすく、グラフィック文字も判別が容易です。
本体は単3乾電池×4本で駆動し、バッテリの持ちは10時間以上。さらに単3乾電池を2本追加すれば、メモリバックアップも行えます。電源オフ時の画面状態は再現されませんが、電池さえ問題無ければ電源オンですぐに作業の続きが再開できるのは、当時としては有難かったかと思います。
ちなみに、グラフィックは1ドット単位での描画が可能なので、グラフィックを使用した“ちょっぴり”リッチなゲームを遊ぶこともできました。テキストとグラフィックがどちらも同じスクリーンに描画されるため、グラフィックを描画後に改行すると、グラフィックも上へとスクロールしてしまいます。
BASICだけでなくマシン語も扱え、さらにはCETL(Casio Easy Table Language)も使用できます。カナキー、CAPSキーを押すとカーソルの形が若干変わるので、LEDが付いていなくてもモード判別は可能でした。この時代のパソコンならば標準搭載していたCMT端子も装備しているので、保存先に通常のデータレコーダが使えるのも便利です。
キーボードもほぼフルサイズなので入力しやすいのですが、他機種では左上に見られるESCキーが見あたらず、代わりに似たような役割を果たすSTOP/CONTボタンが右上に配置されているのは、少々珍しいところかもしれません。なお、キーボードの反応は今ひとつで、BASICコマンドなどを素早く入力するとほぼ取りこぼしが発生するため、余裕を持って打ち込む必要がありました。カセットテープを使用してのセーブロード速度は300ボーで、遅いと言われるNEC系パソコンの半分の速度でしたが、ソフトも何本か発売されていたようです。
カシオのハンドヘルドコンピュータはFP-200のみで終了し、この後はポケットコンピュータへと移行することになります。