ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
低価格MSX2を代表する1機種「ソニー HB-F1」
2020年12月29日 06:05
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、ソニーが1986年に発売した低価格MSX2機種「HB-F1」です。
低価格MSX2マシンとして、ユーザーに多大な影響を与えた機種の1つがパナソニックのFS-A1でした。そのお値段は、驚きの29,800円! しかし、その直後にソニーが市場へと投入したのが、こちらも驚愕の低価格32,800円という値付けがなされたHB-F1です。
スペックはFS-A1と同じく、RAMが64KbytesでVRAMは128Kbytesを搭載。カートリッジスロットも2つ備えています。本体カラーもFS-A1のブラックとレッドモデルに対抗したのかどうか定かではありませんが、黒モデルにくわえて筐体中央部分に赤いパーツが目立つようにはめられた、赤黒のツートンカラーモデルも用意されていました。
値段に関しては、FS-A1より3,000円ほど高い設定となっていましたが、その差を埋めるのが、HB-F1で初めて取り付けられたスピードコントローラーです。広告でも“必勝スピードコントローラー”として「略してスピコン。ゲームの動きを、ゆっくりすることができるんだ。動きを止めるポーズボタンも付いて、裏ワザ探しもお手のもの」と、本機種1番目の特徴として挙げられていました。
FS-A1と同じ特徴として、電源がACアダプタになっているというのもあります。しかも、FS-A1またはFS-A1mkIIのACアダプタと互換性があるので、3機種を1つのACアダプタで使い回せるのでした。一般的なACアダプタの場合、差し込み口が丸いことがほとんどなのですが、HB-F1とFS-A1、FS-A1mkIIは四角いため、よくあるACアダプタの流用が効きません。そのため、純正ACアダプタの入手が難しくなった現在では、ありがたい仕様と言えるでしょう。
本体の電源を入れると、最初に起動するのがメニュー画面です。ここからBASICを選択するとBASIC画面へと移行しますが、住所録やメモなどを選んで各種情報を入力することもできました。F2では計算機、F3なら時計、F4を押すとカレンダーが表示されるなど、ちょっとしたユーティリティソフトも収録されています。このメニュー画面は、電源投入時にDELETEキーを押しっぱなしにすることでバイパスが可能なほか、BASICから“CALL HITBIT”と入力すると、再びメニューに戻ることができました。
さらに、起動時に“Y”と“P”を押しておくと、イースターエッグとして開発者のスタッフクレジットがスクロールして表示されます。それが終了すると最後に、一時期のソニーのテレビCMにて締めに使われていたお馴染みのフレーズ「It's a SONY」と、HB-F1が喋ってくれます。初めて聞いた時は「MSXが喋った!!」と、驚いたものでした。
キーボードは非常に入力しやすく、購入したほとんどのユーザーが目的とした、快適なゲームプレイには支障の無い完成度となっていたかと思います。本体発売と同時に、連射装置付きのジョイターボJSS-11が2,000円で別売されていましたので、そちらを購入した人もいたかもしれません。FS-A1も、おにぎり型のジョイパッドFS-JS220を1,500円で発売しましたが、こちらは連射装置はありませんでした。
ソニーはこの後、HB-F1シリーズとして、さまざまな機種を投入していきます。