ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

PC-88シリーズの最後を飾ったラストエンペラー「PC-8801MC」

PC-88シリーズ最初で最後の、縦置きオンリースタイルを採用しています。上部は、model 1であればCD-ROMドライブの部分にダミーのカバーが、model 2ではCD-ROMドライブが搭載されていました。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、PC-88シリーズのトリを飾った、CD-ROMドライブも搭載できる「PC-8801MC」を取り上げました。発売は1989年。

 1985年に発売されたPC-8801mkIISRをきっかけに不動の人気を得ることとなったハチハチですが、その後もモデルチェンジを繰り返してシリーズを重ねていきます。

 PC-8801mkIIMRでは2HDを採用、PC-8801FH/MHではCPUの速度が8MHzに、そしてPC-8801FA/MAで音源のパワーアップ、PC-8801FEでは家庭用テレビへの接続といった強化手段をとってきましたが、1980年代も終わりへと近づいた89年11月にデビューしたのは、CD-ROMドライブが搭載できるPC-8801MCという機種でした。用意されたモデルは2種類で、CD-ROMドライブ別売りのmodel 1が169,000円、CD-ROMドライブ標準搭載のmodel 2は199,000円という値付けとなっています。

冒頭ではCD-ROMドライブを搭載した写真を掲載していますが、こちらはmodel 1に付属しているフタを取り付けた状態で撮影したバージョンです。

 PC-8801MCのキャッチコピーは「ボクらにデビュー 音と光の大魔術。」で、「こんどの88は、CD-ROMがメチャ楽しい。」と広告では謳われていました。さらに「すばらしいステレオサウンドや新しいパソコンの世界が楽しめる先進のCD-ROMドライブを搭載」と特徴が紹介されていたほか、“インテリジェントCDプレーヤ機能を内蔵”していること、“すっきりスマートな縦置き型のデザイン”を採用していたことなども前面に押し出されています。

当時の広告ではPC-8801MCの宣伝だけでなく、20曲のゲームミュージックや英会話、パソコンアート作品、新作ソフトデモなどを収録した「CDたから箱」のプレゼント告知も行われていました。条件は特に無かったので「応募しておけば良かった……」と今更ながら思った人もいるかもしれません。

 PC-8801MCではPC-8801FE2と同じく、各種設定は起動時にPCキーを押すことで呼び出せるセットアップモードから行うようになっていました。そのため、ディップスイッチの類は省略され、スイッチ類は電源スイッチとリセットスイッチだけとなっています。

正面には左にリセットボタン、その下にボリュームつまみ、さらにヘッドフォン端子がついています。最下段は左からキーボードコネクタ、マウスポート、電源スイッチになります。FDDは、左から1、2とナンバリングされているので、リセットボタンなどの文字が正しく読めるように横置きにしてしまうと、ドライブ1が下段になります。

 CD-ROMドライブはPC-8801-30として30,300円で別売されたほか、広告では「PCEngine用CD-ROM 2 のCD-ROMドライブ(CDR-30)を接続することも可能です。<PCEngine用のソフトを88で使用することはできません。>」とも記されていました。PC-8801mkIISRやPC-8801FH、PC-8801MAなどのハードにCD-ROMインタフェースセット・PC-8801-31を使用すれば、それらの機種にもCD-ROMが接続可能です。

PC-8801-30とCDR-30を並べて撮影してみました。見て分かるように、外観からはCD-ROMかCD-ROM2かといった程度しか違いがありません。

 縦置きということで底面には足がつけられていたほか、正面下段の各種インタフェースの説明も縦置きで正しく読めるようになっていました。ただし、ヘッドホンとリセット、音量と書かれた説明だけは横向きに記されています。その3つが正しく読めるように横置きしてしまうと、ドライブ1が下段、ドライブ2が上段という配置に。なお、背面のインタフェース説明書きはすべて、縦置きした時に正しく読めるよう書かれています。

背面は右上から、プリンタポート、RS-232Cコネクタ、アナログRGB端子、オーディオ入力(左右)、オーディオ出力(左右)となっています。最下段には電源差し込み口の他、2口のサービスコンセントもついていました。

 従来から搭載していたFDDに加えて、容量が大幅に増加するCD-ROMドライブを採用したPC-8801MCですが、この時期には各ソフトハウスともターゲットをPC-98シリーズやX68000などにシフトさせていたため、CDという大容量を活かしたソフトは残念ながらわずかしかリリースされませんでした。一部ソフトハウスは、ゲーム中のBGMを演奏させる手段としてCD-ROMドライブを活用していましたが……。

 PC-8801に始まりPC-8801mkII、PC-8801mkIISR、PC-8801mkIITR、PC-8801mkIIFR/MR、PC-8801FH/MH、PC-8801FA/MA、PC-8801FE/FE2、PC-8801MA2、そしてPC-8801MCと続いたPC-8801シリーズは(後にPC-98DO+が発売されますが)、ここでその長きにわたる歴史に幕を下ろします。PC-98DOシリーズやPC-88VAシリーズに関しては、また別の機会に取り上げたいと思います。