ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
FM-77からさまざまな面でパワーアップした「FM-77L4/L2」
2020年12月15日 07:05
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、富士通がFM-77の翌年1985年に発売したモデル「FM-77L4」と「FM-77L2」です。
FM-7の後継機として1984年に登場したFM-77は、セパレートタイプのキーボードと3.5インチFDDを1基(FM-77D1)または2基(FM-77D2)搭載し、ホワイトの直方体ボディを採用していました。その翌年となる1985年に誕生したのが、今回取り上げたFM-77L4とFM-77L2です。FM-77L4は238,000円、FM-77L2は193,000円という価格でした。
先に登場したFM-77L4は「3.5にして、神童となる。」をキャッチにして、“3.5インチマイクロフロッピィ採用の400ラインモードマシン、登場”と謳っていました。85年と言えば、世間ではまだまだ5インチFDDが主流で、3.5インチFDDを採用していたのはわずかな機種だけでしたが、FM-77L4では“時代の主流”として3.5インチFDDを宣伝していたほか、“時代に先手”という見出しでは400ラインモードを標準サポートしたことをプッシュ。“カラー16色中2色の640×400ドット高精細グラフィックスと、テキスト画面における80文字×25行(2,000文字)の16色カラー表示を同時に実現しました(広告より)”ことと、メインメモリが128KBにアップした部分もウリとして前面に出していました。
前機種のFM-77から第一水準の漢字ROMも標準搭載されていたため、メーカーとしては“漢字ROM+400ラインで高品位ワープロの実力”とビジネスマシンとしても宣伝しています。なお、搭載していたのは漢字対応のF-BASIC V3.5でした。
以前に発売されていたFM-77も、周辺機器などを追加することでFM-77L4相当にパワーアップできますが、投資金額を考えるとFM-77L4のコストパフォーマンスは非常に高かったと言えるでしょう。
FM-77L4発売から3ヶ月後となる5月には、「棒は動くは。音はでるは。」として“3.5インチ時代のホビーパソコン”FM-77L2がリリースされています。その特徴はなんといっても、FM音源を搭載したことではないでしょうか。さらに、当時としてはメジャーな“上に棒が突き出た形”の(広告では“如意棒”と表記された)、文字通りのジョイスティックと、FM音源用スピーカも付属していました。
メインメモリは64KBでしたが、搭載BASICはFM-7と互換性のあるF-BASIC V3.0。3.5インチ供給のゲームはもちろん、FM-7で遊んでいた5インチ版のゲームも1MBフロッピィコントロールカード(MB22454)と外付け5インチFDDを用意すれば使えたため、移行も問題ありませんでした。CMT端子はミニDIN5ピンとなっているため、FM-7用のケーブルは流用ができず、本体付属のケーブルを使用します。現在では入手が難しいので、自作するなどの方法を採るしかありませんが……。
この時期は、ソフト供給が5インチFDから3.5インチFDへと移行する時期でしたが、1985年中頃時点でのフロッピーディスク価格を広告で調べてみたところ、とあるショップではマクセルの5インチ2Dが10枚5,300円だったのに対し、3.5インチ2Dは7,600円と、2,000円弱ほどの差がありました。ちなみに、ノーブランドの5インチ2Dは10枚3,500円前後という価格でしたが、その差額は後に品質として現れてきました。
この半年後の11月に、富士通は“総、天、然、ショック。”FM77AVを発売し、多色化という道を突き進んでいくことになります。