ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

FM-77からさまざまな面でパワーアップした「FM-77L4/L2」

基本的な部分は変わらないと言うことで、FM-77L4とFM-77L2の2機種をまとめて取り上げました。手前に置かれているキーボードはFM-77D2のもので、L4やL2ではカールコード部分の色が白に近いカラーリングになっています。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、富士通がFM-77の翌年1985年に発売したモデル「FM-77L4」と「FM-77L2」です。

 FM-7の後継機として1984年に登場したFM-77は、セパレートタイプのキーボードと3.5インチFDDを1基(FM-77D1)または2基(FM-77D2)搭載し、ホワイトの直方体ボディを採用していました。その翌年となる1985年に誕生したのが、今回取り上げたFM-77L4とFM-77L2です。FM-77L4は238,000円、FM-77L2は193,000円という価格でした。

正面から見ると、エンブレム以外の違いはほとんどありません。左から電源スイッチ、モード切替スイッチ、BOOT1ボタン、BOOT2ボタン、BASICボタン(それぞれ排他仕様)、リセットボタンがあります。FMシリーズなので、ドライブは右から0→1の順番となっています。

 先に登場したFM-77L4は「3.5にして、神童となる。」をキャッチにして、“3.5インチマイクロフロッピィ採用の400ラインモードマシン、登場”と謳っていました。85年と言えば、世間ではまだまだ5インチFDDが主流で、3.5インチFDDを採用していたのはわずかな機種だけでしたが、FM-77L4では“時代の主流”として3.5インチFDDを宣伝していたほか、“時代に先手”という見出しでは400ラインモードを標準サポートしたことをプッシュ。“カラー16色中2色の640×400ドット高精細グラフィックスと、テキスト画面における80文字×25行(2,000文字)の16色カラー表示を同時に実現しました(広告より)”ことと、メインメモリが128KBにアップした部分もウリとして前面に出していました。

 前機種のFM-77から第一水準の漢字ROMも標準搭載されていたため、メーカーとしては“漢字ROM+400ラインで高品位ワープロの実力”とビジネスマシンとしても宣伝しています。なお、搭載していたのは漢字対応のF-BASIC V3.5でした。

 以前に発売されていたFM-77も、周辺機器などを追加することでFM-77L4相当にパワーアップできますが、投資金額を考えるとFM-77L4のコストパフォーマンスは非常に高かったと言えるでしょう。

背面もほとんど同じです。L4はディスプレイ接続コネクタが、L2はジョイスティック接続端子と音声出力端子などが本体内部から出ています。なおインタフェースは左から、スーパーインポーズ端子、CRTコネクタ、CMT端子、プリンタポート、キーボードコネクタ、その右側に電源コネクタとサービスコンセントがあります。
FM-77L2の広告。この時期、全国9カ所で、“富士通パソコンサマーキャンプ”と題したイベントが行われていたのも分かります。

 FM-77L4発売から3ヶ月後となる5月には、「棒は動くは。音はでるは。」として“3.5インチ時代のホビーパソコン”FM-77L2がリリースされています。その特徴はなんといっても、FM音源を搭載したことではないでしょうか。さらに、当時としてはメジャーな“上に棒が突き出た形”の(広告では“如意棒”と表記された)、文字通りのジョイスティックと、FM音源用スピーカも付属していました。

 メインメモリは64KBでしたが、搭載BASICはFM-7と互換性のあるF-BASIC V3.0。3.5インチ供給のゲームはもちろん、FM-7で遊んでいた5インチ版のゲームも1MBフロッピィコントロールカード(MB22454)と外付け5インチFDDを用意すれば使えたため、移行も問題ありませんでした。CMT端子はミニDIN5ピンとなっているため、FM-7用のケーブルは流用ができず、本体付属のケーブルを使用します。現在では入手が難しいので、自作するなどの方法を採るしかありませんが……。

正面から見て右側面にはボリュームつまみの他に、スピーカ端子と拡張ポートが隠されています。

 この時期は、ソフト供給が5インチFDから3.5インチFDへと移行する時期でしたが、1985年中頃時点でのフロッピーディスク価格を広告で調べてみたところ、とあるショップではマクセルの5インチ2Dが10枚5,300円だったのに対し、3.5インチ2Dは7,600円と、2,000円弱ほどの差がありました。ちなみに、ノーブランドの5インチ2Dは10枚3,500円前後という価格でしたが、その差額は後に品質として現れてきました。

 この半年後の11月に、富士通は“総、天、然、ショック。”FM77AVを発売し、多色化という道を突き進んでいくことになります。