ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

パソコン戦国時代に第一線で走り続けた「シャープ MZ-2200」

フットプリントが非常に大きく、ベーシックマスターレベル3やApple IIを思い起こさせる筐体です。奥の平らな部分は、今時の10インチ前後の液晶モニタなら置いても問題ありませんが、12インチブラウン管ディスプレイといった重いものは強度的な問題から載せるのはNGです。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、シャープが1982年発売のMZ-2000に続いて1983年にリリースした「MZ-2200」になります。

 1982年に発売されたMZ-2000は10インチのグリーンモニタを搭載し、いくつかのオプションを増設して外部ディスプレイへと接続すれば、カラーも表示できる機種でした。その後継機として、MZ-2000ではオプションだったカラーグラフィック機能とI/Oユニットを標準装備して、1983年5月23日に発表されたのがMZ-2200です。

広告でのキャッチコピーは「システム展開で差をつける、コンポタイプのMZ登場。」や「これからのパソコンはシステム構成まで考えて選びたい。」など、本体以外の周辺機器と自由に組み合わせられることを推しポイントにしていたバージョンのほかに、クリーン設計を前面に打ち出したものも。

 外観は、MZ-700シリーズ同様セパレートタイプとなり、背面にあったIPL、RESETスイッチ、音量ボリュームが前面右上側にあるポケット内へと移動しました。音量ボリュームは、つまみ式からスライド式へと変更されています。

 また、インタフェースカードを挿すための拡張ユニット(MZ-1U01相当)と、MZ-2000用グラフィックボード(MZ-1R01相当)とメモリ(MZ-1R02×2相当)を標準実装し、拡張性にくわえてMZ-1D15(14インチ・標準価格72,000円)のようなカラーモニタを接続することで最初からカラー表示も可能としていました。もちろん、MZ-2200発売直前にリリースされた16ビットボードキット(MZ-1M01)も、接続することができます。

本体正面です。キーボードはアルプス電気製で、キー配列はMZ-2000と同一となっています。右上側にあるポケットの中には、左からRESETボタン、IPLボタン、ボリュームスライダが並んでいます。

 付属するBASICはMZ-1Z001の標準タイプだけでなく、カラーテープBASICのMZ-1Z002も同梱されていました。それでいて、価格はMZ-2000の218,000円から大幅に下がって128,000円となり、MZ-2200でMZシリーズがこれまで以上に身近になったと感じた人も多いでしょう。ソフトウェアはMZ-2000とフルコンパチブルで、MZ-2000用として市販されているパッケージものや雑誌掲載プログラムはそのまま動作したため、安心して移行することができました。

 MZ-2000と違い電磁メカカセットは内蔵されていないため、データレコーダやミニフロッピーディスクドライブが同時に発売されています。特に、MZ-2200専用データレコーダMZ-1T02は、標準でMZ-2200の背面に接続する為の専用の端子(信号用と電源供給用)が設けられていました。価格は19,800円で速度も2000ボーと早いため、FDDよりもこちらを導入した人が多かったのではないでしょうか。

背面は左から、電源スイッチ、MZ-1T02への電源供給コネクタ、MZ-1T02への信号用接続コネクタ、デジタルRGB出力端子、モノクロ出力端子が配置されていて、その下に拡張ユニットが位置しています。

 本体は、MZ-700のように2つに分かれるタイプではなく、MZ-2000と同じく車のボンネットのように筐体が手前から開く仕組みになっています。当時のOh!MZ誌には、その状態の写真に対してのコメントとして「他社の機械(特にN社の88ナントカ)に見せてやりたい。」と書かれていたのが面白いところです。

ねじを外し、筐体の手前を掴んで持ち上げると、上部が自動車のボンネットのように開いて内部へとアクセスができるようになります。ガワの内側に備え付けられている支え棒を下ろしておくことで、安心して作業ができます。

 本機が登場した1983年と言えば、似たようなスペックや価格帯のマシンとして前年末にFM-7が126,000円で、FP-1100が128,000円で発売されたほか、翌年83年前半にはPC-8001mkIIが123,000円、ベーシックマスターレベル3MARK5が118,000円、PASOPIA7が119,800円、MULTI8が123,000円でリリースされるなど、さながらパソコン戦国時代の様相を呈していました。

 さらに、ワンランク下の価格帯も含めると、1982年に登場したMZ-711の79,800円、83年リリースのPC-6001mkIIが84,800円など、ユーザーにとっては選び放題のタイミングだったことがうかがい知れます。もちろん、当たりもあればハズレもありましたので、どれを選択したかで後に悲喜こもごもな出来事が起きましたが……。

 この後、MZ-2200は後継機としてMZ-2500が1985年に登場するまで、第一線で走り続けます。

※(6/2 23:20更新)記事初出時、PC-8001mkIIの販売価格に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。