ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
80年代初期のパソコンゲームとソフトハウス ~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~
2021年10月7日 00:01
連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。
今回取り上げるページは、80年代初期のパソコンメディアに絡む事情のページだ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。
80年代初期のパソコンゲームとソフトハウス
玉石混淆で選ぶ楽しみもあったがハズレを引いて悔しさも大きかった80年代初期ゲーム
80年代初期といえば、さまざまなソフトハウスが多種多様なゲームを発売していた時期でもある。そのなかでも、頭1つ飛び抜けていたのがハドソンソフトだろう。82年の雑誌に掲載された広告を見るとわかるように、もの凄い数のタイトルをリスト形
式で載せている。当時、ハドソンソフトの懐事情は厳しかったらしいものの、このリストを掲載後は毎日現金書留が届き、一気に資金的余裕ができたとテレビ番組で紹介されていたほどだ。このあと同社は、アドベンチャーゲーム『デゼニランド』を発売し、一躍時流のソフトハウスとして頭角を現していく。
この時期はアドベンチャーゲームが流行していたため、その流れに乗れたソフトハウスが次々と名を上げていった。初期のアドベンチャーゲームは画面にグラフィックが表示されず、テキストのみで進めていくタイプだった。 その先駆けとなったのが、アスキーが発売した『南青山アドベンチャー』『表参道アドベンチャー』だ。関東に住んでいる人には親しみのある場所を舞台に、コマンドを入力しながら進んでいくアドベンチャーゲームということで、インパクトも強かった。
グラフィック画面の付いたアドベンチャーゲームのはしりといえば、マイクロキャビンの『ミステリーハウス』だろう。屋敷のどこかに隠されている財宝を探し、各種コマンドを入力しながら謎を解きつつ進んでいく。画面に落ちているメモが表示されていたり、いかにも怪しそうな絵画が描かれているので、テキストだけのアドベンチャーゲームと比べて非常に分かりやすかった。逆に、それを利用したトラップもあったりするわけだが……。同社はこの後、続編『ミステリーハウスII』や、夢の世界を舞台にした『ドリームランド』などで、よりアドベンチャーゲームに注力していくこととなる。ちなみに、この時期に『忍者くん』というゲームを発売しているが、これはもちろんアーケードで登場したUPLの『忍者くん』とはまったく別物で、リリースはマイクロキャビンのほうが先だ。
著名ソフトハウスも、以前は試行錯誤していた
今も数々のソフトを世に送り出している日本ファルコムも、この時期はさまざまなゲームを出していた。アドベンチャーゲーム『ホラーハウス』、定番タイトルともいえる麻雀とゴルフゲームの『スーパー四人麻雀』『コンピュータ・ザ・ゴルフ』、そして『ドラゴンスレイヤー』シリーズで有名な木屋善夫氏が手がけたRPG『ぱのらま島』など。さらには、シミュレーションウォーゲームの『ギャラクティックウォーズ』や、カセットテープベースで使用できる実用的なワープロソフトと銘打った『FM-7・8 日本語ワープロカセット版』もあった。『ギャラクティックウォーズ』は、当時としても珍しいFP-1100対応版を出していたという点が驚きだ。
もう一社、有名なソフトハウスとして、この時代は光栄マイコンシステムという名前だった光栄は、数多くのシミュレーションゲームをリリースしていた。『川中島の合戦』『ノルマンディー上陸作戦』といったものから、シミュレーションゲームとは思えない『地底探検』のようなタイトルなども販売している。そして、早くも83年にはシブサワ・コウ作としてウォーゲームシリーズ『信長の野望』と、ロールプレイングゲーム『クフ王の秘密』が登場した。アダルトポルノロールプレイングゲームというジャンルで『団地妻の誘惑』、アプリケーションとして『ナイトライフ』も発売されているが、異色作『ホイホイ』もパロディ・シミュレーションゲームとして同じ時期にリリースされている。
のちに『ハイドライド』シリーズなどで有名になるT&E SOFTは、83年に「スターアーサー」シリーズ1作目『惑星メフィウス』を発売。対応機種はFM-7だが、そのほかのラインアップ『撃墜王 ZERO FIGHTER』や『3D ゴルフシミュレーション』『スーパーグラフィックエディター』は、FM-7/8が対応だった。なお、後者2タイトルはX1用もあったほか、『3D ゴルフシミュレーション』はPASOPIA7版も登場している。余談だが、T&E SOFT唯一のアダルトっぽいゲームとなる『プレイボーイ』は、当時としては同社としては珍しいPC-8801対応となっていた。