ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

“新しい、ひとびとのヒットビット。”がやってきた!「ソニー HB-F5」

ボディはブラック、キーボードは白とグレーのツートンカラーという色合いと、かっちりとしたデザインが相まって、非常にシックな印象を受ける外観になっています。

 想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、ソニーが1985年に発売した最初のMSX2パソコン「HB-F5」を取り上げました。

 1985年のMSX2規格発表と共に、さまざまなMSX2パソコンが市場へと投入されました。なかでも、熱いバトルを繰り広げていくことになるのがソニーとパナソニックですが、そのソニーが発売した初のMSX2パソコンが、今回取り上げたHB-F5です。ブラックとライトグレーの2色のカラーリングが用意されていて、価格はいずれも84,800円でした。

テンキーの右上にカーソルキーが位置していますが、ゲームをプレイする際にテンキーが邪魔になることはあまりありませんでした。リセットボタンのみ、赤く目立っているのが特徴です。
広告では1/2ページにHB-F5を配置して、その上に目立つよう「HITBIT MSX・2」と表記していました。全体的に、かなりシンプルなデザインになっています。

 この時期、ソニーはディスプレイも発売していて、本機と合わせて宣伝されていたのがファインピッチ・トリニトロン管を採用した、お値段99,800円のソニートリニトロンカラーテレビKV-14CP1です。あわせて、パソコン用モニタを3機種リリースしていましたが、KV-14CP1はRGB21ピン入力を備えているだけでなく、背面にアンテナ線を接続することでテレビを見る事もできる機種でした。広告には合計4種類のモニタが掲載されていますが、この時期はキャプテンシステムなどが始まっていたこともあり、その需要も満たすべく発売されたラインアップとなっています。

モニタも、このような感じで宣伝されていました。広告のメインはマルチスキャントリニトロンカラーモニタのKX-14HD1ですが、実はページ右下にヒッソリと掲載されていたKV-14CP1が一番お買い得だったかもしれません。

 HB-F5のスペックは、RAM64KB、VRAM128KBを内蔵で、カートリッジスロットを2つ備えていました。VRAMを64KBではなく128KB搭載していたことで、MSX1規格に対応したゲームはもちろん、MSX2タイトルも不自由なく稼働させることができます。背面には、お馴染みのRF出力端子とオーディオ&ビデオ出力端子だけでなく、RGB出力端子も装備していました。MSXやMSX2でよく見られるRGB出力端子はDIN8ピンの丸形パターンですが、本機はRGB21ピンを採用しています。

背面は左から、CMT端子、プリンタポート、オーディオ出力端子、ビデオ出力端子、チャンネル切り替えスイッチ、RF出力端子、RGB21ピン出力端子、サービスコンセントとなっています。

 MSXマシンとしては少数派だった、テンキーを備えていたのも特長と言えるでしょう。キータッチは若干フワッとした感じですが、タイピングがしやすいフルストロークキーとなっていました。かなキーとCAPSキーにはインジケータが内蔵されていたため、どのモードで使用しているかが非常にわかりやすかったのも便利だった部分です。キーボードと同じレベルにリセットボタンがありましたが、赤で塗られていただけでなくボタンの周りが少しだけ囲まれていたほか、若干凹んだ位置に設定されていたため、間違えて押すことはまずありませんでした。

右側面にはジョイスティック端子が2つ、左側面には電源スイッチがついています。

 本体を起動すると最初にメニューが表示され、そこから住所録やスケジュール帳、メモなどを選ぶことで各種機能を使用することができます。その際に、データカートリッジHBI-55やディスクドライブを接続しておくとアイコンが追加され、外部へとデータを書き出すことが出来るようになっていました。

 85年の秋口と言えば、火の鳥ことMZ-2500(168,000円~)やX1turboII(178,000円)、FM77AV(128,000円~)、PC-8801mkIIFR(99,800円~)と、いわゆる御三家メーカーが気合いの入れた機種を発売していました。しかし、それらよりも安かったMSX2パソコンは本機を含め価格やスペック面などから注目を集め、MSX1パソコンよりは少なかったもののさまざまなメーカーが参入、激しい競争のなかで戦っていくことになります。