ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
富士通 FM77AVシリーズ史上、一番のてんこ盛り機種「FM77AV40EX」
2021年11月17日 00:00
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、1987年に富士通がFM77AV20EXと同時に発売し、ブラックカラーを採用した最後の機種となった「FM77AV40EX」を取り上げました。
1980年代中盤から後半にかけて、各社はパソコンのパワーアップ方針を明確にして、それに沿って新機種を発表してきました。そんな時代に富士通は、グラフィック面に力を入れたハードをリリースし続けてきましたが、その一つの到達点とも言えるのが、今回取り上げた「FM77AV40EX」となります。キャッチコピーは「スーパー・クリエイティブ・パソコン」で、これ以降しばらくはイメージキャラクターを南野陽子さんが担当しています。
本機は、前機種に当たるFM77AV40が228,000円だったところを一挙に6万円のプライスダウンを実現させ、FM77AV20と同じ168,000円で市場へと投入されました。メインメモリは標準で192KBを搭載し、最大で448KBまで拡張可能。増設分をRAMディスクとして利用すれば、高速なファイルアクセスも可能となりました。VRAMは、FM77AV40の144KBからさらに増量され、これまでで最大となる192KBとなっています。これにより640×400ドット8色が2画面使えるほか、320×200ドット4,096色も2画面使用可能となり、グラフィックスの表現力がさらにアップしました。
また、FM77AV40などではMMRメモリ使用時にCPUの動作クロックが2MHzから1.6MHzとなって動作していましたが、本機は2MHzのまま動くため、以前と比べると25%ものスピードアップとなっているのも特徴でしょう。くわえて、FM77AV40ではシステムディスクでサポートされていた拡張サブシステムが、FM77AV40EXではROM化されてメイン側に乗りました。これにより、システム起動時の拡張サブシステムのロードや画面モード切替時の入れ替えが高速になり、結果としてディスクのフリーエリアも増えることとなっています。
かな漢字変換には、ハンディ・ワープロ“OASYS Lite”シリーズと同等の約4万語にも及ぶ辞書をROM化して搭載しました。ディスクに入っている辞書と比べると、その動作のスムーズ差は一目瞭然です。これを活かして、同梱されているF-BASICも日本語機能が強化されました。
ビデオデジタイズ機能に関してですが、FM77AV40では専用のビデオデジタイズ端子からの取り込みのみでしたが、FM77AV40EXでは21ピンのアナログRGBモニタからのデジタイズができるようになっています。専用のモニタで無くてもよくなり、市販の21ピン端子付きモニタからビデオデジタイズも可能となりました。
同梱されているF-BASIC V3.4 L20から起動するとメニューが表示され、そこからBASICや付属のアプリケーションソフトを選択することができるようになったことで、よりユーザーが操作しやすくなっているのもポイントです。また、システムのドライブ数やファイル数の設定をし直す時に、NEW ONコマンドで即座に再起動もできるようになりました。同時に発売されたFM77AV20EXでは削除されてしまった、CMT端子が搭載されているのも嬉しい部分でしょう。
FM77AVシリーズ最強と言えるスペックを持ったFM77AV40EXでしたが、その機能をフルに活かすようなキラーソフトがお目見えしなかったこと、さらには世の中のパソコン市場がPC-98シリーズやX68000シリーズなどに移動していったことなどと相まって、シリーズ機種は次にリリースされたFM77AV40SXが最後となり、富士通はFM TOWNSシリーズへと舵を切ることとなります。