ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち

海の向こうのコンピュータその1

~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会、 出版社:総合科学出版)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、“海の向こうのコンピュータその1”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。


海の向こうのコンピュータその1


海外では、僕たちの知らないアップルコンピュータが大ブームだった

Apple IIは『VisiCalc』という表計算ソフトの登場により、ゲームだけでなく実務にも使えるということで大ヒットを飛ばす。そのバリエーションの一環として登場したのが、フロッグデザインの手によるスタイリッシュな筐体に入ったApple IIcだ。

 Apple(コンピュータ)といえば、今やiPhoneやiPadなどで有名な会社だが、もとはスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック、ロナルド・ウェインの3人によって1976年に創業されたコンピュータ会社だ。

 キットとして作られたApple Iを起点として、1977年にApple IIを発売し大きな売り上げを記録する。Apple IIはそれまでのハードと違い、最初からキーボードを内蔵し、データレコーダを接続できる端子も備えていた。そのため、電源をオンにするだけで組み立てることなく使えたため、一気に広まっていく。

 また、280×192ドットのグラフィック表示能力を持ち(初期モデルを除けば)6色カラーが使えたため、数々のゲームがリリースされることとなる。そのなかには『ウィザードリィ』や『ウルティマ』といった、後々にまでさまざまな面で影響を与えるタイトルもあった。

 翌年の78年には、早くもフロッピーディスクドライブが登場している。最初は高価だったものの、79年に『VisiCalc』がフロッピーディスクソフトとして登場、それまでにはなかった表計算ソフトが世の中に受け入れられると同時に、『VisiCalc』を使いたいがためにApple IIシリーズを購入する人が出てきたので、フロッピーディスクドライブの値段が下がり購入しやすくなっていった。

Apple II、III、そしてMacintoshへ

日本ファルコムも、自社でソフトを発売するかたわらApple II関連のソフトやハードを取り扱っていた。個人が直接海外と取引する面倒から解放され、店頭に出向いて購入すればいいということで、Apple IIがグッと身近に。

 Apple IIシリーズはIIのほか、IIplus、IIe、IIc、IIGSなどが発売されている。バリエーションのなかには、日本
語やアラビア語が扱えるように変更が施されたものもあった。しかし、日本でのAppleシリーズは思った以上に値が張り、興味はあるものの現実的に買えるのは国産機、という人が多かったはずだ。

 Apple IIの後継機として開発されたのはApple IIIだったが、当初は熱暴走が頻繁に起きたり、Apple II互換を謳っていたもののエミュレーション機能に制限がかけられるなど、決して使い勝手のいいハードではなかったため商業的に失敗してしまう。結局、1984年4月には生産が打ち切られ、Apple IIがその後も作り続けられることとなった。

 このあと、Appleコンピュータ社はMacintoshにシフトし、ハードとOSの両方を扱う会社として進んでいくこととなるが、それは項目を改めて語ることにしよう。

日本のアップル販売代理店・キヤノン販売により出稿された、ソフトが充実していることを示す広告。『KARATEKA』『キングズクウェスト』『ザクソン』『ウィザード&プリンセス』など、とにかく名作ぞろい。これらのタイトルを見て、Apple IIに手を出した人もいるのではないだろうか?
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