ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
外部ディスプレイ出力が可能な初のNEC 98ノート「PC-9801NS/E」
2025年7月1日 08:05
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、1991年5月のビジネスショウなどでお披露目され、同月より発売開始となった98NOTEシリーズの1台、PC-9801NS/Eを取り上げました。
1989年11月にPC-9801Nが登場して以来、デスクトップモデルと同じく“早く、安く、便利に”を目指してパワーアップが施されていった98ノートですが、1990年5月に発表されたPC-9801NSではCPUに80386SXが採用され、処理速度の面などでの強化が図られます。さらに、同年11月に発表されたPC-9801NVではレジューム機能を搭載し、それまで以上に使い勝手が向上しました。
それらの利点を受け継ぎ、さらに使いやすさを目指して1991年5月に発表・発売されたのが、今回取り上げたPC-9801NS/Eです。当時の雑誌を調べると、5月15日から18日まで開催された“第72回ビジネスショウ”に先駆けて発表・発売となったと書かれてはいたものの、残念ながら正確な日付は記されていませんでした。
スペックとしては、CPUに80386SXの16MHzを採用。PC-9801NVと同じくセカンドバッテリーを搭載していて、FDDモデルであれば最大3.4時間、HDDモデルでも最大3.2時間の駆動を実現しています。さらに、NVでお馴染みとなったレジューム機能もサポートされたことで、フタを開ければ作業を即再開できるようになりました。バッテリーをフル充電した状態であれば、約10日間は再開が可能になっているので、通常であれば十分な時間だったと思われます。
また、NSではFDDモデルと20MBのHDDを内蔵したモデルが用意されましたが、NS/Eでは更に40MBのHDDを内蔵したモデルも追加されています。価格は、FDDモデルのNS/Eが278,000円、20MBのHDDを内蔵したモデルが378,000円、40MBのHDDを内蔵したモデルが418,000円で、オプションのHDDは20MBが100,000円、40MBが140,000円と、本体の価格差と同じになっていました。
もちろん、FDDモデルを購入後にHDDを追加することも可能です。この金額はPC-9801NSと比較すると、FDDモデルでは2万円、20MBのHDD内蔵モデルであれば約7万円ほどもお安くなっていました。1年で大きく値下がりしたことは、これから購入するという人にとってはありがたかった反面、1年前に12回払い以上での支払いを契約してしまった人にとっては、泣きたくなる思いだったかもしれません。
機能が追加されたことで、NSと比べると厚さでは1mm、重さはFDDモデルで約200g、HDDモデルであれば約300gほど、それぞれ増加しているのですが、それでも重量は約3kg(HDDモデルは約3.3kg)に抑えられているので、当時としてはそれなりの重さだったかと思います。
液晶モニタは、従来の青液晶からCFL(冷陰極管)サイドライト付き8階調白黒液晶へと変更されました。これによって視認性が大幅にアップしたので、特にゲームが見やすくなったのは一部のユーザーにとってありがたいことだったかもしれません。
とはいえ、この時代の液晶モニタはまだまだ見づらかったため、CRTへ映し出すことも望まれていました。それに応える形で、98ノートとしては初めて、メインバッテリーの接続部分に外部CRT用インタフェースが付けられています。ここへ、メインバッテリーの代わりにオプションのCRTパック(25,000円)を接続することで、外部CRTへと映像を出力することができました。その際には、デスクトップ98と同じく4,096色中16色での表示が可能になるので、遜色ない環境での作業を行うことが可能になります。
ハード構成としては、3.5インチFDDが1台にRAMドライブという形をとっていて、これは従来機種と変わりません。RAMドライブをメインメモリとして使用できるのも代わらずで、増設RAMカードを併用すれば最大で9.6MBytesものメモリを利用することができました。
HDDが取り外し可能なパック型になったことで、OSに合わせて入れ替えて使うということも可能になったのですが、この時期の98ノート用HDDは出始めということもあり、なかなかのお値段がしています。逆に、デスクトップへ接続するSCSIタイプのHDDが徐々に価格低下&大容量になっていったため、周辺機器を含めるとどのPC-98シリーズを購入すれば良いのかで悩む時代でもありました。
また、この頃にはMS-Windows 3.0も動き出していたこともあり、雑誌誌面でも特集が組まれるようになっています。PC-9801NS/Eでもそれを稼働させることができたため、地道に人気を博すことになるのでした。