ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち

PC-8001やFM-7、MZ-80C……懐かしのパソコンがミニサイズで現代に甦る!
ハル研究所が発表した「PasocomMini」の詳細と狙い

左がパソコンミニ発案者である三津原敏氏、右が実際の開発を担当した郡司照幸氏。ハル研屋上にてパソコンミニの門出を祝い、富士山をバックに気合いが入る二人。

 株式会社ハル研究所(以降、ハル研)と言えば、コンシューマゲーム機向けタイトルの開発元として広く認知されている存在。しかし、昔からのパソコンユーザーにとっては、1980年代にマイコン・パソコン用ハード、ソフトの名機、名作を数多く世に送り出したメーカーとしての印象も強く残っていることだろう。そんなハル研が、5月11日から14日まで静岡のツインメッセ静岡で開催される「第56回 静岡ホビーショー」で「PasocomMini」(以降、パソコンミニ)を発表する。

 パソコンミニとは、1978年以降に大ヒットしたマイコンを約1/4サイズで再現した手乗りコンピュータ。ラインナップは「PC-8001」、「FM-7」、「MZ-80C」の3機種。小型ながらその筐体は非常に精巧で、これだけでも所有欲をそそる。内部にはRaspberry Piを搭載しており、各機種のエミュレータが動作する。しかも、プチコンで採用されているSmileBASICが実装されている。エミュレータはオンメモリのプログラムが動くレベルのもので、テープやFDDなどの制御機能はない。

 発売は2017年10月中旬予定。予価19,800円(税別)。レトロPC・ゲーム専門店BEEP 秋葉原店Webにて6月1日より予約受付開始予定だ。受注生産ではないが、数量限定生産になるとのこと。

 このパソコンミニでどんなことができるのか? その製作にいたったきっかけなどと合わせて、同社代表取締役社長である三津原敏氏(以降、三津原氏)と、「パソコンミニ」開発担当ディレクターの郡司照幸氏(以降、郡司氏)にうかがった。

実機を徹底的に計測して、可能な限り1/4サイズで再現したパソコンミニ

――今回明らかになったパソコンミニ、往年のマイコンのファンにとっては実に気になる存在です。今日はその3機種「PC-8001」、「FM-7」、「MZ-80C」の筐体のモックと試作基板を用意していただきました。このパソコンミニを作るにあたってのきっかけをお聞かせください。

[三津原氏]:この企画ですが、最初は私の妄想から始まっています。実は、私は今から5年前にハル研に戻ってきたのですが、その前は自分で会社を経営していました。そのときプチコン(※1)が発売されまして、これを出した会社にどうしても行きたいと思い、むりやり(メーカーの)スマイルブームさんに押しかけて話を聞いたりしていました。この流れで、いくつかのプチコンファンミーティングなどに参加しまして、そんな中でスマイルブームの小林社長から「手のひらに乗るマイコンがあったらおもしろいよね」という話がありました。そんなハードが本当にあったらいいなぁと考え始め、後日のファンミーティングで「じゃあ、そんなコンピュータを作りましょう!」と、声をかけたのがきっかけです。そのときは、どちらかというと教育向けの小型パソコンというイメージで考えていました。BASICだけ動けばいいという、そんなハードが動く環境作りをお手伝いできればと思っていました。しかし、そのアイディアをハル研社内で話をしていたら"せっかくなんだから、もっと深くやってみようよ!"という意見が出たのです。もともと、私自身が昔のパソコンが大好きで、往年の名機の小型版のようなものに触れたらうれしいと思っていたんですが、何年待っても出てこない。実現には難しい問題が山積しているのは察していたのですが、ほかが作れないのであれば自社でやってしまえ! と決心し、プロジェクトを起ち上げました。

※1

「BASIC」言語のプログラミング環境。独自のSmileBASICを採用する。ニンテンドー3DSで動く「プチコン3号」と、「プチコン3号 SmileBASIC」のWii U向け「プチコンBIG」などがある。株式会社スマイルブームより発売中。
http://smilebasic.com/

――今回登場したパソコンミニのラインナップは「PC-8001」、「FM-7」、「MZ-80C」ですが、この3機種にした理由は何でしょうか?

[三津原氏]:単純に、スタートは代表的なハードにしようかと。最初は、御三家であるNECと富士通とシャープだよねという話が出まして、「PC-8001」を作ってみよう、「FM-8」を作ってみようとなりました。「MZ」シリーズは最初から「MZ-80C」で決まっていましたが、とにかく人気があった機種にしましょうと。

――最初は、「FM-7」ではなく「FM-8」だったんですか?

[郡司氏]:そうですね。製作を始めた頃は3Dプリンタで外見を作り、テクスチャ代わりに紙を貼り付けて作成していました。現在はNC旋盤で外形切削、組み立て、研磨、着色したのちに自作デカール貼り付けという行程を経て作成しています。

――モックでは、かなり細かいところまで作り込まれていますが、キーボードは実際には押せるのでしょうか?

[三津原氏]:押せません。その大きさで押そうとすると、製作の難易度が3倍以上に跳ね上がりますね……。本体サイズを実物の1/4にしようと決めたときから、この部分は割り切っていました。1/6がいいかなとか1/9がいいかなとか、途中いろいろと考えはしたんですが。

――1/4にした決め手は?

[三津原氏]:手のひらに乗る大きさにしよう、ということで1/4になりました。

――試作の「MZ-80C」は4種類ありますが、モニタの部分がいろいろと工夫されていますね。

[郡司氏]:最初はブラウン管らしい色の再現を追求していたので、モニタ部分を不透明なパーツにしていました。しかし、その後も検討を重ねていくなかで、買ってくれた人がモニタ部分に好きな絵を仕込んで楽しめるようにしようと考え、モニタ部分をクリアパーツにしました。

――絵が仕込めるというのは?

[郡司氏]:クリアパーツにしたことで、モニタの中が透けて見えるようになりました。そこに好きなグラフィックやプログラミング画面を再現した紙を入れることで、その人なりの「MZ-80C」を表現できるんです。

――なるほど、そうした構造だと、絵だけではなく本物の小型モニタも!?

[郡司氏]:そこは、想像にお任せします(笑)。ちなみに、今回ラインナップした機種はすべて本体を購入し、採寸して、部品を全部外して一つ一つサイズを計っています。もちろん、スリットの数も実機に合わせてあります。

[三津原氏]:「PC-8001」は、初期版と後期版ではスリットの形状が違うのですが、実機を調べて分かる部分はきちんと反映させました。でも発売する時には製造的な制限があるので、本物そっくりに近づけるには限度があると思ってます。このモデルは限界いっぱいまで実機に近づけたモックである、と思ってください。

――ということは、実機と同じく内部も開けられるんですか?

[郡司氏]:「MZ-80C」は、実機と同じく手前からフタが開いて、左側に支えを置いて開いたままにできるようになっています。

[三津原氏]:おもしろいのは、最初に「FM-7」のモックが完成したときに、何人かの人に写真を見せたんです。すると、本物の写真が送られてきたと思ったらしく、「これがどうしたの?」と言われてしまったんです。なので、改めて手のひらの上に載せた写真を撮影して送ったということがありました。

[郡司氏]:私も、知り合いに写真を送ったのですが、「実機でしょ?」という返事が(笑)。

――ここまで完成度が高いと、何か比較対象を置かないと分からないですね。

[郡司氏]:実機を置くと分かるのですが、パソコンミニは1/4サイズなので、4台配置するとちょうど同じ縦横サイズになるんです。

「MZ-80C」実機の前と横に、「パソコンミニのMZ-80C」を配置してみた。パソコンミニが実機の1/4サイズというのが視覚的に分かるだろう。
「パソコンミニのPC-8001」モックアップモデル。上から見ると、実機と違う部分を見付けるのが困難なほど精巧に作られているのが分かる。背面も、電源コードが生えていない以外はソックリ。製品では、内部に組み込まれるRaspberry PiのUSBポートやHDMIポートなどにアクセスできるように開口部が作られるとのことだ。

基本的な機能は完備、ユーザーがどのように応用するかが楽しみ

――肝心の中身は、どのようになっているのでしょうか?

[三津原氏]:Raspberry Pi(以降ラズパイ)が入ります。本当はRaspberry Pi Zeroを入れたかったのですが、企業が大量に入手することが困難だったため、ビジネスユースで使えるRaspbeerry Pi Model A+(ラズパイA+)を採用することにしました。

――そうなると、購入した方が次に欲しくなるのはソフトだと思います。当時の資産を残している人はそれを活用できる可能性がありますが、持っていない人も多いと思います。ソフトをリリースするといった予定はありますか?

[三津原氏]:(リリースの)予定はないのですが、本体だけ出してもちょっと寂しいですよね。ですので、当時そのハードを代表したゲームタイトルを同梱ソフトという形で添付できるよう作者と連絡を取っています。3本ぐらい収録する予定です。まず、こういうものも動きますよというのを見せた上で、あとはユーザーコミュニティで使い方が広がっていくことを期待しています。

――当時のデータレコーダはつながりますか?

[三津原氏]:それはムリですね。ただ、ラズパイなのでSDメモリーカードが使えますから、その中に当時入力したプログラムなどを保存して、活用してもらう方向になるかと思います。

――テープのソフトを所有している人ならば、頑張れば使えそうですね。

[三津原氏]:今でも大切にテープソフトを持っている方に、喜んでいただけると良いのですが(笑)

[郡司氏]:さらに言いますと、SmileBASIC側からエミュレータのメモリをアクセスできる、デバッガ機能が付いています。

[三津原氏]:いわゆる、当時のBASICにあった"PEEK""POKE"が、SmileBASIC側からできます。

[郡司氏]:CPUを止めたりトレースもできたりするので、昔憧れだったプロ用のデバッガを、自分で作ることができるんです。ほかにもSmileBASIC側で用意したバイナリデータを、そのまま全部エミュレータのメモリに書き込むこともできます。さらにエミュレータも同時に立ち上がっているので、画面切り換えで行ったり来たりできます。

――かなり高度な開発ツールになっているんですね。

[三津原氏]:そうです。要は使い方次第ではありますけれども。

――ちなみに「PC-8001」などにはハル研からPCGハードが発売されていましたが、このPCG機能も付くのでしょうか?

[三津原氏]:はい。それも考えています。ただ、「PC-8001」にはPCG機能を付けようと検討していますが、「MZ-80C」には付きません。これは、すでに社内に「MZ-80C」用のPCGハードの詳細を知る人がいなくて、当社としてもロストテクノロジーになってしまっている現状があります。とはいえ、パソコンミニのコンセプトとして市販ゲームは対象外で、あくまでも雑誌に載っていたものを自力で入力したら動きます、という感覚で提供します。つまり、オンメモリでの使用を想定しています。そのため、テープやフロッピーなどはサポートされていないということになります。

[郡司氏]:あとは、ユーザーコミュニティさんがどんな活用方法をするのかを、製作側が楽しみにしているという感じですね。

[三津原氏]:大人が本気で遊んでくれるとうれしいです。

[郡司氏]:そうですね。こちらとしては"お砂場を用意しましたので、あとはお城を作るなりトンネルを掘るなり自由に楽しんでください"という感じです。

――ハードはラズパイですが、OSに当時のMicrosoft BASICが搭載されたりということはあるのでしょうか?

[三津原氏]:残念ながら搭載予定はありません。やはり当時のROMであっても使用するの難しいんですよ。シャープが作ったBASICも使いたかったのですが、さまざまな事情により同梱できないということになりました。なお、パソコンミニでは、電源を入れるとSmileBASICとエミュレータが起ち上がります。SmileBASICから直接エミュレータのメモリをさわれますし、エミュレータ上で直接データの入力もできます。なので、頑張って当時の雑誌に掲載されているプログラムを打ち込んだら動きますよ、というのが私たちのスタンスです。

――ということは、ユーザー側が用意すべきは、HDMIのディスプレイと外付けのキーボード、そして当時の雑誌ですね(笑)。

[郡司氏]:あとは電源ケーブルです。当時のハードは、直接生えてるのが多かったですが。

――FM-7は生えてなくて、PC-8001は生えてますよね。

[三津原氏]:これ、今の人が読んで分かるんだろうか(笑)。

[郡司氏]:いいんです! 当時を知る人が読んで、ニヤッとできれば万々歳で(笑)。

――「MZ-80C」」のカセット部分のフタが開くといった、細かなギミックまでは仕込んでいない?

[郡司氏]:そうです。実現させることはできるんですが、可動部分が多くなると壊れる可能性が上がるので……。なので、その部分はフィギュア的に楽しんでいただければと思っています。

意匠権に加えて、当時のプログラマとの連絡にも苦労 やるなら正規ルートで

――今回、ついに発表となりましたが、今だから言える苦労話などはありますか?

[三津原氏]:今でも苦労しているのですが(苦笑)、"意匠権"の問題がありました。今回もメーカーとご相談をしつつ展示をしているのですが、今やどのメーカーに問い合わせをしても、当時のことが分かる人がいないようで…。

[郡司氏]:ハル研に「PCG作ってもいいですか?」と、お問い合わせいただいたとしても、当時のことを知ってる人が残っていませんので、これと同じですね。

[三津原氏]:そんなあやふやな状態で商品を開発販売していくにはどうしたらよいだろう? それを解決するのに一番時間がかかりました。ハル研としては、ニセモノを作るというのはやりたくないですし、作るのであればきちんと正規のルートを通るべきということで、一生懸命いろんな所に当たっては砕け、当たっては砕け……。たとえるならば、目の前に紐はぶら下がっているのですが、それをたぐり寄せるとすぐに切れちゃうという感じです。まさに手探りで進めていくという感じで、これはなかなかな難しい問題でした。

[郡司氏]:問い合わせたメーカーさんはどこも、対象のハードが古過ぎることもあり、社内でいろいろと検討していただくのに時間がかかっていました。こちらとしては、気長に待つしかないわけでして、あまり突っ込み過ぎて"ダメ"と言われたのでは本末転倒ですし。

[三津原氏]:今回がもしもダメだったとして、この先、どこかの会社さんが同じ事をやろうとしたときに、その可能性をもつぶしてしまう懸念も少なからずあったので、本当に慎重に丁寧に進めました。これまで「パソコンミニ」のようなハードが出てこなかったのは、ここが問題になっていた事が多いと思うんです。相手側の対応もあるので、気長に交渉しないといけないのは結構大変でしたが、今回は、この部分を根気よく進めました。

――その苦労のかいあって、はれての発表ということになったんですね。

[三津原氏]:そうです。そしてもう一つの苦労が、ソフトを同梱するために当時の有名なゲーム作者を探したのですが、そういった方々になかなか連絡が取れないことですね。そこで、今でもマイコン・パソコンを使っている人たちが集まる会に参加して、当時の作者とつながっている人を探すということをしたのですが、これがとにかく大変でした。

[郡司氏]:"その人、知ってますよ"という話があっても、実際にはなかなか連絡がとれなかったりとか。

[三津原氏]:そもそも、当時の作者さんが今もこの業界にいるとは限りませんし、年代的にご健在かどうかもわからない……そうなると権利がどこにあるのか…から探すことになるわけでして。仮に作者さんが見つかったとしても、当時その方が作ったソフトを発売しているメーカーさんに問い合わせをして、話を進めて、始めて同梱できるようになるわけです。これもハードと同じく、一つ一つ丁寧にやっていくしかないので、とにかく時間がかかりました。なお「MZ-80シリーズ」に関しては、工学社のPiOに掲載されていた、有名な「ZEPLIS(※2)」というタイトルがありますが、これは11日から開催される静岡ホビーショーで実際に稼働しているところを見ることができます。また、ほかにも当時人気の高かったゲームソフトを実装する予定です。

※2

ZEPLIS:PiO 1985年2月号掲載/作者 鈴木康之氏

インタビュー中に、パソコンミニの試作機で動かされた「ZEPLIS」。静岡ホビーショーではパソコンミニでの稼働状態を見られるので、当時を知る人は違いを見付けるべく会場に足を運ぼう!

――同じように有名タイトルが他機種にも!?

[三津原氏]:はい。ただし何が同梱されるかは、まだお楽しみということで。また、この記事を見て「私のもぜひ収録してほしいです!」とアプローチしてくれる作者の方がおられたら、こちらとしても大歓迎です。個人的には「ウットイ」の作者の、高科恭司さんに連絡が取れないかな、と思っていたりしますが。ただ、何を同梱するかは現在も探っているところなんです。当時、人気だったソフトは何? と、私と郡司で話していても食い違いがあるので、世間一般のみなさんの意見を聞いてみたいところです。

「FM-7」のモックアップも、見た限りでは差違を探すことが難しいほど精巧に作られている。残念ながら、現時点では各種ランプは点灯しないが、購入者がカスタマイズすれば……。

今後の反響しだいではシリーズの拡充も!?

――現在、3機種がラインナップされていますが、これ以降のシリーズも予定されているのでしょうか?

[三津原氏]:第1弾の「MZ-80C」の反応がよければ、さらにシリーズを広げていけると思います。たとえば、NECの「PC-6001」や「PC-8801」シリーズなどですね。もともといろいろな機種をパソコンミニシリーズとして想定していたのですが、そのなかで第1弾が「MZ-80C」になったのは偶然によるところも大きいんです。ちなみに、「PC-6001」シリーズを出すとしたら、"パピコン"と「PC-6001mkII」と、どちらがいいでしょうか? やはりパピコンなんですかね? この辺り、ちょっと悩んでいます。

[郡司氏]:「PC-6001」シリーズもそうなんですが、難しいのは"mkII"や"SR"といったように、世代がドンドン足されていった機種ですね。

[三津原氏]:今回のラインナップにある「PC-8001」も、「PC-8001mkII」なのか「PC-8001mkIISR」にするのか、という話がありましたが、現時点では「PC-8001+PCGで行こう!」という話をしています。この先の検討で変更される可能性はありますけれども。

――「MSX」シリーズはどうなるのでしょうか?

[三津原氏]:当初から、人と相談すると必ず「MSXは?」と言われるのですが、「MSX」シリーズは外見がすべて違いますよね。そうなると、ユーザーさんごとに思い入れのある機種が変わってくるため、作るのが難しいんですよ。なので、当初から「MSX」は対象外にするしかないという、苦渋の選択に(苦笑)。ほかにも、構想段階では海外のメーカーの機種も候補に挙がりましたが、現実的に考えて日本のメーカーのものに収まりました。

[郡司氏]:「PET-2001」やシンクレアの「ZX-81」、タンディラジオシャックの「TRS-80」といった名前も挙がりました。

[三津原氏]:名前だけなら、沖電気の「if800」や、カシオの「FP-1100」なども。

[郡司氏]:「FX-9000P」もカッコイイですよね!

[三津原氏]:と、ドンドンとマニアックな方向に行くんですよね(笑)。商品化するためには、まずは人気が高いメーカーのド真ん中を行かないと。

[郡司氏]:マニアックでないものなら、ハンドヘルドコンピュータのエプソン「HC-20」を、液晶部分も再現して作ろうかとも考えました。あのぐらいの液晶であれば、そんなに高くない汎用品が使えるので、ちょっと現実的かなと。

――そうすると、熱転写プリンタも付くんですね?

[三津原氏]:マイクロカセットも、という感じで話は盛り上がるのですが、現実に戻るとそれはダメだろうと。なので、郡司とパソコンミニの話をすると、仕事の打ち合わせなのか昔話なのか分からなくなるんですよね。

[郡司氏]:そのうち言い争いになり、続きは飲み屋でと(笑)。

カセットテープが入った状態で再現された、「MZ-80C」のモックアップ。アルゴー船の姿などが見えないが、それらを除けば、ほぼ実機を再現している。背面には、実機と同じくボリュームつまみを用意するこだわりも。

筐体は何とアオシマ製 実物をホビーショーで見てほしい

――パソコンミニは、静岡ホビーショーで一般には初のお披露目ということですが、その見どころを教えてください。

[三津原氏]:「パソコンミニのMZ-80C」は稼働する状態で、他の2機種は参考出展という形での展示になります。まずは、見た瞬間に1/4というサイズのインパクトを感じてもらえると思います。そして、きっとたくさんの人が「これが手元にあったらいいのに!」と思ってくれると考えています。なお、今回の出展は模型のアオシマ(青島文化教材社)さんのブースになるのですが、これは本機モデルをアオシマさんに作ってもらっているためです。弊社としましても、静岡ホビーショーの開催期間中に、どのくらいの人がパソコンミニに興味をもっていただけるのかを楽しみにしています。

――いち早く実機が気になる人は、静岡ホビーショーへ! ということですね。

[郡司氏]:はい。ぜひ来場してご覧ください!

[三津原氏]:会場でお待ちしています!

――本日はありがとうございました。

 以上、ハル研究所のパソコンミニについての第一報をお伝えした。青春時代をパソコンとともに過ごした層には非常に気になる製品ではなかろうか。また、あそこはどうなっているの?と疑問に感じる点が多々あるだろう。このインタビューを行なったのは製品発表前で、試作機の開発段階も静岡ホビーショーに展示されるものより古いということもあって、明らかにできない要素が数多くある。静岡ホビーショーの会場レポートを皮切りに、より詳細な解説をお届けする予定なので続報を楽しみにしてほしい。

最後にパソコンミニ3機種を、対応する実機に載せて撮影した写真を掲載。こうして見ると、いかにパソコンミニが小さいのかが分かる。実機では大き過ぎて自宅に置くことができないという人でも、これならば全機種揃えられるはず!?