ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち
ホビーユースとして第一線で活躍した「PC-8801シリーズ」の後期モデルと、シミュレーションゲームの雄「光栄」
~永久保存版 80年代マイコン大百科~
2017年7月19日 08:05
連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 80年代マイコン大百科」(著:佐々木 潤)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。
今回取り上げるページは、懐かしのマイコンたち!!編から「NEC PC-8800シリーズ PART2&3」と、ボクたちを虜にしたソフトハウス編から「光栄」。
なお、書籍版では画像はモノクロ(電子書籍 Kindle版はカラー)だが、本記事ではカラーの写真を掲載している。
- 懐かしのマイコンたち!!NEC「PC-8800シリーズ PART2&3」-
1986年の11月、PC-8800シリーズにPC-8801FHとPC-8801MHの2機種が新たにくわわる。以降、型番からmkIIが取れ、PC-8801XXという表記になった。それに合わせるかのように、CMキャラクターも斉藤由貴さんを起用している。
FHとMHではキーボードデザインが変更され、シフトやタブなどの文字がキートップにカタカナで表示された。3分割されたスペースキーは、左右がそれぞれ無変換キー・変換キーとなり、日本語入力の際に重宝する仕組みに。
筐体デザインと色使いも、柔らかめの感じへと変わっている。クロック周波数は、従来の4MHzと新たに採用された8MHzの切り替えが可能になり、処理速度が向上した。
のちにFHは、PC-8800シリーズ唯一となるブラックモデルもリリースされている。モニタもブラックタイプが同時に新発売されており、両方を揃えるとまるでX1turboZのような色合いになった。
この頃の市場は、PC-8800シリーズ一人勝ちの様相を呈していたこともあり、次第にソフト供給がPC-8800シリーズへと集中していく。しかし、1987年にFAとMAをリリースしたあたりから少しずつ人気が陰り、代わりにPC-9800シリーズが盛りがりを見せてくる。
翌88年には、家庭用テレビに接続可能な廉価モデルであるFEをリリースすると同時に、従来の流れを汲むMA2も用意。しかし、既にPC-8800シリーズの勢いは目に見えて衰えており、1989年に登場したFEの後継機となるPC-8801FE2と、CD-ROMドライブ搭載機種のPC-8801MCで、シリーズは一応終焉を迎える。
1981年にスタートし、1989年に至るまでの約9年間、ホビーユースとして第一線で活躍したPC-8800シリーズ。ユーザーだった人にとってはもちろん、ライバル機種として見ていた人にも、様々な思い出を残した機種だったのではないだろうか。
1987年、8ビットCPUを使い続けてきたPC-8800シリーズに限界を感じたNECは、ついに独自の16ビットCPUを搭載したPC-88VAをリリースする。
外見は、FDDをPC-8800シリーズ伝統の横並びから、PC-9800シリーズのように縦並びとし、筐体もより大型化。さらに、従来のPC-8800シリーズとの互換性を保つV1/V2モードを搭載しつつ、16ビットネイティブで動作する新たなV3モードを新設した。
これにより、大多数のPC-8800向けソフトを動かせつつ、640×400ドットで256色表示や最大32枚同時表示ができるスプライトなどを利用したVA専用タイトルを実行することができた。OSも独自のPC-Engineを搭載するなど、今思えばその力の入れ方は並々ならぬものだったといえる。
その後継機として1988年に登場したVA2/VA3は、さらにV2モードにおける互換性を向上。ステレオFM音源を採用し、これを利用した市販タイトルも登場している。VA3に至っては、当時としては大容量の3.5インチ2TDを搭載。5インチドライブと合わせて、合計3ドライブという珍しい構成を取った。
別売りだったアニメーション作成ソフト「アニメフレーマー」も同梱するなど、同社がいかにこの機種に賭けていたのかがわかる。
しかし、この時期はライバルといわれたX68000やFM TOWNSに人気が傾いただけでなく、家庭用ゲーム機も登場したことで、その性能を十分に発揮できないまま歴史の彼方へと消えてしまう。
一方、1989年6月にはPC-9800シリーズの盛り上がりを受けて、PC-8800シリーズとPC-9800シリーズの両方のソフトが動かせるパソコン、PC-98DOを生み出す。型番としては“PC-98”とあるが、ここではPC-88の項目で取り上げた。
98モード/88モードそれぞれに別々のCPUを搭載し、スイッチを切り替えてシステムを起動することで、88または98として稼働させることができる。純粋な最後のPC-8800シリーズとなるPC-88MCが登場する5カ月前のリリースだが、機能としてはPC-8801MH相当だったにもかかわらず、サウンドボード2相当の音源が搭載されていなかったりしたほか、既に348,000円という5万円高いだけでPC-9801EX2が購入できたこともあり、人気を得ることはできなかった。
ちなみに、PC-9800の機能としてはCPUがPC-9801VM21/11相当で、こちらも周回遅れのスペックだったといえる。翌年10月に、それらの機能を底上げするなどして大幅にパワーアップしたPC-98DO+が登場するが、それは次の機会に譲ることとしよう。
- ボクたちを虜にしたソフトハウス編 光栄 -
「ストロベリーポルノシリーズ」のインパクトが大だった
1978年に創業。日本初のアダルトゲームを製作したソフトハウスともいわれている。第1弾のタイトルは、光栄マイコンシステムから1981年に発売された『シミュレーションウォーゲーム 川中島の合戦』。以後、『ローリングペーパーズ』『クリス愛の旅立』『クッキンカレー』などのほか、RPG『アクシオム』『コリドール』などをリリースしている。
同社を一躍有名にしたのは、やはり『信長の野望』だろう。本格的なシミュレーションゲームとして登場し、大ヒットを飛ばしている。また、同時期には数々のアダルトゲームも発売。特に『ナイトライフ』『オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか?』『団地妻の誘惑』は「ストロベリーポルノシリーズ」と呼ばれ、今では同社の“なかったことになっている”作品になっている。これ以外にも、ENIXから発売されていた『ロリータ・シンドローム』の事実上の続編『マイ・ロリータ』も売り出すなど、当時はほかのソフトハウスと変わらないラインナップだったといえるだろう。
ちなみに、光栄のソフトは高いとの印象を持つ人も多いかもしれないが、『信長の野望』のテープ版は4,500円、『ホイホイ』はテープ版3,500円と、昔は思ったよりも安かった。