ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち

日本を代表するパソコン「PC-9801」シリーズの前期モデルと、高クオリティの移植度を実現した「マイコンソフト」

~永久保存版 80年代マイコン大百科~

永久保存版 80年代マイコン大百科

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 80年代マイコン大百科」(著:佐々木 潤)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、懐かしのマイコンたち!!編から「NEC PC-9800シリーズ PART1」と、ボクたちを虜にしたソフトハウス編から「マイコンソフト」。

 なお、書籍版では画像はモノクロ(電子書籍 Kindle版はカラー)だが、本記事ではカラーの写真を掲載している。


- 懐かしのマイコンたち!! NEC「PC-9800シリーズ PART1」 -


ホビー用途として大ヒット! 機種も数多く発売される

PC-9801は、PC-8801発売から1年後に298,000円で登場。PC-8000、PC-8800シリーズの資産が活かせる16ビットパソコンという触れ込みで、ビジネスユースへとその勢力を拡大していく。CPUは、Intelの8086互換チップだった。

 1981年にPC-8801が発売された翌年、CPUに16ビットを採用し、ハードウェア面ではPC-8800シリーズやPC-8000シリーズと似た構成を採用した新機種・PC-9801を登場させた。ここに1997年までの15年間に及ぶ、PC-9800シリーズの歴史が幕を開ける。なお、PC-98XLなどの機種は除いた解説文となっていることをご了承頂きたい。

 翌83年にはPC-9801からスペックアップし、クロック8MHzのCPUとJIS第1水準の漢字ROM、5インチ2DDドライブを標準搭載したPC-9801Fシリーズが登場。同時期にはPC-9801Fから内蔵ドライブと漢字ROMを省いたとも言えるPC-9801Eを、215,000円という攻めの価格でリリースしている。(※1)

PC-9801Fは、初代機が5MHzだったCPUの速度を8MHzへと高速化。VRAMが増量され、グラフィック画面も2画面へと増えた。また、それまで外付けだった5インチドライブを1基(F1)または2基(F2)内蔵している。
PC-9801Eは、基本システムはPC-9801Fと変わらないが、漢字ROMと5インチドライブはオプション扱いになっている。そのぶん値段は、215,000円とリーズナブル。キャッチコピーから察するに、EはEconomyの頭文字のようだ。
PC-9801U2は、PC-9801シリーズ初となる3.5インチ2DDドライブを2基内蔵したモデル。また、4096色から8色を選んで表示ができた最初の機種でもある。CPUはV30で、初期搭載メモリは128KBだった。サウンドボードを初搭載したのは、後継機となるUV2。

 そして1985年、CPUにV30を採用し、シリーズ初の3.5インチ2DDを内蔵のPC-9801U2が誕生。

 ただし、搭載したVRAMの容量からグラフィックが1画面しか持っていなかったが、これは86年に出荷されたPC-9801UV2にて改善されることに。

 しかも、PC-9801UV2はシリーズ初のサウンドボードを搭載した機種であり、NECが3.5インチモデルをホビーユースと位置づけていることをアピールしていた。

広告には「U2で拡がる、多彩なグラフィックの世界。」とある。

 なお、1985年には5インチ2DDを搭載したPC-9801VFシリーズと、5インチ2HDを搭載したPC-9801VMシリーズも登場している。特にVMシリーズは、CPUがV30でアナログ2画面、さらには2HDドライブを内蔵するという、以降のPC-98シリーズの標準的な構成を確立。以後ほとんどのソフトが「VM/UV以降に対応」と表記することとなる。

PC-9801VFとPC-9801VMはFDDなしモデルを除き、VFは5インチ2DDを、VMは5インチ2HDをそれぞれ内蔵していた。CPUはV30で、640×400ドットで4096色中8色からの表示が可能。4096色中16色となるのは、この後に登場するPC-9801UV2から。

(※1) 記事初出時、本文に一部誤りがございました。お詫びして訂正いたします。


- ボクたちを虜にしたソフトハウス編 マイコンソフト -


“信頼の電波移植”と言われた、高クオリティの移植度を実現

初期は、他社と似たようなソフトが多かったマイコンソフト。

 電波新聞社のソフトウェア開発室を前身として誕生。

 ナムコのタイトルを発売するまでは、『三次元カーレース』『三次元ゴルフ』『ぽんこつ船サバイバル』などのオリジナルソフトを作っていた。

 1983年、『ギャラクシアン』『パックマン』『ディグダグ』などを皮切りに、次々とナムコのアーケードゲームタイトルを移植していく。その移植度は非常に高く、また機種ごとの特性を活かした作りになっており、ユーザからの評判も高かった。

 特に、全機種に先駆けて発売されたPC-6001対応版『タイニーゼビウス』は、ハードの限界を超えた完成度で驚きを持って迎えられている。

パソコン向けにナムコタイトルを数多く移植することになるが、その始まりは『ディグダグ』『パックマン』『ギャラクシアン』など、今でも語り継がれるメジャーゲームだった。テンキーを酷使しずぎて、取れてしまった経験がある人もいるのでは?
PC-6000シリーズに対応した『タイニーゼビウス』は、『ゼビウス』が家庭用パソコンでは遊べないと思われていたところへ、彗星の如く登場した大ヒット作。このあと、X1用、FM-7用などの『ゼビウス』も発売される。

 ほかにも完成度が高かったX1版・MZ-2500版・X68000版『ゼビウス』や、キャラクターしか表示できないことを逆手に取り、文字で盗品を表したMZ-700版『MAPPY』などもあった(PCGを使えば、かわいらしいキャラクター表示ができた)。

『ゼビウス』が発売された当時はジョイスティックも同時にリリースされていたが、この時代はテンキーで自機を操作するのが当たり前だったので、ジョイスティックを持っていた人は少なかったのでは?

 以後、ナムコのゲームにくわえてオリジナルタイトル『デーモン・クリスタル』を作ったり、使いやすいオリジナルジョイスティックの製作・販売も行っている。ちなみに、キャッチコピーも何度か変わり、「夢中! 熱中! 本物のおもしろさ」「遊気凛凛」「興味深新」などが使われた。

ナムコタイトルの移植が目立ったマイコンソフトだが、オリジナルタイトルもリリースしている。代表的なソフトは、下に掲載している『デーモン・クリスタル』だ。ほかにも『ナイザー』や『ソフィア』などもある。