ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち

シンキングラビットがおくるミステリアドベンチャーの傑作「道化師殺人事件」

 想い出のレトロパソコンやゲームを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、シンキングラビットが発売したミステリアドベンチャー「道化師殺人事件」を紹介します。

それまでのアドベンチャーゲームブームが一段落し、代わってRPGが勢いをみせてきた1985年ですが、その時期に登場した“本格派のためのディスクミステリーアドベンチャー”が、シンキングラビットから発売された「道化師殺人事件」です。1982年に「倉庫番」で一躍有名になったソフトハウスですが、続編となる「倉庫番2」発売後にリリースした「鍵穴殺人事件」からミステリアドベンチャーへと舵を切り、その2作目となります。

タイトル画面から渋いのですが、画面上部から赤い色が滴ってくると言う演出もなかなかです。
広告は、パッケージイラスト1枚を使ったシンプルなものになっています。ほかのソフトハウスが賑やかなページを作ってくるなかで、一際目立ちました。

 舞台となるのは1932年6月、ロンドンから南へ50マイルほどにある港町ブライトンです。サーカスの開幕日の朝にピエロの死体がシャワーワゴンで発見され、プレイヤーはロンドン警視庁の刑事として事件解決に赴きます。関係者の証言と収集した証拠品から、次第に明らかになっていく事実。さらには、事件の背後に隠された恐るべき企み。犯人の狙いはいったい? 二転三転する捜査の末に迎える、驚きの結末とは……。

 パッケージ裏に記されたプロローグを読むだけでも盛り上がるのですが、実際にプレイするととても親切に作られているのが分かります。入力は日本語、英語どちらでも可能で、さらにはローマ字入力もOK。取れない行動に対しても「デキマセン」と返すのではなく、シャレの効いた返答が用意されているものが多かったため、本編そっちのけでそれを探しているうちに時間が過ぎてしまうことも多々ありました。

コマンドは、動詞+名詞で入力していきます。しかし、反対にしても、英語でもカナでも反応してくれるので、プレイヤーのやりやすい方法が採れるのがありがたいです

 グラフィックの表示範囲はディスプレイの約1/6とかなり小さいのですが、東西への移動では画面がスクロールしながら表示されるなど、わかりやすくする工夫も盛り込まれています。ただし難易度は高めで、サーカスが滞在している町の中を自由に移動できるため、次にどこへ向かえば良いのかが分からなくなったり、知らないうちにハマりに陥ってしまうことも。とはいえ、シナリオは“さすがはシンキングラビットクオリティ”と唸らされる完成度なので、今プレイしても面白いこと間違いなしです。

人物に出会い話を聞き、事件の証拠を集めていきます。事件解決までは簡単ではありませんが、ミステリ好きにはたまらないものがあります。

 物語の最後には、プレイヤーを“あっ”と驚かせる展開が待っていますが、それを書くのはヤボというもの。気になった方は、プロジェクトEGGにて配信されているPC-9801版をぜひプレイしてみてください。