ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち

シャープのクリーンコンピュータ「MZ」シリーズと、アドベンチャーや移植作でヒットを飛ばした「システムソフト」

~永久保存版 80年代マイコン大百科~

永久保存版 80年代マイコン大百科

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 80年代マイコン大百科」(著:佐々木 潤)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、懐かしのマイコンたち!!編からSHARP「MZシリーズ Part1」編と、ボクたちを虜にしたソフトハウス編から「システムソフト」。

 なお、書籍版では画像はモノクロ(電子書籍 Kindle版はカラー)だが、本記事ではカラーの写真を掲載している。


- 懐かしのマイコンたち!! SHARP「MZシリーズ Part1」-


 SHARPといえば、主な機種としてMZシリーズとX1シリーズやX68000シリーズがあるが、MZシリーズの始まりは1978年に発売されたマイコントレーニングキットMZ-40K。続いてオールインワン筐体だがキーボード未組立となるMZ-80Kを半完成キットとして売り出し、翌年79年のMZ-80Cを経て81年、完成品となるMZ-80K2を標準価格198,000円で登場させる。

 シリーズの特徴は、OSをカセットテープなどの別メディアで供給し、最低限の処理だけをROMに搭載した“クリーンコンピュータ”システム。これを受けて、他社から様々なOSなどが登場する。

MZシリーズはMZ-40Kからスタートし、79年発売のMZ-80Cからキットではなく完成品として販売。MZ-80K2Eではコストダウンが計られ、148,000円と意欲的な値段がつけられた。ちなみに、MZ-40Kの当時の値段は、標準キットで24,800円。
MZ-80Bは、MZ-80Kがローエンドを担うのに対して、ハイエンドを担当。CPUにSHARPのLH0080A・4MHzを採用し、RAMを64KB搭載、さらにはオプションを増設することで、320×200ドットのグラフィックス画面を最大2プレーン利用することが出来た。本体の値段は、標準価格278,000円。
MZ-2000は、MZ-80Bの流れを汲んで登場。10インチグリーンディスプレイと電磁メカカセットデッキを標準搭載し、それでいて218,000円という値段だった。別途カラーモニタを用意すれば、640×200ドットで8色表示が可能。

 シリーズは80K系列が700/1500系列へ、80B系列が2000系列へと、それぞれ進化を遂げていく。1982年にはMZ-2000が誕生したほか、100,000円を切る値段で発売されたMZ-700シリーズは人気が高く、ソフトが数多くリリースされた。ディスプレイ分離タイプというのも特徴で、従来のオールインワン設計を取りやめることで価格を抑えている。

MZ-700は1982年に発売され、オプションなしであれば79,800円という戦略的な値段設定が功を奏し、人気となった機種。PCG(プログラマブル・キャラクタジェネレータ)を利用すれば、美しいキャラクタも表示できた。当時用意されていたのは、オプションなしの711、データレコーダ内蔵の721、データレコーダにくわえてプロッタプリンタも内蔵した731の3モデル。

- ボクたちを虜にしたソフトハウス編 システムソフト -


初期は、名作アドベンチャーや海外の移植ソフトなどを発売

 システムソフト福岡として、1979年9月に設立。初期のソフトには、どこかで見たようなタイトル・内容のものも多かった。しかし、その1982年の年末に秀作『珊瑚海海戦』が登場。翌83年には社名も「システムソフト」となり、シミュレーションゲーム『選挙』や『珊瑚海海戦 中級編』などをリリースしつつ、当時流行していたアドベンチャーゲームにも意欲的に取り組み、画面表示の早さが際立った『ミオのミステリーアドベンチャー』を生み出す。84年には名作『ミコとアケミのジャングルアドベンチャー』を発売し、雑誌に取り上げらることも多くなり、システムソフトの名前が一躍有名になる。

PC-8801対応のシミュレーションゲーム『選挙』がフィーチャーされていた広告。のちにシミュレーションゲームで名を馳せるだけあって、非常によくできていた。当選すると、タイトル画面では片目のダルマに目を入れることができる凝った仕組みも。そのほかは、PC-6001向けのゲームがずらりと並んでいる。
『ミオのミステリーアドベンチャー』は、可愛らしいキャラクターのミオとは裏腹に、難解な謎が待つ屋敷で悪魔と戦うストーリーが描かれている。
“NEC マイコンショップ” と肩書きがあるように、当時のシステムソフトはNECとのつながりが深く、NEC8ビットパソコン用のデモンストレーションも開発していた。その知識などを活かして作られた開発者向けの書籍『PC Techknow8800 Vol.1』が広告中央に配置されている。ユニークなゲームカセット付きコミック本『走れ! TINY」も発売が予定されていた。

 海外ソフトの移植発売なども行っており、『ロードランナー』はPC-8001mkIIなど様々な機種に移植されて大ヒットとなった。さらに、『チョップリフター』や『David's MidnightMagic』などでもヒットを連発。後の「大戦略」シリーズがメインだった時代から知っている人にとっては、この時期は“シミュレーションゲームといえばシステムソフト”というわけではなかった、ある意味珍しい期間だったかもしれない。

『ロードランナー』はPC-8001mkIIなど様々な機種に移植されて大ヒットとなった。
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