ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

“集まれ!”“散れ!“の吹き出しがユニークだった「大脱走」

イラストとタイトルの目立つパッケージですが、裏面には各機種ごとの操作方法が書かれています

 キャリーラボと言えば、この時期は「F2グランプリ」「飛車」などのタイトルなどがありましたが、1984年末に気合いを入れた広告で発表され、翌1985年初頭に発売されたのが「大脱走」です。

当時のキャリーラボ広告の中でも、かなり大きく紹介されていました。ジャンルとしては固定画面のアクションパズルで、「ロードランナー」や「ちゃっくんぽっぷ」など、この時期に流行っていた分野といえます。

 ゲームの目的は、ナチスの捕虜収容所へと潜入し、捕まった味方を救出・脱出すること。その舞台となるのは、捕虜収容所として使われている中世のお城です。プレイヤーは主人公を操作し、敵を倒してカギを奪うか手榴弾で牢を開け、5人の味方捕虜を助け出して出口へと連れて行けばクリアとなります。助けた味方は主人公の後を付いてくるのですが、時々変な所へ行ってしまうことも。そんなときは“集まれ!”と命令することで、素早く主人公の元へと集合します。こうして出口付近まで導き、そこで“散れ!”と命令すればお城からの脱出完了となります。

起動すると、ゲームのルール解説を行ってくれます。これで基本はわかるので、あとは実際にプレイして“集まれ!”“散れ!”の感覚をつかむだけです。

 どのステージも、お城の中という設定のために道が若干入り組んでおり、一筋縄では出口へと連れて行けないのが面白いところでした。主人公が持つ鉄砲の弾数や手榴弾の数も限られているので、それらを何に利用するかも考えどころです。通路は奥と手前の2段になっているので、それを使った敵弾のすり抜けなど、テクニックで乗り切れるのもプレイを熱くさせてくれました。

一つだけ牢の形が違うのが独房で、一度助け出した捕虜が再び捕まると、そこへ入れられてしまいます。開けるには手榴弾が必要なので、手榴弾の残弾数には常に気を配りたいところです。

 ユニークなのは、PC-88版はファンクションキーで音源が変更出来る点でしょう。f1キーではPC-8801ミュージック、f2キーならPC-8801mkIIミュージック、f4キーでPC-8801mkIISRミュージックが選べるほか、f5キーを押せばPC-88/PC-98シリーズ用のミュージックケーブル“SC/P(JSC/P)をスピーカに接続してBGMを鳴らすこともできました。実際に聞き比べてみたところ、所有しているハードがPC-8801mkIISR以上であればPC-8801mkIISRミュージックが一番無難な感じで、SC/Pミュージックは接続したスピーカ次第では悪くなかった、といったところでした。もし持っている人がいれば、借りて内部を調べ、自作してみるのもいいかもしれません。